「こちら葛飾区亀有公園前派出所」100巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1996年11月発売)
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●インターネットで逢いましょうの巻
ストーリー
ハイパー小学生プラスの通う学校では、生徒や教師がパソコンのメールで通信をしておりハイテク化されていた。
そんなプラスが葛飾署のインターネット接続を請け負い、ようやく葛飾署もホームページを開設。しかし、お堅く面白みのない内容で閲覧者はまったく現れない。
ネットのことが分からない部長や署長たちは、ホームページの運営を両さんに託す。
だが、両さんのサイト運営は個人ページの色合いが濃くなり、エロ画像を有料で出すようになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、屯田五目須(署長)、電極+
葛飾署のホームページが開設される話。
前半はプラスの小学校の様子が描かれ、署のページは後半の話の構成となっている。
序盤では、両さんが署長たちにインターネットのことを地下鉄に例えて説明したが、あまり理解されなかった。
プラスの小学校はハイテクとはいえ、ISDNのある公衆電話に繋いで高速アクセスをしたり、学校の課題をフロッピーディスクで提出と、今から見るとさすがに時代遅れ。
枠外にIT用語の解説があるが、ホームページ、メールといっただいぶ基本的な用語も。
他の巻では、ジャンプ掲載時はカラーでも単行本収録時にはモノクロとなっているのが通常ながら、この話の冒頭はカラーで収録されている。
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●ゲーム営業 両津!!の巻
ストーリー
電極プラスから両さんに協力の依頼が来る。プラスは仲間とゲーム会社を作っており、ソフト自体には問題ないのだが、スタッフ全員が小学生のため、メーカーへの売り込みでなめられてしまうのだ。両さんは、契約社員として、売り込みに同行するようになる。
両さんを加えた売り込みの効果は抜群。ソフトも大ヒットする。
しかし、価格を抑えるためにスポンサーをつけてゲーム内にCMを入れているのだが、スポンサーはより大きくCMを扱ってもらえるよう営業の両さんに裏交渉を持ち掛けてくる。その結果、CMを入れることでゲームバランスは大きく狂っていく。
主な登場人物
プラスのゲーム会社の営業になる話。
両さんは高級住宅地の目黒区鷹番にある電極家を訪れるのだが、電極家の見た目はボロ家。しかし、見た目に反し、中にはハイテクロボットがいくつも存在していた。
プラスの会社は米国、カナダ、ヨーロッパ、香港にも小学生スタッフを抱えており、ネットでつないで仕事を進めるという現代のリモートワークのような遥かに先進的なやり方をしていた。
ただ、ネットのセキュリティ技術はそれほどなかったので、航空便を使って物理メディアでデータ送っており、その辺は当時のリモートでできる仕事の限界。
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●アロハ天国の巻
ストーリー
夏の暑い日、両さんは「日本アロハシャツ普及委員会」を発足させ、日本でも夏はアロハシャツを着るべきだと主張する。
仕事でもアロハ、葬式でもアロハと語っていた両さんだったが、ちょうど署長のひいおじいさんが亡くなったとの訃報が入り、両さんは自分の言葉の責任をとって、アロハで葬式に参列する。
ビンテージアロハは高額な値が付くと知った両さんは、大量に古いアロハを所有している中川の親戚・三亀松からアロハを仕入れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)、中川三亀松、両津よね
アロハシャツの話だが、前半はアロハで葬式に出る話、後半はビンテージアロハで一儲けを企む話になっている。
署長のひいおじいさんは123歳で亡くなる大往生だった。
連載当時はなかったと思うが、職場でアロハを着るのは一部の職場で実在する。
101巻「コンビニゲームバトル!!の巻」で指摘されるが、両さんの「アロハ」の指のサインは間違っていて楳図かずお「まことちゃん」の「サバラ」になっている。
葬式の場でアロハは確かに不謹慎だが、中川と麗子の黄色とピンクの改造制服も、たいがいだと思う。
ハワイの三亀松とは、テレビ電話システム「CU-SeeMe」を用いて通話していた。
