2022年3月19日に発売の「JOJO magazine 2022 SPRING」に掲載された「岸辺露伴は動かない」シリーズの最新作「ホットサマー・マーサ」の感想など。(オチのネタバレなし)
あらすじ
漫画家・岸辺露伴は三つの悩みを抱えていた。
一つ目は、新作「ホットサマー・マーサ」のキャラデザインについて、担当編集者の泉京香から他作品の著作権を侵害する恐れがあるので、デザインの変更を言われていること。
二つ目は、熱心な女性ファンが自宅の敷地の中にまで押しかけてくるようになったこと。
三つ目は、コロナ禍で取材に出ることができず、スランプに陥っていることだった。
緊急事態宣言下で出かけられず、不満の溜まる露伴の限られた外出は、子犬のバキンの散歩だけだった。
散歩の途中、露伴は偶然、近所の神社の老木の幹の中に、鏡をご神体にした拝殿のような施設があることを発見する。
好奇心をそそられる事実の発見に、気分のあがる露伴だったが、帰宅すると新作の原稿はすでに完成していた。
子犬のバキンにいつの間にか立派な牙が生えており、熱心なファンの女性は馴れ馴れしい態度で勝手に露伴の自宅に入り込んでいた。
日付を見ると、散歩に出かける前には7月だったのが10月になっていた……
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「ホットサマー・マーサ」は露伴先生の新作タイトル
本作のタイトル「ホットサマー・マーサ」は、露伴先生の新作のタイトルでもある。
その新作のキャラデザインが、編集者の京香いわく「著作権的にいろいろ面倒くさい事になるから」とのことで変更を申し渡されているのだが、
「円の3つ」「2つの円が『耳』になっている」「キャラの色も黒」ということで、はっきりと作中では言及されてはいないものの、某夢の国の世界一有名なネズミのことだと推測できる。
ただ、「ホットサマー・マーサ」の2つの円は『耳』ではなく『目』らしい。
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コロナ禍でスランプになる露伴先生
本作は2021年~2022年が舞台になっており、露伴先生もコロナ禍の対策を余儀なくされている。
マスクをしていることで「酸素が脳に行かずにバカになるぞ‼」と叫び、「全て何もかもの原因の根本はずっとコロナ禍で どこへも出掛けてないからだ」と珍しく弱音を漏らし、原稿も進んでいない。
第6部「ストーン・オーシャン」の加速する世界ですら、締め切りを守り続けていた超人漫画家・露伴先生であってもスランプはあるらしい。
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担当編集者は「富豪村」の泉京香
本作の担当編集者は「富豪村」のエピソードでも登場した泉京香。
ドラマ版では、レギュラーキャラだったし、荒木先生もお気に入りのキャラのようである。
「六壁坂」の時の男性編集者は、もう登場しないかもしれない。
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ストーカー女がめっちゃ怖い
本作は、三か月の時間が飛んでいて、その間の自分の記憶がまったくないという部分がホラーとして怖いのだが、それ以上にウサギの耳を付けたストーカー女の存在が怖すぎる。
本作から教訓めいたことを読み取るなら、
・立ち入ってはならない神聖な場所には入るべきではない
・不用意に女を近づけるべきではない
といったところではないだろうか。
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感想
原稿が思うように描けなかったり、子犬を飼っていたりと、これまでのイメージとは違った面を見せる露伴先生だったが、3か月の時が進んでいたことに対し
「僕が描いていない『絵』が
僕の『絵』でこの世に出回っているッ‼」
「そーゆーのは許せないんだよッ!」
という動機は相変わらず露伴先生らしくて安心した。