「こちら葛飾区亀有公園前派出所」43巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1986年11月発売)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 43【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●名人・両津!の巻
ストーリー
葛飾署の中から、東京芸術工芸絵画展に優秀な芸術作品が出品されることとなる。
部長は、寺井に書道、中川に油絵、麗子に日本画の出品を計画して、それぞれに声をかけるが、両さんを蚊帳の外にする。
両さんは、玄人はだしの実力のプラモで部長にアピールするが、「美術的価値のない『オモチャ』」と一蹴。
バカにされた両さんは発奮。木彫りが得意な極楽寺の和尚を訪ね、本格的な木彫の仏像に挑戦する。
寝食を忘れて、両さんが完成させたのは、部長への怒りを表現した巨大な木彫像だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、屯田五目須(署長)
両さんの芸術的才能が爆発し、巨大な像を作る話。
模型店の前にいた小学生たちには、「プラモの天才」と呼ばれている両さんだが、部長には、その才能を評価されなかった。
小学生の前で自転車を止めるのに、「必殺! ジャックナイフスペシャル ローリング・バイシクル ワンスアポンナタイム!」と華麗な急停止技でカッコをつけている。
木彫作品に使用した極楽寺の杉の木は、寺に代々伝わる大事な木だったが、両さんの給料2か月分で売り払われた。この住職も俗っぽい。
部長自身の出品作品は書道。「左巣画達筆田奈」という書だが、「さすが達筆でんな」と読める。
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僧侶はなぜ仏像を破壊したのか 国宝に秘められた神仏分離・廃仏毀釈の闇 (宝島SUGOI文庫) [ 古川 順弘 ] 価格:880円 |
●板池巡査の秘密!?の巻
ストーリー
本署から派出所にやってきた板池(いたいけ)巡査は、警察官なのに、とても気が弱い。
署長から、板池の指導に抜擢された両さんは、板池を連れて早速パトロールに出かける。
しかし、パトロール中にも関わらず、夜のお店の客引きや、強引な啖呵売などに引っかかってしまい、気付けば余計な買い物ばかりしてしまう。
見かねた両さんは、見た目から板池を変えようと、眉毛を剃り、髪に剃り込みを入れ、付けヒゲに金ぶちのサングラスで、強面風に仕上げる。
その効果で、声を掛けられることがなくなり、一安心。ところが、覆面をしたドロボウと板池が鉢合わせすることに。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、板池
気弱な警官・板池巡査の登場回。
普段はとても気弱で、強引な販売だけでなく、ファストフードのマニュアル接客でも、不要な物を買わされてしまうほど。
ところが、お酒が入ると性格が一変する設定。
キャッチセールスに弱い板池の設定は、79巻「C・S(キャッチ・セールス)に御用心!?の巻」でも活かされる。
冒頭、連載開始以来8年以上使い続けていたという派出所のストーブを、「沢村 忠 直伝の真空とびひざげり(自称)」で、両さんが破壊する様子が描かれる。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 79【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●部長の新車!?の巻
ストーリー
部長が新たに購入した車は、いすゞのベレル。20年ほど前の古い車だが、2か月をかけて友人にレストアしてもらったものだった。
ところが、トラブルで両さんがベレルのボディーを傷つけてしまう。誤魔化すために、理由を付けて部長からベレルを借り受け、その隙に板金屋に持ち込むも、誤って廃車プレスされ、ぺしゃんこになるのだった。
修復不能になったので、比較的に似ているセドリックにポルシェのエンジンを載せてベレルの身代わりにする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
部長が購入した車を壊してしまう話。
板金屋では、事故車と間違えられてベレルをプレスされてしまう。昼寝をしていた両さんが中にいる状態でプレスされたのだが、両さんはなぜか無傷で救出され「引田天功みたいな人」と板金屋に言われる。
終盤は激怒した部長とカーチェイスになる展開。怒りのあまり部長は発砲。パトカーで、ポルシェのエンジンを積んだ初期型セドリックを追跡する。このときのパトカーは、普通のパトカーではなくフェアレディZ432だった。
76巻「古きを訪ね新しきを売る!?の巻」では、部長はレストアの2000GTを買う。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 76【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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新品 1/43 アシェット 国産名車コレクション いすゞ ベレル 2000 デラックス(1963) 240001014903 価格:2400円 |