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●失われた写真を求めて!?の巻
ストーリー
交通課の婦警たちの署内新聞取材用のカメラだと思って、カメラにイタズラ写真を撮影するが、それは婦警たちのカメラではなく部長のカメラだった。
自分の局部のイタズラ写真を隠滅しようと、両さんはフィルムの現像を買って出るが、アクシデントで感光してしまい、フィルムはすべて真っ黒に。
フィルムに収まっているはずの部長の京都旅行の写真を再現するべく、旅行に同行した坊那須課長を伴い、中川の映画会社の協力のもと、偽造写真を撮影する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、寺井洋一、早乙女リカ、坊那須課長
部長の旅行写真を偽造で再現する話。
デジカメだと自分のイタズラ写真のデータだけ削除すれば済む話なので、フィルムカメラならではのネタ。
部長の身代わりとして、そっくりな人形を用意するのだが、「カメラの前に立つと緊張してこの顔になる 例外なく‼」と部長のクセを完全把握しているのは、長年の付き合いならでは。
写真の再現に経費は一億円かかっている(中川持ち)。
扉絵では、本編に登場しない麗子が「ちょっと太ったな」と言った両さんに向けて発砲している。両さんの制帽に穴が開けられているが、両さんが制帽を被っているシーンなんかほとんど見たことがない。
タイトルの元ネタはプルーストの「失われた時を求めて」。
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●フィールド エア ホッケー!!の巻
ストーリー
ゲームセンターのエアホッケーで無双する両さんだったが、部長の目があって大っぴらに遊べない。
葛飾署の女子アイスホッケー部用に、中川の会社で開発したエアホッケーのリンクが設置されたと知った両さんは、早速体験しに行く。
アイスホッケーと同じサイズのリンクで、氷上よりも速く動くパックに両さんは対戦を要望。
女子アイスホッケー部と対戦し、両さんが運動能力で圧倒するが、現役のNHLプレイヤーでもあるジョディーの兄が助っ人で現れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、ボルボ西郷、早乙女リカ、ジョディー・爆竜・カレン
実物大のエアホッケーの話。
勤務をサボって制服でゲーセンに入りびたる両さんに対し、パトカーで捕まえに来る部長。パトライトを点灯させ、指名手配犯を追うかのような様は「ドイツ軍に追われるフランスのレジスタンスだな まるで」と両さんに評される。
プロホッケープレイヤーのジョディーの兄に対抗するべく、本田ら体重の軽い男性署員を利用する両さんの汚いプレイは、いつもながらヒドい。
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ストーリー
左近寺とともにゲームを買いに秋葉原に来た両さん。ラジオや無線機のパーツを扱うマニアックな専門店街を訪れると、そこには無線マニアの弟・金次郎の姿があった。しかし、ケータイやPHSを複数台持ち多忙な金次郎とはろくに話もできなかった。
知り合いの電機店のおやじさんから、パソコンはともかく家電の売れ行きがイマイチなことを相談された両さんは、得意の口八丁で道行く人に半強制的に電気ガマを買わせる。
さらに家電とパソコンやゲームソフトなどをセットで販売し、売り上げを上げる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、左近寺竜之介、両津金次郎
秋葉原の電器店街の話。
家電などのアナログな電気の街から、パソコンやゲームなどの電子の街に変わってきたという趣旨の発言が出てくる。この頃(1996年)はまだ、アニメやメイドカフェ、アイドルなどの「萌え」文化はあまり浸透していない。(2000年代前半に開花した文化)
マニアックな鉱石ラジオについても、約3ページ語られている。
金次郎の愛車は、兄の両さんから「ボロコルト」「ポンコツ」「金をかせ!」などと落書きだらけにされ哀れ。
扉絵では「みどりのマキバオー」のミドリマキバオーの馬券を買った両さんが、落馬のニュースに青くなる表情が描かれている。
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●レッツ・キャンプ!!の巻
ストーリー
葛飾区の水元公園の対岸にある埼玉県の三郷公園のキャンプ場に、バーベキューをしに来た両さんたち。
