「こちら葛飾区亀有公園前派出所」110巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1998年10月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 110【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●体を張ったアルバイト!!の巻
ストーリー
部長の誕生日プレゼントを買うため、両さん、中川、麗子は、バイトしてお金を稼ぐことに。中川と麗子はモデル業で稼ぎ、両さんはお笑い事務所に所属しテレビで身体を張る仕事に就く。
ある日、伊豆の下田温泉に行くロケに向かう二組だったが、手違いでそれぞれ別の現場に行ってしまう。
両さんと女芸人スチャラカ鼻子のコンビはVIP待遇の豪華な温泉ロケ。一方、中川と麗子はお笑いコンビと見なされ、下品なギャグを強要される他、ゲテモノを食べさせられる過酷なロケをすることに。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、スチャラカ鼻子、下巣良平八
部長の誕生日プレゼントのために、中川と麗子がお笑い芸人のロケに挑む話。働いて稼いだお金で買ってこそ最高のプレゼントということでアルバイトに挑んだ。
中川にチ〇コをピタピタさせたり、麗子に巨乳を強調したギャグをさせたりしたディレクター下巣良平八は114巻「CMアイドル麗子!!の巻」でも再登場する。
大阪の芸人スチャラカ鼻子は、この後も数回登場し、飛鷹日光・月光姉妹に漫才を教えることになる。
今回の部長の誕生日は4月14日だが、変動制であることが欄外に注意書きされている。
同様のパターンで、麗子の誕生日のために部長がバイトに挑む話が111巻「恥をしのんでアルバイト!!の巻」に収録。
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●「女の敵」大追跡!!の巻
ストーリー
動きやすいからといつもミニスカートの麗子だったが、両さんとの口論からタイトなロングスカートに変更。
電車での痴漢防止キャンペーンで署員が駅に詰めていたところにも関わらず痴漢が発生。痴漢は線路づたいから高架下にまで逃走をはかるも、痴漢は現行犯が原則になるため、麗子は執念で追いかける。
タイトのロングスカートを破り、ドブの中まで麗子は追跡を続ける。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、早乙女リカ、屯田五目須(署長)
麗子が痴漢を追跡する話。
木にひっかかった子供の飛行機を取るために両さんがミニの麗子を肩車したことが、両さんに麗子のミニスカートを非難させるきっかけとなった。
この肩車のシーンと言い、痴漢追跡時にドブ川に塗れて濡れ髪になったりとセクシーなシーンが多い。
今回の痴漢の出した名刺の肩書は「建蔵省次官補佐 スーパーキャリアマン 尾食 矢太郎」というものだった。「建蔵省」というのは架空の省で、建設省と大蔵省を合わせたもの。国土交通省、財務省は2001年からなので、連載当時はまだ建設省と大蔵省が存在した。
価格:1980円 |
●超婦警・磯鷲早矢登場!の巻
ストーリー
名門の武道の家系で弓道界の有名人・磯鷲早矢が短大を卒業して葛飾署に配属となる。
早矢の影響で、葛飾署に設置予定だったコンピュータルームの着工は延期され、弓道場が作られ、弓道部が誕生する。女子のなぎなた部も作られ、柔道部と剣道部は隅に追いやられてしまう。両さんは抗議するが、実を結ぶことはなかった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、磯鷲早矢、早乙女リカ、左近寺竜之介、屯田五目須(署長)
磯鷲早矢の初登場回。
「こち亀」は前後編の前編でもきっちりオチをつけることが多いのだが、この回ではオチがなく、今後の展開を匂わせる「引き」で終わらせる珍しいパターン。
なぎなた部は弓道部とともにこの回から設立される設定も、ちゃんと描かれるのは133巻「なぎなた対決!の巻」まで待たなければならない。
両さんが密かにゲーム機を入れようと画策していた署のコンピュータルームは、21世紀末まで着工延期となった。100年先の延期というのは、実質中止。
価格:7216円 |
●両さんが恋の的(ターゲット)!?の巻
ストーリー
両さんに一目ぼれをした早矢が、矢文にしたためたラブレターを両さんに送ると、署内はたちまち大騒ぎに。
マリアは早矢に反発し、剣道で勝負をすることになる。大会で何度も優勝経験のあるマリアだったが、勝負は早矢の一本勝ち。両さんは早矢に連れていかれる。
弓道部に誘われた両さんは、女子寮の早矢の自室にも招かれ、有頂天になる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、磯鷲早矢、早乙女リカ
早矢が両さんへの好意を打ち明ける話。
早矢の警察寮の部屋は純和風になっている。公務員の寮をそこまで変えて大丈夫なものかは不明。
両さんのことを一目ぼれしたという早矢だったが、好きになったのは「声」なので、正確には一「目」ぼれではない。
この話でマリアと早矢は剣道で対決するが、111巻「早矢対麻里愛 弓道対決!!の巻」では弓道で対決する。
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●百発百中!?両津流弓道の巻
ストーリー
早矢の人気はものすごく、警察学校の新卒婦警が全員葛飾署勤務を希望。さらに他の署の現役婦警も葛飾署を希望し、その結果、大幅な人事異動が行われ、男子署員は他の署に勤務となり、葛飾署の男子はわずか3割の女子校状態となる。(その前は男子9割)
トイレや署長室などが女子用の施設に変えられ、男子がないがしろにされる現状を嘆く両さんは待遇改善を求めて、早矢ら女子と弓道対決に挑む。
