「こちら葛飾区亀有公園前派出所」140巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2004年6月発売)
●通天閣署・御堂春登場!!の巻
ストーリー
大阪まで車でスチャラカ鼻子を見に来た両さんと中川は、劇場を探している最中、密輸団の取引現場に出くわしてしまう。
警察官の制服姿の両さんを見た密輸団は、あわてて逃走を図るが、取引の相手が囮捜査をしていた通天閣署の御堂春巡査だったため、その場で逮捕。だが、密輸団の数人は逃してしまう。
取り逃がしたことの責任の一端を感じた両さんと中川は捜査に協力することとし、通天閣署を訪れる。
主な登場人物
大阪の御堂春が初登場する回。密輸団との決着は、次の回に持ち越しとなるため、実質前後編の構成。
このときの通天閣署は、名前の通り通天閣を模した建物で、大きなカニのデコレーションがされていた。中は、全面紫とピンクのキャバレーのような仕様。
春はオリンピックの射撃で銅メダルを取った経歴だが、署員たちは、そのことよりも婦警で日本一の発砲数(年間800発)を誇っており、銅メダルは花瓶敷に使用していた。
●大阪捜査網!?の巻
ストーリー
前回取り逃がした密輸団が、関西国際空港に爆弾を仕掛け、5億円の現金を要求してきた。5億円の現金を用意し、関空に向かう通天閣署の一行に同行する両さんと中川。
いったんは犯人を確保するも、通天閣署のうっかりミスで再度逃がしてしまう。
爆発までの時間が迫る中、両さんと春は小型飛行機で爆弾を捨てようと飛び立つと、5億円を持って逃走中の犯人を見つける。
主な登場人物
前回に引き続き、大阪での密輸団の捜査の話。相手の犯人が、前回は密輸(麻薬? ブツは何か不明)をしていたのに、今回は爆弾犯になっている。
全体的にはドタバタな展開の回。
この頃の春は、両さんにあまり敵意を向けておらず、ニコニコ話しかけている。
●おなべの中身は何だろな?の巻
ストーリー
浅草からおでんを買ってきた両さんは、派出所で中川、麗子とおでんを囲んだ昼食をとる。食事中、好きな具材の話題や、おでんをおかずとして食事するかといった話で盛り上がる。
後日、署恒例の鍋会の幹事を任された両さん。両さんはクイズに正解したチームだけ、具材をゲットできる企画を実行。途中からは、クイズに外れるとザリガニや栗のイガなどの罰ゲーム的な具材を入れられるようになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、寺井洋一、麻里愛、ボルボ西郷、左近寺竜之介、早乙女リカ、坊那須課長、屯田五目須(署長)
おでんの話。前半は中川、麗子と好きなおでんの具材やおでんをご飯のおかずにするかどうかを論じる話で、後半は署の鍋会で具材争奪のクイズ大会になる話。
おでんをおかずにご飯を食べる両さんの食生活に、中川と麗子は理解を示さなかった。割と普通だと思うのだが。
具材争奪のクイズの一問に、「おややの新曲のタイトルは?」と松浦亜弥(あやや)が元ネタと思われる歌手の曲が出題される。流行りの曲が分からない部長たちは「おやや軍歌」という間違いをするが、正解は「おややのクリスマス音頭」という当たらずしも遠からずといった回答だった。
ストーリー
味の鑑定師としての檸檬は大忙し。ブランド米の中に別の米が混ざっていないかの鑑定を頼まれる他、超神田寿司の試作の評価、名店料理会の食事会と食べてばかり。
ある日、纏の弁当を届けに訪れた葛飾署で婦警からダイエットの話を聞いた檸檬は、突如、味の鑑定をやめると言い出す。檸檬の鑑定がなくなり、超神田寿司はパニック。夏春都は檸檬に貧しかった子供のころの話を語って聞かせる。
主な登場人物
両津勘吉、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都、擬宝珠蜜柑、擬宝珠桔梗、電極スパーク、両津勘兵衛
檸檬がダイエットのために味の鑑定をやめる話。作中では年を取らないので、何年もやっているが、設定上は4歳の檸檬が鑑定をし出したのは、ここ1年くらいのはず。それがなくなってパニックになる超神田寿司の体制に問題があるような気がする。
夏春都が檸檬に語った話は、いつも腹をすかせていた子供の頃の話。兄・勘兵衛が畑から芋を取ってきてくれた思い出を話す。勘兵衛のことは嫌っているはずなのだが、良い思い出もそれなりにある様子。
●妙隠寺(みょうおんじ)母子像の願いの巻
ストーリー
江戸川の畑に奇妙な形のミステリーサークルが発生。平安時代から続く陰陽師の家系で、不思議な物が観える早矢の観たイメージとあわせ、クリスマス会を実施予定の幼稚園の子供に何かが起こるのではないかと警戒。ジェット燃料を運ぶトレーラーが近くを通ることが判明し、そのトレーラーを発見すると、運転手の意識がない。両さんはヘリからトレーラーに飛び移り、強引に止めようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、寺井洋一、擬宝珠纏、磯鷲早矢、乙姫菜々、早乙女リカ
