「こちら葛飾区亀有公園前派出所」96巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1995年12月発売)
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●両津線本日運行!?の巻
ストーリー
葛飾署の女子寮の前にできた中川鉄道の駅だったが、肝心の電車が通らないため、両さんが中川に無理を言い定期運行させるようにする。
日本ではもう使わなくなり、アジアなどに売却される車両があることを知った両さんは、車両があれば路線が拡大できると考え、勝手に路線を延伸する。
女子寮と葛飾署間だった路線は、浅草の両さんの実家、月島の祖父・勘兵衛の家、数寄屋橋の行きつけの飲み屋の前と、個人的な場所をつないで延伸していく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津銀次、両津よね
地下鉄路線を勝手に延伸する話。
女子寮の前の駅は95巻「浅草サンバカーニバル(前編)の巻」で開通させたもの。
建設省や運輸省(当時)の認可が必要と言われるが、「いいんだよ! 地下の事は気づかん!」と豪語し強引に事を進める。
勝手に作るだけでなく、既存の地下鉄路線の真下を通して、既存路線から電気を奪うというムチャクチャっぷり。
この回では、地下鉄に関する様々な知識が解説されているが、都内には地下鉄の環状線がないと言われている。当時は大江戸線(都営12号線)が環状につながっていなかった。
都電の路線を勝手に拡張する話は、154巻「線路は続くよ!どこまでも!?の巻」に収録されている。
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●それぞれの夏…の巻
ストーリー
署の新聞の特集に使うという理由で、両さん、中川、麗子は三人の小学生時代の作文などを持ってくる。
麗子の絵日記はギリシアの海の別荘、中川は中田でのスキーが描かれていたが、両さんの絵日記は千葉の海水浴場。
中川はビバリーヒルズのプール掃除のバイト、麗子はフランスでベビーシッターのバイトをしていた。中川たちは社会勉強のためのバイトだったが、両さんは民宿代を浮かすために海の家でバイトしていた。
主な登場人物
小学生時代の夏の思い出を語り合う話。
両さんの文集では、同級生はみんな小学生時代の両さんが女の子を泣かしていた思い出などを書いていて、部長に「文集のテーマがお前の事ばかり」と言われてしまう。
冒頭、初秋なのに両さんはアロハシャツで現れ、一年中アロハを愛し日本を常夏にすると語る。
アロハの話は100巻「アロハ天国の巻」、101巻「コンビニゲームバトル!!の巻」、122巻「アロハな生き方教えます!の巻」でも出てくる。
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●麗子のプライベートの巻
ストーリー
両さんと大ゲンカをした麗子は、派出所にバッグを忘れていってしまう。
両さんは中川の車で麗子の家にバッグを届けに行くが、麗子はすぐに家から外出。
中川とともに追跡をしていくが、横浜で社長業、京都で系列ホテルの建設計画の視察、山口で陶芸の巨匠の集まりに参加、長崎で米国のテレビ局の取材、東京に戻ってアラブの国王のパーティーに出席と超多忙でバッグを渡す隙がない。
翌日早々には、麗子は地元の神戸に向かい、阪神大震災の被災地でボランティアをするのだった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、早乙女リカ、秋本飛飛丸
バッグを届けに行こうとして麗子の休日を垣間見る話。
両さんとの大ゲンカは、個人輸入の会社を作ろうする両さんのため、専門業者や弁護士、税理士を麗子の人脈で集めたのに、両さんが寝過ごしてすっぽかしたことが原因。
日本中を飛び回る麗子は、高速をポルシェで爆走するだけでなく、ヘリやジェット機を用いて移動しており、中川と一緒でなければ追跡は不可能だった。
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●ベンチャービジネスじいさん!の巻
ストーリー
一人暮らしの老人が一か月部屋から出てこないと大家の男性から相談を受け、孤独死の可能性から両さんたちも部屋を開ける立ち合いに。
しかし、部屋には誰もおらず、本人は両さんの祖父・勘兵衛と一緒に一か月間米国旅行をしていたのだった。
年金生活の老人のどこにそんな旅行の金があるのかと両さんが訝しむと、勘兵衛は自宅兼の長屋にゲーム会社R・G・C(リョーツ・ゲーム・カンパニー)を立ち上げ大ヒットをさせていた。
R・G・Cのスタッフ5人の平均年齢は88歳ながら今時の美少女ゲームを作っていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津勘兵衛、両津金次郎
祖父・勘兵衛がゲーム会社を作っていた話。
この連載時、勘兵衛は105歳、日露戦争(1904~1905)にも参加しており、太平洋戦争の真珠湾攻撃の時には空母「飛龍」に乗船していたという設定。
R・G・Cのキャラデザ担当の足立は90歳、「のらくろ」の田河水泡や「猿飛佐助」の杉浦茂のところでアシスタントをしていたことになっている。
ラストで両さんにR・G・Cの経営を任せたことになっているが、以降の話では両さんに任せた設定はなかったことに。
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●両さんの免許証の巻
ストーリー
運転免許証が小型化されテレホンカードと同じサイズに。両さんの免許証は、大型二種、けん引、タクシー運転手になれる普通二種などすべての免許を取得していた。
しかし、両さんの免許証は有効期限が過ぎていた。誕生日から半年近くが経過し、救済措置ギリギリの期日で葛飾署で更新をすることになる。
