「がんばれ!キッカーズ」と「キャプテン翼」の似ているところと違うところを、コミックス9巻の中から、具体的に指摘していく。
【ストーリー概要】
キッカーズは砂浜で朝の練習中、一人の少年に出会う。
少年は高いドリブル能力を持っていたが、名乗らずに去っていく。
放課後、中学生のサッカーの試合を見かけたキッカーズは、その試合に朝出会った少年が出場しているのを見つける。
突破力とシュートで、ゴールを決めた少年だったが、その正体は中学生ではなく、金で助っ人に雇われた小学生だった。
金で助っ人稼業をし、”汚れたエースストライカー”と呼ばれる少年の名前は兵頭俊。
後日、俊はキッカーズと同じ北原小学校に転校してくる。
優れたサッカーセンスを持った俊をキッカーズに入部させようと、翔は俊の住んでいる寺を訪ねる。
自分からボールを奪うことができれば、キッカーズ入部を考えても良い、という俊の挑発に、翔は真っ向勝負を挑む。
墓場を舞台にした勝負の結果は、翔の勝利に終わる。
俊は約束通り、キッカーズに入部するのだった。
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「キャプテン翼」では、主人公が新たな仲間を求めて、入部交渉をする場面はないので、このエピソードはまったく似ていない。
(南葛小のときに岬くんが途中加入するが、岬くんの方からやってくるので、主人公がスカウトしたワケではない)
さて、この兵藤俊の登場エピソードなのだけど、今、連載していたとすると、問題のありそうなシーンがいくつかある。
・小学生が金銭と引き換えにサッカーの試合に助っ人で出る。
・墓場でサッカーをした挙句、シュートで墓石を倒す。
・飛んでいるウミネコをサッカーボールで撃墜する。
PTA、寺社関係、動物愛護団体など、各団体から苦情が来そうな描写である。
もしかしたら当時も苦情があったのかもしれないが、連載当時の1980年代は今より表現に対して世間がおおらかだったということか。
ところで、試合に助っ人で出てた俊くんは、中学生から千円札らしき紙幣3枚と硬貨3枚を報酬として受け取っている。
彼の一試合の助っ人相場は、3,300円と見える。
なぜ、そんな半端な額なんだろうか?
もしかしたら、一試合3,000円を主張するクライアントの中学生と、4,000円を主張する俊くんの間で交渉の末に妥結した額が、3,300円だったのかもしれない。
あるいは、基本契約の上に1得点ごとに〇〇円というオプション契約が付いていたのかもしれない。
小学生のくせに、俊くんはなんてシビアな交渉をしているんだろうか。
ここが違うぞ!
キャプテン翼:新メンバーは向こうから勝手にやってくる。(岬太郎、葵新伍)
キッカーズ:新メンバーは主人公がスカウトする。
キャプテン翼:シュートで女神像を破壊する。(ステファン・レヴィン)
キッカーズ:シュートで墓石を倒す。(大地翔)
次回、キッカーズに入部した俊がチーム内にトラブルを起こすまで。