「こちら葛飾区亀有公園前派出所」99巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1996年8月発売）
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 99【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●格闘ゲーマー警官登場!!の巻
ストーリー
葛飾署の左近寺竜之介は硬派な格闘技の鬼で、柔道は全国大会に出る腕前。格闘ゲームも趣味とする左近寺は、両さんともゲーム仲間でそちらの腕も相当なものだった。
女にまったく興味を示さない左近寺だったが、ふとしたきっかけから恋愛シミュレーションゲーム「どきメモ」にハマってしまい、日ごろのファッションセンスや行動までが変化。
左近寺の恋愛ゲーム熱はさらに過熱し個人製作のゲームまで漁り出し、禁断のゲーム「アンジュリア」に手を出してしまう…
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、左近寺竜之介、屯田五目須（署長）
左近寺の初登場回。
左近寺のハマった「どきメモ」こと「どきどきメモリアル」は「ときめきメモリアル」が元ネタ。
左近寺は自分が「どきメモ」をやることを隠すために「弟がやりたがっていた」とウソをつく。「あいつはゲーセンに一度も行った事ないはずだぞ」と両さんに返されていたので、左近寺の弟自体は存在する模様。左近寺の弟だと面白いキャラが作れそうだが、その後登場することはなかった。
ラストの描写を見るに、当時のゲイのパブリックイメージは、筋肉質、レザーファッション、タトゥーだったようである。
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ときめきメモリアル Girl's Side 4th Heart 価格:8408円 |
●写真シールパニック!!の巻
ストーリー
女子校生を中心に写真シールがブーム。
両さんはデジカメとプリンターを使った自家製の「シール屋」で稼いでいた。さらに自身の顔と「パソコン、ゲーム指導します」とポケベルの番号の写ったシールを大量に作製し、商売の宣伝にも使っていた。
加えて自分の局部の写ったシールを、婦警の帽子やミニパトに貼ってイタズラしていたのが部長と署長に見つかって大目玉。
両さんは仕返しに、署長と部長のシールを合成で作製し、署内や警視庁に貼りまくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、麻里愛、早乙女リカ、屯田五目須（署長）
写真シール機の話。一般的にはプリクラの名称の方が通じるが、今話ではその名称は使われていない。
103巻「プリクラ大作戦！の巻」104巻「プリクラ大作戦２の巻」などでは、普通にプリクラの名称が使用されている。
両さんはPHSを持っているものの、電話が弱くつながらないことがあるため、電波が強いポケベルも併用していた。
35ミリカメラのフィルムの方式が1996年から変更になったことに言及されている。
自分の局部の写真シールを作成するため、シール機の筐体に全裸で登ってしがみついている様がシュール。
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●軍人将棋名人!!の巻
ストーリー
両さんは、中川、寺井と軍人将棋で遊ぶが、二人はあまり得意ではないので、乗ってくれない。
軍人将棋の道場があることを知った両さんは、対戦相手を求めて道場がある月刊軍人将棋の出版社を訪れる。
正式な軍人将棋として軍服に着替えての対戦となり、軍将竜王のタイトルを持つ山本五段と対戦。コマを下げると「それでも軍人か！」と激怒し、大局中に口答えすると「軍法会議」と称して「くすぐりの刑」を仕掛けてくる山本五段を撃破し、軍将竜王のタイトルを獲った両さんだったが、次は軍将名人が襲ってくる。
主な登場人物
軍人将棋の道場に挑む話。
