「こちら葛飾区亀有公園前派出所」116巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1999年10月発売)
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●Love Mariaの巻
ストーリー
お弁当を作ったり、洗濯をしたりと、マリアは今日も両さんのために尽くしていた。しかし、お風呂を奇麗にしても両さんは入ってくれない。
ある日、お弁当を食べてもらえなかったことからマリアはショックを受ける。自分が両さんにしていることは迷惑なのでは、と自信をなくすマリアに、中川は両さんの秘密を打ち明ける。
主な登場人物
全編少女マンガ風の「こち亀」。
キャラクターもみんな少女マンガ風のタッチに変わっているが、寺井はいつもとあんまり変わってなかった。
絵こそ少女マンガ風ながら、少女マンガでは絶対に口にしないであろう「玉」が話題に出てくる。そのギャップが面白いところ。
マンガ本編が少女マンガ風になっているだけでなく、枠外のいわゆる“柱”や広告などまで少女マンガ誌っぽくしているところが、芸が細かい。
「こち亀」イラストの当選者100名には、先生の愛車フェラーリ365がプレゼントされていることになっているが、絶対にウソ。
この回では、ニコニコ寮の部屋に共同風呂でない個室の風呂がなぜかある。
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●第七の刑事(デカ)登場!!の巻
ストーリー
特殊刑事課から第七の刑事、美少女刑事・麻生瑠理華(あそうるりか)がやってくる。
少女マンガ家志望の美少女刑事が「女の子からのファンレターの文章は半分くらい自分の事が書いてあるキック」などの少女マンガあるあるの技を繰り出すと、「漫画の間違いなどの指摘が多いキック」と両さんは少年マンガあるあるの技で返す。
そんな二人の前に、人気少女マンガ家でもある乙姫菜々が現れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人、乙姫菜々、美少女刑事
特殊刑事課の美少女刑事の話。
「こち亀」としては初登場ながら、「りぼん」1999年2月号の特別ふろくでは既に登場済み。「りぼん」では気を遣って品を良くしていたが、ジャンプ版ではより露出度の高い衣装に変わっている。
その露出度の高い衣装に両さん、寺井、中川も着替えさせられる。
少女マンガに関するメタ的なネタが多い回。
美少女刑事の姿を見た寺井は「水野晴夫!?」(水野晴郎?)と困惑していた。
少女マンガ家志望の割りに美少女刑事の描くマンガの作風は、バンカラの不良マンガだった。
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●本田くんの宝探し!?の巻
ストーリー
約束の時間に現れなかった本田を問い詰めると、妹の伊歩が風邪で寝込んでいるので看病しているとのことだった。
伊歩がうわごとで語っていたおもちゃの指輪のことを思い出した本田は、タイムカプセルに埋めた指輪を両さんと探しに行く。しかし、その埋めた場所はマンションの駐車場になって舗装されていた。
駐車場を掘り返していると、その場所を掘り返した土は、別のビルの基礎工事に使われ、地下駐車場の下200mにあるとの情報を聞いてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、本田伊歩、本田門樹
本田の思い出のタイムカプセルを捜索する話。
最終的には中川鉄道の地下鉄の工事を利用して地中を掘り進めることになるのだが、その前の駐車場の掘り返しは元に戻している様子が描かれていない。
この話で、伊歩は今年から大学生になっており、高尾駅からバスで1時間プラス徒歩20分の片道3時間の通学をしていることが明かされる。
この回に登場した指輪は、123巻「伊歩の結婚の巻」で再登場する。
冒頭、派出所で寝ていた両さんは、額に「肉」と麗子にイタズラ書きされてしまう。
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●人馬一体・右京と琴姫の巻
ストーリー
磯鷲流流鏑馬の競技会に、中川、麗子と見に来た両さん。この競技会には、学生の部で右京も出場することになっており、愛馬の琴姫とともに京都からやってきていた。
琴姫は右京が高校一年生のころから乗っている馬だが、生まれつき身体の弱い馬だった。この日の競技会でも少し熱があり、体調の悪そうな琴姫を見て、右京は別の馬を借りて出場しようとするも、琴姫は態度で出場の意志を示す。
琴姫での出場を決めたところ、見物客の子供が川に落下する事故が発生。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、磯鷲早矢、飛鷹右京、飛鷹二徹
右京と愛馬の琴姫の話。右京と琴姫の絆の話になっていて、笑いどころはほぼない。
両さんは「しろうとには よくわからん」と言っているが、流鏑馬の際の装束、装備などについてもちゃんと描かれている。
いつも制服の両さんだけでなく、中川と麗子もいつもの制服姿。もしかしたら休日ではなく、パトロールをサボって来ていたのかもしれない。
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●ダンス・ダンス・盆踊り!!の巻
ストーリー
ゲームセンターのダンスゲームが大流行。両さんも家庭用のプレステ版を麗子から借りて派出所でプレイしていたのだが、先約していた婦警たちに強引に奪われてしまう。
両さんはゲームで見返そうとするも、ゲームは品薄で入手できない。そんな中、手に入れたのは盆踊りダンスゲームだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、早乙女リカ、屯田五目須(署長)、美少女刑事
ダンスゲームの話。タイトルこそは明言されていないが、このゲームの元ネタはDance Dance Revolution。当時は大流行だった。
