カワズまんが研究所

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【感想】映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」あいつら結局、何を食って生きているの? 食文化の描写不足を考える

 

映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」を観てきたので、感想や雑記などを記していく。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター (オリジナル・スコア)

感想

全般的な感想として、映像はやはりすごい。

圧倒的である。

 

今作は海が主な舞台となっているが、水の描き方があまりにも美しい。

パンドラの森の表現も美しいし、動物の動きも架空の生き物とは思えないリアリティだ。

地球人の扱うメカも、カニ型のロボットを始めとして、とにかくカッコいい。

 

しかし、とにかく映像美はすごいのだが、ストーリーに関しては、3時間もの長さの割りにう~ん…… といった印象。

 

1作目は、地球人がパンドラの森の民の中に入っていく話だった。

我々観客は地球人なので、自分たちとパンドラの森の民との違いについてはすんなり入っていけた。

 

2作目の今回は、パンドラの森の民がパンドラの海の民の中で暮らしていく話で、森の民と海の民との違いやあつれきなどが描かれているのだが、そもそも森の民が1作目に出ていたとはいえ、そんなにおなじみじゃないので正直、あんまり関心がわいてこなかった。

 

主人公のあいつ「アバター(分身)」だったっけ?

タイトルには前作に引き続き、「アバター」が含まれているのだが、見終わってから、ふと主人公は「アバター」なんだったっけ?

と、疑問がわいてきた。

 

アバター - Wikipedia

 

アバター」という言葉は「分身」の意味で使われていることが多い。

 

1作目は、地球人の主人公が衛星パンドラの先住民の中に溶け込むために、先住民の姿をした分身「アバター」を用いる物語だった。

しかし、1作目のラストで主人公は、あの先住民の身体が本体になってしまうので、2作目の今作では、地球人としての本体はまったく出てこない。

 

つまり本体があの青い身体になっているので、「分身」としての「アバター」ではなくなっているのだ。

 

なので「アバター」というタイトルに少しだけ違和感を覚えた。

といっても「アバター」を外したら、何の映画シリーズか分からなくなってしまうけど。

 

あいつら結局、何を食って生きているの?

今作は3時間以上の大作であり、パンドラの海の民メトカイナ族の生活について、結構時間を割いて描かれている。

 

どんな住居なのかといった描写を始め、森の民とは肌の色や手の形が違うといった生態の違い、イルという水棲動物を乗り物にしていること、トゥルクンというクジラに似た生物との関わりなどが描かれている。

 

しかし、彼らの「食」についてほとんど描かれていなかったように思う。

(どこか見逃した?)

 

どんな民族であっても、その文化の中心にあるのは「食」だと思う。

 

現代の都市型文明ではあまり当てはまらないが、多くの民族(あるいは動物)の主な活動は「食」にまつわるものだ。

 

獣や魚の狩猟、木の実の採取、農耕、牧畜、調理、保存食の作成や貯蔵といったのが、活動の中心だ。

 

だが、「アバター」で描かれるパンドラの民族の「食」は描写はほとんどない。

今作では、主人公が親子で魚を弓矢で射っているくらいしかなかったように思う。

 

アバター」の世界では、地球人(スカイ・ピープル)は資源を奪い、争いを持ち込む種族として、パンドラの民ナヴィは争いを好まず、自然と調和している種族として描かれている。

 

だが、「食」の文化が描かれていないパンドラの民ナヴィは、その「食」事情が不明だ。

食料資源を巡って隣の民族と争うことはないのか、魚などの資源を乱獲することはないのか、森を開拓して田畑を作ることはないのか、生態系を壊すほど植物を取ることはないのか、といった事情が見えてこないのだ。

 

あいつらが何らかの食糧危機を迎えたとき、近隣の部族と争ったり、環境を壊してでも自分たちの食い扶持を確保したりはしないのだろうか、と疑問に思った。

 

だから、パンドラの民の生き方が、あたかも理想の生き方のように描かれていることに、ちょっと絵空事のように感じられた。

いや、フィクションなんだから絵空事は当たり前なんだけど。

 

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全般的に、観て損することはないが、強くオススメするほどではないというのが正直な感想。

特に3時間を超える大作なので、その長さを苦にしない人向けではあると思う。