将棋のタイトルと同じく、軍人将棋にも軍将王将、軍将棋聖など７タイトルある設定。（現実の将棋の方では、叡王を含め8タイトルになったのが2017年度から）
しかし、対局を申し込んですぐに竜王戦に持ち込めてしまう辺り、軍人将棋のタイトル挑戦者は相当少ないようである。
軍人将棋について「将棋だから江戸の昔からあるんだよ」と主張する両さんだったが、江戸時代にジェット機やミサイルはないと中川たちに言い返されてしまう。
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価格:2750円 |
●Ｃ・Ｇカタ屋!!の巻
ストーリー
秋葉原で「THE・カタ屋」というマニアックなパソコンゲームを購入した両さん。メンコやビーダマなどのマニアックなジャンルのゲームを作っているメーカーのゲームで、ゲーマーの左近寺すら聞いたことのないメーカーのものだった。
左近寺とともにプレイを開始すると、3Dポリゴンを使った意外に豪華なオープニングで始まる。実際のカタ屋と同様、カタ（型）に詰めた粘土に彩色を施し、その出来栄えに応じた点数が入る。
その点数が貯まると別の大きなカタと交換できるのだが、点数が貯まったころにカタ屋は逃亡。
以降は逃げたカタ屋を追って、RPGになったり、格闘ゲームやシューティングになったりと様々なゲームをクリアしなければならなくなる。
主な登場人物
下町ではおなじみだった露天商のカタ屋のゲームの話。
タイトルの「Ｃ・Ｇ」はコンピュータ・グラフィックのこと。
ゲーム中の粘土に彩色するツールは、プロ用のフォトショップ並みと両さんに評されるほどだった。
途中からは、カタとは全然関係ない他のゲーム要素ばかりになる。色々なゲームキャラが登場し、「版権はどうなっているんだ！」と両さんにキレられていた。
作中登場する他ゲームのキャラは「鉄県2」「スト0.1」「餓玉」「バーチャー」「カンダム」「ゴーショグン」「マジンＺ」「トラクエ」などなど。元ネタはだいたい分かる。
●隅田川お花見騒動!!の巻
ストーリー
昨年、新聞沙汰を起こしたことから、両さんは葛飾署の隅田川沿いのお花見の参加禁止を厳命される。
怒った両さんは、ジョディーの兄のツテで米軍潜水艦に乗り、隅田川にやって来る。花見を楽しむ署の一行にミサイルを撃ち込むのだった。（爆発はさせなかった）
復讐達成に気分を良くした両さんは、サクラの花を見ながら日本酒を飲む日本式の花見のやり方を潜水艦の乗員たちに教授。
しかし、艦長を始め乗員たちはすっかり酔っ払ってしまい、潜水艦は迷走。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、屯田五目須（署長）、ジョディー・爆竜・カレン
花見に参加できない腹いせに潜水艦で復讐する話。
実際の隅田川では、潜水艦が入れるほどの水深はないような気がするが、作中では潜行して艦をナナメにするほどの深さがある。相当深い。場所は桜橋の辺りの設定。
ジョディーの兄弟について、長兄シルベスターが潜水艦の乗員、次兄アーノルドが空軍パイロット、弟のブルースがNASAであることが明かされる。
後にシルベスターはNHL、ブルースはNBAの選手でもあるという設定が追加されることになる。
●ハイパー小学生Ｄ（ダッシュ）！の巻
ストーリー
ハイパー小学生の電極プラスは、タクシーを利用し分単位のスケジュールをこなすなど相変わらず。ハイテクランドセルの中身は、以前とは変わって進歩したものにグレードアップされていた。
プラスは父・スパークの開発した新しいジュニアデスクのモニターになる。
学習塾の内容をリモートで受ける他、椅子には脈拍などのバイタルデータのチェックができるなど、このデスクもハイテク仕様だった。
主な登場人物
久々の電極父子のハイテクっぷりの話。
とはいえ、モービルパソコン（言い方がモバイルではない）、PDA（電子手帳とノートパソコンの間くらいの携帯情報端末）など、今からすると時代を感じるものも出てくる。
ハイテクランドセルも、その機能の多くが今ではスマホ１台、タブレット1台で事足りるようになってしまった。