ゲーセンでプレイしている姿について、「ジュリアナのお立ち台ギャルみたい」と両さんが言うと婦警たちはジュリアナを知らなかった。今の若い人は知らないということだったが、1991年~1994年営業のジュリアナ東京を1999年の社会人が知らないことはないような気がする。
オチは、なかなか強引な展開。
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●編集者・竜千士の苦悩の巻
ストーリー
乙姫のマンガの担当である竜千士は、新しく創刊される少女マンガ誌の副編集長に抜擢される。
竜千士に全幅の信頼を寄せる乙姫は、そのことを聞きショックからマンガが描けなくなってしまう。乙姫は、「サファイア」本誌で連載を続けるか、竜千士たちの創刊する雑誌に移るか悩む。
「サファイア」の看板作家の乙姫が移籍については、「サファイア」と新雑誌の編集長の争いにまで発展する。
一方、同じく「サファイア」に連載を持ち、担当が竜千士の両さんは、新雑誌の編集長に、乙姫の移籍を条件に自分を売り込む。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、乙姫菜々、竜千士氷
乙姫の担当編集者、竜千士に新雑誌の副編集長の内示が出る話。
結局、竜千士は今の仕事を軌道に乗せるまで二年ほしいとクビをかけて編集長に直談判し、本誌に残ることになる。とはいえ、二年どころか、「こち亀」連載終了の17年後も担当は変わらないままだった。
今回の騒動を機に、両さん(パトリシア勘子)の連載「ロボ刑事番長」は連載終了となる。それよりも、ここまで続いていたのか。
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●坊さんバンド参上!!の巻
ストーリー
明後日、親戚を集めての法事の予定がある部長だったが、お経を読むはずだった住職が急逝。浅草の両さんの知り合いの寺が部長のところと同じ宗派の総本山だったことから、当日の法事にお坊さんが来てもらえないか頼みに行くことに。
住職は数日不在とのことだったので、息子と話をするが、息子はロックバンドをやっていて、お経もロックでやりたいと考えていた。お酒を飲みながら住職の息子と話をした両さんは、酔った勢いで部長の法事にロックお経をやっても良いと言ってしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一
ロックでお経を読む話。
ロックバンドの演奏だけでなく、サンバ隊、ファイヤーダンスの乱入と大惨事の法事となる。
部長の家の宗派は、法保毛経(ほうほけきょう)。部長のお兄さんも登場する。顔は似ているが、髪と眉に白いものが混じっている。
法事で異常を感じた部長は、派出所へ電話をかけるが、そのとき固定電話から固定電話へかけている。1999年はケータイ電話がだいぶ普及していたものの、まだ固定電話も良く使われていた頃だった。
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●祝い隊・出動!!の巻
ストーリー
昔のアメリカのドラマでよく出ていたパイ投げをお堅い日本人もやるべきだと、両さんはボルボ、左近寺らとスペシャルタクティカルチーム「祝い隊」を結成。葛飾署の設立がたぶん100周年くらいだということで、パーティーを開催。署長の挨拶の最中にパイ投げを始め、シャンペンやビールをかけまくる。
その後も署内で誕生日の者がいれば、「祝い隊」がパイやピザを投げまくる強制的な祝福の蛮行を繰り返していった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、左近寺竜之介、早乙女リカ、屯田五目須(署長)、絵崎コロ助
アメリカンコメディやテレビのバラエティ番組であるパイ投げをしまくる話。
署内の話が中心になっているが、合間に派出所で絵崎教授を相手に、紅茶をかけたり、豆腐やピザをぶつけたりと争うシーンが挟まれている。
ボルボはジョディーと同棲二周年、両さんは始末書一万枚記念で祝われることとなる。始末書一万枚というと、20年勤続として、年間500枚は書いていることになる。
同じようなパターンでビールかけの話が、150巻「両津流コングラチュレーション!!の巻」にもある。
扉絵のお祭りの法被姿で、座り込んでいる両さんの姿は、「あしたのジョー」のラストシーンのパロディ。
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●夏の保養寮大改造!!の巻
ストーリー
出版社の友人のつながりで、婦警の水着写真を50万円で買い取ると聞かされ、はりきる両さん。
千葉に葛飾署の保養寮があるため、簡単に撮影できると踏んでいたが、今年から山の保養寮ができたので、婦警たちはそちらに行くと言う。
中川レジャー開発の力を借り、山の保養寮の周りを海のように作り変えるも、婦警たちは怪しんで入ろうとしない。
それでも、暑さに耐えかねた婦警たちは、移動して結局海水浴に。両さんも海の方についていくが、婦警たちは両さん対策に仕切りを設ける。
主な登場人物
婦警の水着写真を何とか撮影しようとする話。
50万円の報酬のうち、前金の20万円をすでに使ってしまったので、両さんは必死になって写真を撮ろうとする。
たかだか50万円の報酬に対して、中川の会社の経費が数百億円はかかってそうなので、中川の会社が哀れ。
両さんvsリカが話の中心になっているので、他のメンバーはほとんど登場しない。
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「Love Mariaの巻」「第七の刑事(デカ)登場!!の巻」「編集者・竜千士の苦悩の巻」と少女マンガに絡んだ話が多い巻。
両さんが少女マンガ誌に連載していた「ロボ刑事番長」はここで連載終了。
94巻「彼女は少女漫画家の巻」の頃から連載していたので、結構な長期連載ということに。
一応、「こち亀」作中内では「ロボ刑事番長」は単行本化、アニメ化をしている設定。