ボルボとジョディーの軍人カップルはアウトドアでは頼もしいが、ボルボが敵襲と勘違いしてバーベキューコンロを蹴倒したり、ジョディーがヤマバトをバーベキューに加えたりと、一般人とは違う感覚で両さんたちを困らせる。
周りのキャンプの家族を見渡すと、お父さんたちはノートパソコンや携帯電話を持ち込み、キャンプ場でも仕事をしていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、乙姫菜々、ボルボ西郷、ジョディー・爆竜・カレン
近くの公園でバーベキューとキャンプをする話。
肉を持ってくる係の両さんは、一刻も早くキャンプ場に届けようとパトライトを点灯させたパトカーで送ってもらい、部長に怒られる。このときの肉は実在する浅草「ちんや」のものという設定。
後半は、キャンプ場に来ても仕事から離れることができない日本人を皮肉った内容になっている。
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●携帯電話なくすべからずの巻
ストーリー
携帯電話の普及とともに、落とし物として派出所に届けられる数も増えてきた。
両さんは電話番号を表示させてNTTに照会したり、かかってきた電話に応答したりして持ち主を探すのだった。
そんな折、両さん自身も携帯を落としてしまう。拾った人物が勝手に電話利用していることに怒った両さんは、犯人がダイヤルQ2を使用していると推理し、麗子をオトリにおびき出そうとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一
前半は携帯電話とPHSの違いについての説明の話、後半はなくした携帯電話を見つけようとする話。
PHSは電波が弱いが、アンテナが豊富にあるため地下での接続が強い、PHSでは携帯電話に繋がらない、時速40km以上の移動中はPHSはつながらないといった当時のPHS事情が分かる。
ダイヤルQ2も今では懐かしいサービスとなってしまった。
扉絵では、アニメ化でメジャーになったので、タイトルを短く「こち亀」にしようと両さんが提案している。
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●日暮巡査の潜在能力!?の巻
ストーリー
1996年アトランタオリンピックの年、両さんたちはニコニコ寮に日暮を起こしに行くが、部屋には日暮の姿がない。
前回、原生林のようになった部屋をリフォームしたのだが、その際、新人警官用に置いていたカプセルホテルに寝かせていたのだった。
カプセルは東京ビッグサイト(1996年開場)の近くの埋め立て地に埋められていたが、中川の財力で何とか掘り出す。
超能力で仕事を開始した日暮。リフレッシュ目的で、プールに泳ぎに行くと50m潜水で泳ぎ切り、メダルを狙えるタイムが出る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、日暮熟睡男、白浜カトリーヌ(寮母)
日暮が水泳の能力が高いことが判明する話。
バタフライ(潜水したままなので、腕はバタフライの動きではない)で50mを22秒ジャストだった。実際の世界記録は22秒27(2018年)。
四年の眠りから覚め、都知事が青島幸男、大阪府知事が横山ノックであること、レイボーブリッジ、携帯電話などに日暮は驚く。
この四年のギャップと超能力の日暮の仕事っぷりのネタはこの回までで、次の回以降は寮にいない日暮を探し回る話になる。
日暮の予知能力で、サッカープロ化、パソコンブーム、「こち亀」アニメ化を予知するが、両さんからはどれももうすでに実現していると言われてしまう。しかし、「国民の税金が正しく使われるかもしれない」との予知には「それはぜったいにないと思う!」と一蹴されていた。
寮の庭に置いていたカプセルホテルは88巻「来たれ!ニコニコ寮!!の巻」で使ったもの。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 88【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
100巻の記念巻ということで、巻末には「オール100巻サブタイトル完全リスト‼」が収録されている。
「インターネットで逢いましょうの巻」の冒頭もカラーになっており、やや豪華になっている。
個人的オススメは、部長の写真を偽造する「失われた写真を求めて!?の巻」。
今だと合成技術で何とかなってしまうので、話に説得力がなくなってしまう。