だが、免許証に使用する写真撮影で両さんはふざけてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一
運転免許証の話。
中川と麗子は外国で免許を取得しており、国際運転免許証を使用している。そのため、米国の州ごとの免許制度についても言及されている。
両さんは、軽自動車しか乗れない軽免許証(1968年廃止)を16歳で取得していた。その流れで、ホンダN360、スバル360などの往年の軽自動車についても紹介されている。
両さんが更新の写真撮影のときに着用したのはカトちゃんヅラ。その場で注意されるが「あんたもカツラを取って写したんだな!」と反論している。
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●鳥の目(バードアイ)でご案内!の巻
ストーリー
車マニアからワーゲンの水陸両用車を10万円で購入した両さん。カーナビを欲しがっていたところ、本田がクイズのプレゼントでカーナビを当てたので、両さんの車に取り付ける。
ナビを取り付ける代わりとして、乙姫とのデートに両さんの車を借りられることになった本田。両さんもデートに同行。
ディズニーランドに向かう途中、ナビで渋滞を予想し、水路を走行。
だが、移動の途中で大雨が振り、街は洪水の様相を呈する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、乙姫菜々
当時最新のバードアイの三次元の視点で見ることができるカーナビの話。
といっても、水陸両用車のイメージの方が強い話。
本田はカーナビを当てたが、バイクしか持っていないので、使うアテがなかった。
前話での両さんの免許失効の設定は、なかったことになっている。
この両さんの水陸両用車についても、その後の話では登場しない。
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●写真現像お安くします!の巻
ストーリー
スピード写真現像のDPE店が最近増えてきた。
利益率が高いとにらんだ両さんは、中川の系列のチェーン店のDPE店を開店する。
最初は派出所で開店するが、部長に怒られたので地域住民サービスと称し葛飾署前で店を開く。
商売は好調だったが、向かいにプリント料金が両さんの店より安いDPE店が登場。両さんは対抗して、より安く仕上げる価格競争を仕掛ける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、寺井洋一、本田速人、屯田五目須(署長)
写真現像のDPE店の話。
フィルム撮影が一般的には行われなくなった現在では、DPE店もほとんど見られなくなった。
一般的な写真現像としてではなく、DPE店の機械を用いての現像について描かれており、詳細に取材された模様。
現像液を薄めたり、他店の使用済み現像液を再利用したりと、あの手この手で原価を下げるが、ライバル店はさらに価格を下げてくる。
終いには、そのライバル店で現像して差額を取ったり、定着液を無くして客に渡す瞬間だけ発色していればよいと考えたりと、ヒドい商売に手を染めていく。
デフレの値下げ競争が経済を破壊する様子がよくわかる。
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●進め!両さん鑑定団の巻
ストーリー
仲間たちとともに、両さんは懐かしいおもちゃなどを鑑定する鑑定士協会を発足。
廃業するおもちゃ屋の在庫を鑑定などを行う他、仲間内で勉強会を行うなど精力的に活動。
鑑定士協会には様々な品も送られてきており、マニア手作りの1/1のGIジョー、コーワのカエルやサトウのサトちゃんなどの店頭キャラなどの大きな品物も届くのだった。
主な登場人物
鑑定士協会を発足する話。
1994年から「開運!なんでも鑑定団」の放送が開始して少ししてからの頃の掲載。
SMAP人形が6体セットになっており、当時は6人グループだった頃だと分かる。
色々な珍しいアイテムが登場するが、その分、物語としてはあまり大きく動かない。
収集家にとって「あんたが死んだら ただのゴミよ!」と言われるのは禁句だと描かれる。
184巻「コレクターお見合いの巻」でも同様の禁句について描かれる。
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●コンビニ天国!!の巻
ストーリー
コンビニに日頃から入りびたる両さんは、おでんを食べただけでセブンイレブンだと言い当てるほどのコンビニ通。
コンビニは、一人暮らしのオアシスだと中川たちに熱弁する。
ニコニコ寮の前には新たなコンビニが出店し、喜ぶ両さん。
期限切れの食品が相当廃棄されると知った両さんは、コンビニを回り強引に廃棄商品を回収して回る。
主な登場人物
コンビニについて熱く語る話。
10数年前は、正月に商店街はどこも休みになるので、年末に食料を買いそびれると独り身には死活問題だったが、コンビニの登場が救世主になったと語られる。
両さんの記憶では、コンビニのシャッターは昭和64年の大喪の礼(昭和天皇崩御)の日に閉店したときに一度使われたとのこと。
当時のコンビニには薬はない、いやらしい本はある、と現在と少し違っている。
廃棄食品については、189巻「1/3ルールの巻」でも描かれている。
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「ベンチャービジネスじいさん!の巻」で、祖父の勘兵衛がゲーム会社を設立。
その後も勘兵衛は様々なビジネスをして成功させるキャラとなる。
最後は失敗となる両さんとは異なり、商売上手なキャライメージとなる。
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