「銀河英雄伝説」の自分用のあらすじの覚書。
野望篇の第九章。
第九章 さらば、遠き日
貴族連合軍を討ち果たしたラインハルト軍、貴族連合軍が拠点としていたガイエスブルク要塞で勝利の式典を執り行う。
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ジークフリード・キルヒアイス、式典の広間入り口で腰のブラスターを外すよう言われる。
(これまでは特例で武器の携行が可能だった)
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戦勝式では、捕虜となった高級士官の引見が開始。
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ファーレンハイト、捕虜からラインハルトの配下に。
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アンスバッハ准将、ガラスケースに収めたブラウンシュヴァイク公の遺体とともにラインハルトに謁見。
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アンスバッハ、ブラウンシュヴァイク公の遺体に隠していたハンド・キャノンでラインハルトを射殺しようとする。
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キルヒアイス、アンスバッハに躍りかかり、ハンド・キャノンの射線をそらし、ラインハルトの生命を救う。
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アンスバッハ、指輪に擬したレーザー銃でキルヒアイスを撃つ。
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アンスバッハ
「ブラウンシュヴァイク公、お許しください。
この無能者は誓約をはたせませんでした。
金髪の孺子が地獄へ堕ちるには、あと幾年かかりそうです……」
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アンスバッハ、奥歯に仕込んでいた毒のカプセルを噛み砕き、自死。
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「ラインハルトさま……
宇宙を手にお入れください。
それと、アンネローゼさまにお伝えください。
ジークは昔の誓いをまもったと」
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キルヒアイスの死にラインハルトは憔悴、その間に提督たちは今後について相談。
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オーベルシュタインの案で、ラインハルトについては姉のアンネローゼにお願いすること、キルヒアイスの暗殺は帝国宰相リヒテンラーデ公によるものとでっち上げ、リヒテンラーデを逮捕することを決める。
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ロイエンタール、首都星オーディンに帰還し、暗殺の主犯としてリヒテンラーデ公を逮捕。
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ミッターマイヤー、宰相府に乱入し国璽を奪取する。
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アンネローゼ、超高速通信で憔悴のラインハルトを慰めると、当分は会わないことを提案。
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アンネローゼ
「わたしはあなたの傍にいないほうがいいのです。
生き方がちがうのだから……
わたしには過去があるだけ。でもあなたには未来があるわ」
ラインハルト、ロイエンタールやミッターマイヤーの働きの報告を受けると、リヒテンラーデには自死を勧めるように、一族の女子供は辺境に流刑、一〇歳以上の男子は死刑とするよう指示。
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ラインハルト
「(九歳以下の男子が)もし、成長して私を討とうとするなら、それもよい。(中略)
卿らも同様だ。私を倒すだけの自信と覚悟があるなら、いつでも挑んできてかまわないぞ」
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ラインハルト、爵位を公爵に進め、帝国軍最高司令官の地位そのままに帝国宰相の座につき、実質的に帝国を支配する立場に。
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ロイエンタール、ミッターマイヤー、オーベルシュタインは上級大将に昇進、ケンプ、ビッテンフェルト、ワーレン、ルッツ、メックリンガー、ミュラー、ケスラー、ファーレンハイトは大将に昇進。
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ラインハルト、故人となったキルヒアイスに帝国元帥、軍務尚書、統帥本部長、宇宙艦隊司令長官、帝国軍最高司令官代理、帝国宰相顧問の称号を送るが、墓碑には「わが友」とだけ刻む。
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クーデターを鎮圧した自由惑星同盟、秩序回復の式典を執り行うことに。
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式典内で、制服代表のヤン・ウェンリー、私服代表のヨブ・トリューニヒトと不本意ながら握手をする。
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式典後、メルカッツが銀河帝国からイゼルローン要塞に亡命した報せを受ける。
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ヤン、メルカッツを中将待遇の客員提督としてイゼルローン要塞司令官顧問に任命。
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ヤン自身は昇進せず勲章だけだったが、部下のシェーンコップは少将に昇進。
この年、宇宙歴797年(帝国歴488年)は銀河帝国と自由惑星同盟の双方とも内乱があったが、帝国と同盟との間の争いはなかった。
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野望篇では、銀河帝国側は貴族連合とラインハルトの内乱、同盟側はヤンとクーデターとの争いが描かれたが、いずれも終結。
国璽という物は、中国史ではその国の権威の象徴として登場するけど、西洋ではあまり印象がない。
まして宇宙時代にも使われているんだろうか?
今から千八〇〇年先の未来では、ペーパーレスになってそうだけど。
この野望篇では、ラインハルトの盟友キルヒアイスが退場。
この物語の英雄・ラインハルトは、能力こそ高いものの激情家だったり、人の心境を慮る能力が低かったりするし、もう一人の英雄・ヤンにしても欠点はいくつもある。
その点、キルヒアイスについては、能力も人柄もこれといった欠点がなくて、作者にとっては扱いにくい登場人物なのかもしれない。
さて、野望篇での争いは帝国・同盟どちらも収まったものの、フェザーンが暗躍する他、トリューニヒトら同盟の政治家はヤンを危険視するなど、不穏な動きも描かれているのが、この第九章。
ラインハルトの「いつでも挑んできてかまわない」というセリフも、後に叛乱が起こることの布石になっている。
この章で気になったのは、ヤンの「逆説的だが、ルドルフを悪逆な専制者にしたのは、全人類にたいする彼の責任感と使命感なんだ」というセリフ。
悪政に対し、主人公が挙兵する物語は古今東西いくつもあると思うけど、その結果として戦争が起こり、場合によっては独裁が起こることもある。
そういう物語が英雄譚として語られることも多いが、それを正しいことと考えることは危険なのかもしれない。
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