しかし、在宅のリモートで学習塾の授業を倍速で受けるアイデアなど、当時としては新しいと思える部分もある。
子どもらしくないプラスに「何様のつもりだ」と感想を漏らす両さんに「お子様ですよ」とツッコむ中川が面白い。
●ポケベル新商法！の巻
ストーリー
高校生がポケベルを購入するのに保護者の承諾などの手続きが必要。その手続きを女子校生に教えたことから、両さんはポケベルの代行屋をやることになる。
そんな両さんの元に、スーパー電子工機の電極スパークから相談が来る。スパークの相談は新製品についてのものだった。
両さんとスパークは、学生向けにペン型のポケベルを開発する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、電極スパーク
前半は昨今のポケベル事情、後半はスパークの発明の話。
まだまだ女子校生の主流はポケベルで、数字だけでなくカナ文字が打てるようになってきた頃だった。
スパークの開発品の中に、価格18万円の自動芯出し機能付きシャープペンシルがあった。ノック不要のシャーペンはその後、実在しているが、はるかに安価で小型である。
オチのニュースを読んでいるアナウンサーの名前が「ポケ田ベル夫」という適当なものだった。
通信機器でカンニングするという不正のアイデアが、この時点で予見されている。
●佃島慕情の巻
ストーリー
祖父・勘兵衛の具合が悪いと聞いていた両さんは、中川と銀座まで来たついでに佃島を訪れる。
しかし、106歳を超える勘兵衛は元気にラジコン飛行機を飛ばして遊んでいた。
佃島の船着き場の半分が埋め立てられ、高層ビルが多くなり、勘兵衛の長屋も立ち退きし、勘兵衛は高層マンションの最上階に住んでいた。
高層マンションに移っても、長屋暮らしと同様にカギもかけずに、近隣の住民と交流がある勘兵衛。
勘兵衛は、両さんの子どもの頃の思い出を語る。
主な登場人物
佃島を訪れ、町の変わりように驚く話。
幼少の頃の両さんの佃島周辺での思い出は、開いた勝鬨橋から川に落ちたり、手作りイカダで隅田川から太平洋に出て漂流したりと、他人に迷惑をかけたものばかりだった。
勘兵衛の父が越してきた（勘兵衛6歳時）のが、勘兵衛が佃島に住むようになったきっかけ。
勘兵衛の佃煮屋は道楽がたたって一代で潰れたが、浅草の銀次の店だけが代々続いている設定になっている。
浅草の店は代々続いているものの、現在使用している魚は江戸前産ではなく、オーストラリア産らしい。
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●あなたのフィギュア作ります！の巻
ストーリー
左近寺は、両さんとの付き合いで寄ったプラモ屋で恋愛シミュレーションゲーム「どきメモ」の沙織のフィギュアを見つけて美少女フィギュアに目覚めてしまう。
両さんに隠れて購入したが、組み立てと塗装ができず結局、両さんに製作を頼むことに。
左近寺同様、ガレージキットを購入したが、組み立て・塗装ができない人は意外にも多かったので、両さんは1体1万円で製作を請け負う。
順調に商売は伸びていったが、1/1フィギュアや複雑なロボットなどもどんどん送られてくるようになり……
主な登場人物
フィギュアの組み立て・塗装の代行をする話。
美少女フィギュアの組み立てを両さんに頼むとき、またしても左近寺は弟の頼みだと誤魔化すが、両さんには即座に見抜かれていた。
「どきメモ」の沙織の同級生の名前が、「葛城里美」（葛城ミサト？）「綾並玲」（綾波レイ？）となぜかエヴァっぽい名前だった。
プラモの塗りについて、両さんは「筆塗り一年 ピースコン三年」と語っている。
左近寺竜之介が初登場。
弟の存在が匂わされているが、登場することはなかった。
白鳥麗次の父、ボルボの祖父、絵崎教授の四人の娘など、準レギュラーキャラはたいてい身内キャラが登場しているのに、左近寺には身内が登場しなかった。
ジョディーの軍人兄弟、磯鷲早矢の格闘家兄弟（もっと後で登場）など、屈強な兄弟は他で事足りていたからかもしれない。
ポケベルやプリクラなど90年代のカルチャー回がある一方、なぜか軍人将棋やカタ屋といった昔の文化が混在している巻。