●ボーナス争奪戦!の巻
ストーリー
ボーナスを受け取りに両さんは署を訪れるが、借金取りの商店街の連中が署の周りをぐるりと囲んでいることに気づく。
両さんは身代わりを使い、署を脱出。しかし、長年のボーナス争奪戦で行動パターンを読んでいる商店街の借金取りたちは、すぐに両さんを捕捉。
いったんは観念した素振りを見せた両さんだったが、土壇場で再び逃走。商店街vs両さんの追跡劇が始まる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、尾崎(プラモ屋)
プラモ屋の尾崎を中心とした商店街の借金取りとのボーナス争奪戦の第一弾。
マンガとしては、この回が第一弾だが、設定上は10年以上、この争奪戦を演じていることになっている。
プラモ屋の尾崎は、発信機を使ったり、マイコンで両さんの逃走パターンをデータに取ったりするなど、この時からハイテクを駆使している。
このボーナス争奪戦は、53巻「ボーナス争奪戦!!の巻」に続く。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 53【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●反省鍋…!?の巻
ストーリー
年の瀬の派出所で大掃除をする一同。中川と麗子は風邪気味だったが、両さんは元気に上半身裸で掃除に励むのだった。
大掃除終わり、みんなはフグちりを食べに行くも、両さんは夏休み取得のツケで年末3日間夜勤の予定のため、派出所を離れることができず、歯噛みする。
両さん抜きで、フグ料理屋で舌鼓を打つ部長たち。だが、両さんのことを気の毒に思った寺井が勤務を少し代わってくれることになり、両さんも合流。
しかし、勤務途中の抜け出しということで、酒ではなくジュース、フグではなくタラを与えられ、両さんは不満を募らせる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、戸塚金次
両さん抜きでフグ料理屋に行く話。
風邪気味の中川たちを見て「カゼなんて弱気だからひくのです 私などまったくカゼをひきません」と両さんは豪語する。この設定は、70巻「秘薬リョーツGPXの巻」で生かされることになる。
両さんの机には、賞金100万円目当てに雑誌応募用の描きかけのマンガ原稿が入っているが、マンガ家のボツ原稿の盗作だった。
フグちりに一人置いて行かれてイラつく両さんは、道を訊ねに来た人に発砲したりと、第一話「始末書の両さんの巻」を彷彿とさせる。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 70【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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価格:460円 |
●激烈年始!の巻
ストーリー
昭和60年(1985年)の年が明け、両さんは夜勤を終える。部長宅での新年会がないので、そのまま帰宅しようとするが、実は両さんに内緒で新年会が行われていることを知り、大激怒。
本田にバイクを出させ、部長宅に突撃する。
部長は、電灯を消し、カーテンを閉め、居留守を使うが、両さんは外から電線とガスを止め、兵糧攻めにする。
仕方なく両さんを新年会に入れる部長。トランプの神経衰弱や、羽根つきで正月らしく過ごすが、そこで部長と両さんが激突する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人、本田伊歩、本田改造、大原良子、法条正義、板池
部長宅の新年会で、部長と衝突する話。
部長は年末に、正月は夫婦で温泉に行くと両さんにウソを吐いて、新年会の存在を隠していた。
部長宅に突撃する前に、勤務交代の予定の法条たちから拳銃の弾丸を強奪していたが、さすがに発砲まではしなかった。
本田は妹の伊歩と着物で初詣に行く寸前に、両さんからバイクを出すよう脅迫されるハメになり、着物でバイクを爆走させる。伊歩はこの回が初登場。
部長と両さんの羽子板での羽根つき対決は、白熱するあまり途中から羽根が関係なくなり、ただただ羽子板で殴り合うことになる。
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価格:4620円 |
●罰当り!両さんの巻
ストーリー
派出所に現れた謎の老人は、天国からやってきた魔法使いだと名乗る。
老人は評判の悪い両さんの様子を見に来たと言うが、両さんは取り合わない。
ところが、老人の魔法で子供の姿にされ、ようやく両さんは、その魔法を信じる。「心を入れ替えた」と老人に詫びを入れ、元に戻してもらう両さんだったが、戻った途端に態度を豹変。
反省が見られないと、今度は500円玉くらいのサイズに小さくされてしまう。
小さくなった両さんは、生活にも一苦労の状態に。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、花山理香
日ごろの罰として小人サイズにされる話。
この話で、天国警察の魔法使いのじいさんこと花山理香が初登場。だが、この時点では、花山の名前も天国警察の設定も出てきてはいない。
