「こちら葛飾区亀有公園前派出所」143巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2005年1月発売)
●大阪はわての地元でんがな!の巻
ストーリー
三日間の出張で大阪を訪れた両さんは、中川と串カツ屋に入ると、そこは春の実家だった。偶然の遭遇に驚く両さんと春。通天閣署に出勤する春と同行し、東京と大阪の違いについて語っていると、電器店街で強奪事件が発生、春の行動力と通天閣署の機動力で犯人を追い詰める。
主な登場人物
出張で大阪を訪れる話。大阪の「日本橋」は「にほんばし」ではなく「にっぽんばし」、マクドナルドの略称は「マック」ではなく「マクド」などの他、電気の周波数の東西50Hzと60Hzの違いなどが語られる。
この回から通天閣署は武装ヘリ「ふぐ太郎」を所有していることが描かれ、以降もたびたび登場する。
春の実家の串カツ屋に入ると、筋肉質の屈強な店員がいるが、それは春の父ではない。
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●通天閣ジャックあらわる!の巻
ストーリー
春の実家で朝を迎えた両さんと中川。前回のラストで通天閣署の一部が爆破されたニュースから、新葛飾署からお詫びとして両さんが通天閣署に出向となったことを知る。
春は中川に大阪を案内しようと通天閣に連れていくと、通天閣の展望台にタワージャック犯が現れる。人間20名ほどの他、ビリケンさんを人質に大阪オリンピック実現を要求する犯人。通天閣署の面々が説得を試みるも、どれもうまくいかず、両さんと春は展望台に突入する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)、御堂春、浪花署長
通天閣ジャック犯と対決する話。この話で春には6人の弟がおり、加計府(かけふ)、江素(えもと)、信条(しんじょう)、多淵(たぶち)、場酢(ばーす)、岡駄(おかだ)と阪神タイガースの選手の名前がついていることが明かされる。彼ら弟たちは144巻「御堂家の人々~上京編~の巻」で東京にやってくる。
さらに通天閣署の海鞘(ほや)部長刑事、後馬(ごば)次長、比栗(びっくり)課長、貫井崎(ぬくいざき)係長とキャラの強そうな署員たちも紹介されるが、彼らはこの後はモブキャラ的な登場ばかりで、出番らしい出番はあまりなかった。
この回の通天閣ジャック犯は179巻「気がついたら大阪の巻」で再登場する。
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●大阪の一番熱い日!!の巻
ストーリー
両さんと中川は引き続き春の実家の世話になっていた。中川は社長業で、大阪での新ビル完成式のイベントに出席。両さんは出向者として通天閣署に出勤。
通天閣署では日常的な様々な騒動の対応の他、阪神タイガースの応援、演歌歌手・浪花三郎太の一日署長など、てんやわんや。
そんな最中、外国人によるパチンコ店の強奪事件が発生、一方で中川の新ビルには爆弾予告の電話が来る。
主な登場人物
出向した通天閣署でのある一日の話。中川の大阪での新ビルは、赤ちょうちんの上にきつねうどんのドンブリを何杯も重ねたような奇抜な形をしていた。
中川のスーツは、春の母親に洗濯されてしまったので、代わりに春の父親のスーツを借り、つんつるてんの姿で新ビルのイベントに挑むことになる。借り物のスーツでサイズが合わないのは分かるのだが、なぜか靴がハイヒールのサンダルになっている。
ラストのショックでおかしくなった中川が「ちょんわ ちょんわ」「くえっ くえっ」と、大阪が舞台のマンガ「嗚呼!!花の応援団」のギャグを披露している。
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●希(ねが)いの石切劔箭(いしきりつるぎや)神社の巻
ストーリー
春とレイは、両さんと中川を連れて石切劔箭神社を訪れる。亀に祈りを込めて放つ「祈亀」に両さんは大金を望み、春は今度のレースでの一位を願う。春はB級ライセンスを取得し、交通課の仲間たちとカーレースに参加していたのだ。F1ドライバーでもある中川が春にアドバイスをしようとするが、意外にも春は断る。去年のレースで事故死した仲間のドライバー・鉄兵の思いを受け継ぎ、一人の力でレースに勝とうとしていたのだった。
主な登場人物
引き続きの大阪回だが、次の「友情のチェッカーフラッグの巻」の話と合わせて2話構成の前編。
後半は、春のレースにかける思いが割とシリアス目のトーンで描かれるが、前半は「放出(はなてん)」「十三(じゅうそう)」といった大阪の難読地名や、東京のマルイビルの「OIOI」表記を巡って、両さんと春らが言い争う様子が描かれる。
(連載当時なんばマルイ(2006年)はまだない)
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●友情のチェッカーフラッグの巻
ストーリー
レース当日、春の乗るトラ吉号は見た目こそ96年型のロータスエリーゼだが、ダイハツ車ベースの改造エンジンなど、流用パーツを寄せ集めたMade in 大阪の車。春は事故死した鉄兵の思いを胸に勝利を誓う。最新のロータスエリーゼ111Rに1500万円の改造を施し、ドイツ人ドライバーを用意した強敵・東京GIANTチームなど強敵の後塵を拝する春だったが、予想外の雨が降り出したことで、車の性能差が小さくなり、春にも勝機が見えてくる。
主な登場人物
前回に続いての春のレースの話。東京GIANT以外に登場したチームに「浪花陸運」がある。そこのドライバーは、最初こそ女の春に否定的だったが、レース時には春の窮地を救ってくれ、人情に厚いところを見せてくる。
