「こちら葛飾区亀有公園前派出所」115巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1999年8月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 115【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●亀有名画座物語の巻
ストーリー
亀有名画座が2月いっぱいで閉館すると聞き、両さんにとっても子供の頃からの思い出の映画館だったためショックを受ける。
両さんは今井支配人に会いに行き、中川の力で建物を保存する提案をするが、建物だけ飾っても映画館がかわいそうだと断る。
最後の上映の日、両さんもその場に立ち会い、客を見送る。閉館の雰囲気に浸っていると、映写技師として働いていた霧雨鉄二の娘の玲が現れ、父が死んだと伝える。
主な登場人物
映画館の閉館の話。亀有名画座は実在の映画館で1999年2月で、上映を終了した。
仕事ばかりで家庭をかえりみなかった父のせいで映画を恨んでいる娘が、父のかつての職場を訪れるのがメインの話になっている。
子供の頃に裏から名画座にタダで入っていたことを非難された両さんは、音だけ聞いていたと反論するも、中川からは「本当ですか?」と疑われていた。
価格:550円 |
●父・飛鷹二徹登場!!の巻
ストーリー
右京が千葉の実家に帰ると言うので、両さんも遊びに行くことに。右京の父・二徹は九十九里で漁師をしており、「巨人の星」の父・星一徹にそっくり。壁に空けた穴の投げたボールを通すといった「巨人の星」のワンシーンのようなトレーニングをしていた。
プロの野球選手を育てるのが夢だった二徹だが、右京・左京は女の双子、その下の日光・月光も女の双子と男の子に恵まれていない。
右京の連れてきた両さんが野球好きの男と見た二徹は、「大リーグキャッチャー養成ギブス」を装着させ、野球の特訓を行う。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、飛鷹右京、飛鷹二徹、飛鷹日光、飛鷹月光
右京・左京姉妹の父・飛鷹二徹の初登場の回。冒頭では、「巨人の星」に話をつなげるため、本田と「巨人の星」フィギュアの話をしている。
初登場の二徹は、異常に野球好きのキャラ。後には、パワフルな漁師としてのキャラの方が立っており、野球キャラは、この115巻だけでフェードアウトする。
日光・月光姉妹も写真だけこの回で登場している。本格的な登場は、130巻「飛鷹日光・月光登場!の巻」。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 130【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●熱闘!!コンサート野球の巻
ストーリー
暴走族の少年の更生を願ってのキャンペーンで、東京ドームで暴走族vs警察の野球をやることに。
試合の翌日からロック歌手の八沢水吉が東京ドームで控えているので、早めに終わらそうとするが、意外にも経験者の多い暴走族チームが手ごわく30イニングやっても決着がつかない。警察と暴走族の面子がかかっているため、両者翌日の延長戦を熱望。
翌日、コンサートの開始前に終わらそうとするも、八沢水吉が暴走族側の助っ人として乱入。
試合は長引き、コンサートが始まるが、野球は続く。野球とコンサートの同時進行のライブは大盛り上がり。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)、飛鷹二徹
東京ドームでロックコンサートと野球の試合を同時にやる話。
ロック歌手の八沢水吉(やざわみずきち)は矢沢永吉が元ネタ。「黒く塗りつぶせ」ではなく「白く塗りつぶせ」と歌っている。スタンドマイクで歌いながらバッターボックスに立つ様子が面白い。
八沢水吉は元・暴走族で高校球児だという設定。そのため、暴走族チームに肩入れする。
暴走族チームの監督として、前回初登場したばかりの二徹が再登場。
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●招猫大ブーム!?の巻
ストーリー
両さんは九谷焼で自分をモデルにした招猫を88体作成するが、まったくヒットしない。
次に金額がデジタル表示される「デジタル招猫貯金箱」を作成。こちらは子供中心にヒットする。さらに自宅の固定電話の子機として使える「電話番招猫」、話しかけると言葉を学習していく「育成招猫」とどんどん新作を発表。次々にヒットする。
カメラ付きの防犯タイプもヒットし、ブームに乗って、両さんは大量発注する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、寺井洋一、早乙女リカ
招猫を大量に作って販売する話。
両さんの顔をした「両津招猫」はKamedas99年春号にて実際に88体読者プレゼントされた。
「電話番招猫」に電話以外の機能として、Gコードを打ち込んでテレビの録画予約をする機能がある。Gコードというのが当時らしい。
「育成招猫」はファービー人形に似たアイデア。
冒頭、派出所で昼寝している両さんの足に落書きする麗子のシーンが描かれている。
価格:2970円 |
●圭一 麗子の夫婦漫才!!の巻
ストーリー
葛飾署設立パーティーの出し物は「お笑い」限定。両さんは、部長、寺井と楽器を用いたトリオ漫才を、中川と麗子は男女の漫才をすることになる。
中川と麗子に漫才の素養はないが、両さんの書いた台本を基に二人は猛練習。社長業のパーティーの合間にも寸暇を惜しんで稽古する。
プロの芸人のスチャラカ鼻子も招き、二人の漫才のクオリティはどんどん上がっていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、スチャラカ鼻子
中川と麗子が漫才をする話。
別の組として出場する両さんからすると二人はライバルになるわけだが、あまりにも出来ていない二人を見かねて両さんは何かと面倒を見ることになる。