運転手に取りついた霊と、その仕業を阻止しようと妙隠寺の母子像の報せが現れる話。運転手に取りついていた霊が両さんに取りつくと、相対性理論や四次元リーマン空間などの物理学についてブツブツとつぶやくようになる。
早矢が陰陽師の家系なのは母方に由来するとのことなので、父・剣之介は霊感は特にないのかもしれない。
なお、両さんには大量の貧乏神がついているとのこと。
●おせち料理で大儲け!?の巻
ストーリー
早矢たちがボランティアで地域住民へのおせちを作っており、そのうち犬用のおせちを両さんが届けに行くことに。自身の自転車が使えなかったため、本田の白バイを借り大金持ちの豪邸に届けに行く。
他にも、人間用の豪華おせちについて、届け先への宅配便の伝票の印刷作業も頼まれた両さんは、嫌がらせで気に食わない人たちへペットフードなどの入ったおせちを送り付け、本物のおせちを勝手に販売して商売にする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、寺井洋一、擬宝珠纏、磯鷲早矢、乙姫菜々、早乙女リカ
ボランティアのおせちを横流しで販売する話。犬用のおせちが存在することにショックを受けた両さんは、「今にお犬様用のフィットネスクラブとか…」と犬用の高級サービスが次々出てくるのでは、と懸念していた。
この回で纏はミニパトの警官なのに、シートベルト着用違反をしていた。
今回の悪事がバレて、両さんは30年後の2034年まで減給処分になった。そこまで減給になるのだったら、警察官を辞めたら良いのに。
●大阪通天閣署ラプソディーの巻
ストーリー
両さんと中川は大阪への出張を命じられる。行先は、以前に知り合いになった通天閣署。大阪産業博で産業スパイが多発するため、二人は出向の要請を受けたのだった。
しかし、与えられた仕事は、通天閣署のボランティア出店で、両さんがもんじゃ焼き、春がタコ焼きの実演販売すること。産業スパイと関係ない仕事と、もんじゃを関西人にバカにされたことで両さんがイラついていると、捕まりそうになった産業スパイが作りかけのタコ焼きの中に重要情報の入ったICメモリを隠してしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、御堂春、芦原レイ、浪花署長
「大阪捜査網!?の巻」に続いて大阪に行く話。前回の話で爆発してしまったので、通天閣署は仮の建物として、くいだおれ太郎を模した建物になっていた。
後半はICメモリを巡って産業スパイたちと争奪戦を繰り広げることになる。産業スパイだけでなく、浪花署長までもが街中で対戦車砲のRPG-7をぶっ放しまくる。
●新年、新築、新気分!の巻
ストーリー
葛飾署が建て替え工事をすることになり、中川のツテで巨匠建築家のマックス・スタイナーに依頼できることに。アジア圏でスタイナーの作品が作られることは初めてのため、世界中のマスコミでも話題になる。
スタイナーは、以前に両さんが大会に出したジオラマを見たことがあり、新葛飾署の模型作りを両さんが作成することになる。両さんは作った模型を提出するのだが、その際、間違って檸檬の図工の宿題を持って行ってしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)、警視総監、擬宝珠檸檬、擬宝珠纏、擬宝珠夜婁紫喰、マックス・スタイナー
葛飾署が建て替え工事をする話。スタイナーは「直線の魔術師」と呼ばれるほど、直線的なデザインが特徴の建築家だが、出来上がった新葛飾署は直線のまったくないデザインだった。ここで完成した新葛飾署は、143巻「うさぎが跳んでいった日の巻」で再度建て替えされるまで続く。
せっかく両さんが作った模型を見もせずにハンコを押す署長と警視総監の様子は、現実のお役所仕事を見ているよう。
マックス・スタイナーというと、同名の作曲家が実在する。
●東西対抗大野球の巻
ストーリー
第一回全日本警察野球大会で新葛飾署は東日本地区代表となり、甲子園球場での決勝戦に進む。
西日本代表は、大阪の通天閣署。動物の着ぐるみを着てくる笑いを入れてくる通天閣署ながら、野球の実力は本物。
決勝戦は署長も参加がルールになるので、野球経験のない屯田署長を擁する新葛飾署は不利。それでも優勝のハワイ旅行を目指して両さんは一人気を吐く。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、ボルボ西郷、左近寺竜之介、屯田五目須(署長)、御堂春、浪花署長
通天閣署と野球対決する話。両さんはピッチャーなのに、外野まで走って、フェンスをジャンプしホームランを阻止する。それだけの運動量があるなら、一人でグラウンド全面を守れてしまいそう。
両さんの頑張りばかりが目立つのに、最後に両さんが責められるのはかわいそう。
この巻から通天閣署と御堂春が登場する。
しかし、春というキャラクターはあまり読者からの人気を得られていない印象。
麗子や纏といった勝気な女性キャラは他にもいるが、春は両さんに対して常に対抗意識を出して、常にケンカ腰の態度なのが原因ではないかと思う。
また、東京出身の秋本先生の考える大阪ノリが実態と合わなかったのかもしれない。