東京GIANTのドイツ人ドライバーの顔がラストだけ外人っぽくなくて、印象が異なって見える。
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●オールボアール大阪の巻
ストーリー
警察官としての有休中に社長業で大阪に行っていた中川が派出所に戻ってきた。しかし、出向の両さんは戻ってきていない。
通天閣署は24時間勤務で忙しく、脱走を何度も試みるが、その度に見つかって連れ戻されていた。陸路は封じられたため、大阪湾から東京まで泳いで戻ってくるも、大阪での三週間で、すっかり両さんは大阪弁に。超神田寿司でも大阪弁の両さんは違和感を持って迎えられる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、御堂春、浪花署長、擬宝珠檸檬、擬宝珠纏、擬宝珠夏春都、擬宝珠夜婁紫喰、擬宝珠蜜柑
出向していた両さんが東京に戻ってくる話。脱獄囚のような方法で大阪を脱走した両さんだったが、その後、特に通天閣署から召還要請などはなかった模様。
交代なしでの一人24時間フル勤務はブラック過ぎるので、脱走したくなる気持ちは充分分かる。
泳いで亀有まで戻ってきたという両さんの話に「タマちゃんみたい」と麗子は評する。タマちゃんは2002年~2004年ごろまでに多摩川などに現れたアザラシのこと。
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●うさぎが跳んでいった日の巻
ストーリー
纏と一緒に久々に新葛飾署に出勤すると、署の建物がなくなっていた。世界的に有名な建築家の作品だったため、売却されたのだった。
サーカスのようなテントを仮の庁舎として、署員は住民の相談に乗っていた。
両さんは戸塚とパトロールに向かうと、フータローやタバコ屋の婆さん、その孫の洋子、かつて派出所に出入りしていた犬など、懐かしい面々に出会う。パトロール中に寄った食堂では、食い逃げ犯に出くわし、両さんと戸塚は格闘で捕まえようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人、法条正義、屯田五目須(署長)、擬宝珠纏、戸塚金次、フータロー、佐々木洋子、佐々木小春(タバコ屋の婆さん)、犬
140巻「新年、新築、新気分!の巻」でうさぎの形となった新葛飾署が再度改築される間、署員が住民の相談に乗る話。
中川が企業相談、本田がバイクの修理などを頼まれる中、ナベの修理や江戸時代の浪人のような傘張りが両さんの仕事と言われ、ノリツッコミを見せる。
戸塚や洋子のような懐かしいキャラが走馬灯のように続々と出てくることで、「わし 死ぬんじゃないかな…」と両さんは不安になる。
序盤の纏と一緒に出勤するシーンでは、神田明神や聖橋を上から俯瞰で見た構図をやたらと多用している。
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●部長の登山入門!?の巻
ストーリー
最近、登山にハマっている部長は、登山仲間との次の約束まで待ちきれなくて両さんを登山に誘う。ちょうどマリアとハイキングに行く先約があったので、マリアも伴って三人で山に。
両さんとマリアが軽装なことに苦言を呈する部長だったが、体力がケタ違いの両さん、男だった頃に拳法の強化合宿で山籠もりをしていたマリアのペースについていけない。途中で登頂を諦め下山するが、落雷によりロープウェイが途中で止まってしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛
部長とマリアと登山に行く話。マリアは翻堕羅拳法の合宿で、3000メートル級の山はだいたい登っており、冬山でも道着一枚、飲まず食わずで十日間過ごしたりといった経験があり、磁石なしで方角が分かるなど部長以上の登山のベテランだった。
マリアは過酷な修行をしていたようだが、あのインチキくさい父親も同じように過酷な修行をしていたとは何だか思えない。
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●オチてオチてオチまくる!の巻
ストーリー
両さん、中川、麗子はスカイダイビングの経験があり、法条と本田をダイビングに誘う。
それをきっかけに、新葛飾署でもスカイダイビングクラブを作り、初心者を募る。麗子とジョディーを初心者のためのタンデム係にしたため、スケベ心から部長や署長もクラブに参加。米国のTV局からクラブの取材申し込みがくるまでになる。
取材の日、両さんはそろいのジャンプスーツをメンバーに用意するが、それは空中で脱げる仕組みになっており、強制的にネイキッドスカイダイビングになる仕掛けだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、法条正義、ボルボ西郷、屯田五目須(署長)、ジョディー・爆竜・カレン
スカイダイビングをする話。嫌がる本田と法条をなかばムリヤリ飛ばそうとするのだが、当日の法条の描写はあるも、本田の描写はない。珍しく、両さんの強制的な誘いを断ることができたのかもしれない。
最後の空中で服が脱げてネイキッドになるシーンでは、部長ら中年男性、麗子らの女性陣も下着姿になり、両さん自身も下着になるのだが、なぜか中川だけは同じジャンプスーツで飛んだはずなのに下着姿を回避している。
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大阪の話だけで6話も収録されている。
「うさぎが跳んでいった日の巻」から新葛飾署がうさぎの形から通常の建物の形に変わる。(名称は新葛飾署のまま)
この話では、懐かしのキャラが何人も登場しており、仕切り直しのような意味合いがあるのかもしれない。