中川と麗子は稽古中、本物の関西の人は両さんが書いたような関西弁を使うのか? と疑問を覚える。中川はともかく、麗子は神戸出身の設定なので、関西弁はそれなりにできそうな気がする。
141巻「おなかが痛い中川くんの巻」では再度、両さんたちのトリオ漫才、中川・麗子の漫才で対決することになる。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 141【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ゲーム景品進化論!?の巻
ストーリー
ゲームセンターの新作クレーンゲームの景品は、なんと生きたミドリガメや小魚など。縁日の金魚すくいみたいと両さんは楽しむが、動物虐待だとの声が上がる。
後日、ゴキブリを捕まえるゴキブリキャッチャーが現れるも、イメージの問題か、こちらにはクレームがなし。
白いマークのついたゴキブリを捕まえると100万円と聞き、両さんが捕まえるが、婦警とのトラブルでフイにしてしまう。
両さんは婦警たちにゴキブリでの復讐を計画する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、早乙女リカ
クレーンゲームの景品に生き物を入れる話。
この景品に生き物を入れるアイデアは作中だけでなく、実際に存在して問題として取り上げられることもしばしばあった。
76巻「ゴキブリ大行進!の巻」で登場したニコニコ寮のゴキブリ飼育場(303号室)は、管理者もいないのにまだ健在らしい。
この回では、麗子の自動車ではなく、両さんの自転車に麗子が二人乗りしてスーパーから帰るシーンが何度もある。
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●部長の家族幸せ計画!!の巻
ストーリー
家族の中のおじいちゃんが課題にチャレンジし成功すると500万円相当の景品がもらえるテレビ番組の企画に、部長の娘家族が当選。
孫の大介がパソコンを欲しがるので、部長は参加を決意。課題のピアノ演奏について部長は素人だが、麗子の教えで猛練習をする。
麗子以外に一流ピアニストの教えも受け、短い期間ながら準備万端の部長。しかし、本番のプレッシャーで潰れそうに。
大緊張の部長は何とか持ち直そうとするも、応援に来ていた両さんのくしゃみで緊張の糸が切れてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、大原良子、角田(大原)ひろみ、角田英男、角田大介、角田桜
部長がテレビ番組の企画でピアノに挑戦する話。緊張でパニックになる本番での部長の表情が見どころ。
作中の番組名は「天国or地獄ショー」となっているが、元ネタの番組は「しあわせ家族計画」。司会者は、心なしか「愛の貧乏脱出大作戦」のみのもんたっぽい。
今回は麗子に師事するが、171巻「ピアノ二重奏(デュオ)の巻」では部長は両さんからピアノを習う。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 171【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●コスチュームフィギュア元年!!の巻
ストーリー
本田と両さんがプラモ屋にいると、意外にも麗子とリカに遭遇。二人はファッションドールのイベント用のドールを買いに来ていたのだった。
両さんと本田は、ミリタリーフィギュアイベントに、麗子とリカはファッションドールイベントにそれぞれ応募するが、手違いで互いに別の方にエントリーしてしまう。
お互いに指示を出しながら、慣れないフィギュア製作に挑む。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、早乙女リカ、海パン刑事、月光刑事、美茄子刑事
ミリタリーとファッションのフィギュアを交換して作る話。両さんたちは女性ばかりの会場で、麗子たちは男性ばかりの会場で、場違いな思いをするが、周りの反応は正反対だった。
会場ではともかく、フィギュアの製作までは、得意な方がやれば良いのでは? と思うが、そのアイデアは出てこない。
この回での麗子は珍しく、正式な制服姿。
海パン刑事、月光刑事らはフィギュアとして登場する。
この回は、冒頭から「ホビー講座」で始まり、フィギュア事情について語られる。熱量は分かるが、本編の前に4ページはちょっと熱すぎる。
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●目指せCDデビュー!!の巻
ストーリー
後先を考えずに高額なラジコンジェット機を買う両さんに部長は説教。「アリとキリギリス」のたとえ話で、コツコツ働くことを説くが、両さんは現代ではその考えは通用しないと反論。ミクロな努力を続けるより、才能と強運で売れた方が稼げると力説する。
しかし、この話題は言い争いだけに終わらず、実際に両さんは身をもって証明することに。ストリートで歌って、CDデビューしての一発大当たりを目指す。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
両さんがCDデビューを目指して、ストリートミュージシャンになる話。一人で四苦八苦するが、結局、ラストでは本田を巻き込むことになる。
勢いでミュージシャンになると息巻くも、内心止めてほしそうな両さんの姿が少し哀れ。
今読むと、宇多田ヒカル、globe、ヒステリックブルー、「だんご三兄弟」など当時のヒット事情が分かる。
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飛鷹二徹がこの巻から登場。
この巻だけは、元ネタの星一徹のような野球キャラなのだが、その設定は次からはなくなる。
右京・左京の父としての登場ながら、娘たちよりはるかに出番が多い。
「熱闘!!コンサート野球の巻」「部長の家族幸せ計画!!の巻」「目指せCDデビュー!!の巻」と音楽に関係した回が多い巻。