小さくなった両さんは、ロッカーの隙間に落ちた500円玉を取りに行かされたりと、部長に利用される。500円玉は1982年発行なので、この頃は発行されてからまだ3年くらい。
麗子の服の中に入ったりもするが、特にエロ展開には発展しない。
魔法使いを名乗るじいさんに対し「クリィミーマミのおじいさんかなんか?」と両さんが返答している。「魔法の天使 クリィミーマミ」は、この話の少し前に放送されていた魔法少女アニメ。
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●新春中川邸レースの巻
ストーリー
中川のサーキットでバイクのレース大会が開かれる。両さんは乗り気ではなかったが、優勝賞金100万円と聞いて、出場を決意。
優勝の可能性を上げるため、本田もムリヤリ出場させる。
レース当日には、本田の妹・伊歩もついてくる。兄と違い、バイクに乗らない伊歩だったが、意外なバイク乗りの才能を見せ、伊歩も出場することに。
両さんは世界最大のバイク・アマゾネス1600で参加。その大きさで、他の出場者を転倒させ、その隙に本田を優勝させようと企てる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、本田速人、本田伊歩
中川のサーキットでバイクレースに参加する話。
本田は妹の伊歩とディズニーランドに行く予定だった。ディズニーランドは1983年オープンで、オープンしてまだ2年くらいの頃。
伊歩は泣き虫で、兄を連れ去ろうとする両さんのことを、涙を浮かべてじっと見つめる。麗子のようにすぐに反論しないので「ああいうタイブが一番 苦手だよ」と両さんはこぼしている。
また、伊歩は兄と違い、バイクにまたがっても性格が一変したりはしない。だが、その割にダイナミックなハングオンで、腕利きのライダーたちを次々と抜いていく。
42巻「秋の海…の巻」の頃にはアパートで独り暮らしの本田だったが、この頃から実家の本田輪業にいるようになっている。
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●スピーカー・町屋!の巻
ストーリー
春が近づき人事異動の時期。“スピーカー・町屋”の異名を持つほど噂好きの警官・町屋が派出所を訪れ、部長が警部補に昇進して春から係長となり署で内勤となること、両さんが「さいはて署」に飛ばされることを、こっそり部長に告げる。
部長の態度が怪しいことに気づいた両さんは、町屋を問い詰める。そこで、部長の昇進の話と、両さんが部長の後任で派出所を任される話を聞かされる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)、町屋
部長と両さんの昇進の噂話を巡る話。
冒頭、両さんはラジコンにエアガンを搭載する改造をしながら、競馬中継と音楽を聴きつつ、チャーハンを食べるというマルチタスクを見せる。競馬中継ではミスターCBRという名前が出てくるが、元ネタはおそらくミスターシービーとバイクのCBR。
町屋は、交通課のくらもちという巡査が秋に10歳上の実業家と結婚するという話題を持ってくる。おそらくは、くらもちふさこ先生が名前の元ネタ。
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●交剣知愛2の巻
ストーリー
警察署対抗剣道大会に向けて、両さんたちは署の剣道場にやってくるが、両さんは部長から寒げいこに励む署員たちに豚汁を作る料理番を命じられ、すっかりやる気を失う。
みんなが稽古に勤しむ中、大会に出場予定の柴又署の天才剣士・佐々木小痔郎が葛飾署の剣道場に現れ、実力の片りんを見せる。
料理番にされて、やる気を失ってた両さんだったが、中川から希少なGIジョーの譲渡を交換に大会に出場することに。
大会当日、葛飾署の両さんと柴又署の小痔郎は決勝で対決。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、屯田五目須(署長)、佐々木小痔郎
剣道大会に挑む話。
小痔郎は高校・大学の全国大会に優勝した実力の持ち主。この説明の部分は、ページ数の都合によりマンガのコマではなく、文章で語られる。
小痔郎は、葛飾署の他にも、足立区、荒川区、墨田区の各署の剣道場を回っており、両さんからは「新人歌手のキャンペーンみたい」と言われる。
大会出場を渋る両さんに向かって、現金千円で釣ろうとする部長だったが、「ぼく 夏目さん(当時の千円札は夏目漱石)きらいなんだ 福沢幸雄のひいおじいさんの写真がほしいな ファンだから」と言い返す。福沢幸雄は福沢諭吉(当時の一万円札)の曽孫のレーサー、モデル、実業家。
タイトルの「交剣知愛」は、「剣を交えて愛(おし)むを知ること」という剣道の言葉で、2巻「交剣知愛…の巻」でもタイトルに用いられた。
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価格:460円 |
この巻からボーナス争奪戦が始まる。
ボーナス争奪戦は145巻まで続く因縁の対決になる。
魔法使いのじいさん・花山理香と本田の妹・伊歩が、この巻から初登場。
本田の弟・門樹については、ほとんど出番がないのだが、伊歩の方は後に学生結婚するなど、出番はそれなりにある。