普通の勝負では勝ち目がないため、両さんたち力のある男子に有利な遠的勝負、スコープの使用、動く的をポインターで追うなど、自分たちに有利なルールを追加する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、磯鷲早矢、ボルボ西郷、左近寺竜之介、早乙女リカ、屯田五目須(署長)
早矢と弓道勝負する話。
ハイテクメカを使用することについては「それが両津流派だ‼」と強引に言い切るも、早矢の側はアナログな手法で対策していく。
女子率が高くなった葛飾署は花柄のピンク色に変えられる。
この回で、ボルボ、左近寺は他の署に異動になったはずだが、その後も普通に葛飾署に所属している。
新人の婦警はプリーツのついたミニスカートに茶髪にルーズソックスと、90年代末のいわゆるコギャルのような姿になっていて、時代を感じさせる。
麗子が胸当て無しで、矢をつがえず素引きで手を放す行為は危険であることが欄外に注意書きされている。
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●CATV(ケーブルテレビ)両さんチャンネルの巻
ストーリー
葛飾署がケーブルTV局を開局。目的は、災害時の情報活動や地域住民サービスなど。
両さんは警察の仕事を理解してもらうためという名目で、24時間密着リポートの企画を通すが、実態は婦警たちの密着撮影。好評だったが署長からストップがかかってしまう。
諦めない両さんは放送していないはずの深夜帯で、婦警を集めての水泳大家などのエロ放送を始める。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、磯鷲早矢、早乙女リカ、屯田五目須(署長)、藤田
ケーブルテレビの番組を作る話。
このケーブルテレビの設備は、133巻「ケーブル王両津!の巻」、160巻「ポリステレショッピングの巻」でも使用される。
葛飾署は前話に続いて花柄のピンク色のままになっている。
両さんは地震の緊急生放送の際に早矢に対し「バストはいくつ?」「初体験はいつかな!?」と完全なセクハラ質問をしているが、早矢の答えのシーンは描かれていない。
「『ラブ&ポップ』の様なリアルな表現をしたいのだ!」と両さんが力説するシーンがある。庵野秀明の映画「ラブ&ポップ」が公開されていた頃だった。
扉絵では「早わかり入門表」と、「こち亀」のストーリー、登場人物について表記されているが、ストーリーはデタラメ。
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●早矢ちゃんのボディガードの巻
ストーリー
彼氏にフラれた影響で、周りにイラ立ちをぶつけ、弓道も荒れていた婦警のリカは、年下の早矢に諭される。
真面目な早矢の影響で、コギャル化していた葛飾署の婦警たちの服装も真面目なものに変わっていた。
優等生すぎる早矢をコンパの場に連れていくと、早矢はお酒をまったく口にしたことがないという。試しにお酒を飲ませてみると、服を脱ぎ出そうとしたり、笑い上戸になったりと酔っ払ってしまう。
酔った早矢は、同じ店内で発生したヤクザのケンカに絡んでいってしまい、危険な状態に。左近寺は身を挺して早矢を守ろうとする。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、磯鷲早矢、早乙女リカ、左近寺竜之介、磯鷲剣之介
早矢を酒の場に連れていく話。
早矢の父・剣之介はこの回で写真のみながら初登場。本格的な登場は111巻「超威厳親父登場!!の巻」。
ヤクザのケンカに巻き込まれ、左近寺と両さんは何とか大ごとにならないようにと奮闘するが、警察官なのだから普通にケンカを止めなければならない立場なのでは、と思う。「これはおれたちのスポーツ‼」「左近寺 こいつらの記憶をなくせ!」というセリフはなかなかヒドい。
一コマだけ登場のリカの元カレは、ロン毛で金髪(茶髪?)のいかにもチャラそうな男だった。
価格:3432円 |
●歩いて育てろ!!の巻
ストーリー
歩数計とゲームを組み合わせたポケットピカチュウ。派出所メンバーも、このポケットピカチュウをプレイしているが、その中でも両さんはゲームのために歩き回り、ダントツで歩数を稼いでいた。しかし、部長がうっかり触ってしまい、リセットされてしまう。
後日、同じような歩数計育成ゲームが恋愛シミュレーションゲーム「どきメモ」でも発売される。脱衣マージャンゲームのスタッフが参加しており、歩数を稼いでいくとヒロインが脱ぐ18禁モードがあると知った「どきメモラー」の左近寺は必死に18禁モードを出現させようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、左近寺竜之介
歩数計育成ゲームの話。
前半はポケットピカチュウの話で、後半は恋愛ゲームでの育成ゲームの話。
ポケットピカチュウは1998年に実際に発売されたゲーム。一方、「どきメモ」は架空のゲームで元ネタは「ときメモ」こと「ときめきメモリアル」。
ゲーム画面に夢中になって前方不注意になる左近寺の様子は、未来の「歩きスマホ」を予見しているよう。
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●男ならこのPHS(ピッチ)!!の巻
ストーリー
通話料金の安さや小型さが魅力だったPHSだが、ケータイもPHSと遜色ない料金と小型化になっていきPHSのメリットが薄れてきていた。
ケータイ類はよく紛失するので、その対策として電極スパークはサーフボードより大きい大型PHSを開発。あまりの大きさに驚いていると2000台が売れていたとのことだった。
一方、両さんはPHSのデリケートさを解消すべく、G-ショックのようなタフな男のPHSを開発。水深200メートルでも完全作動し、戦車に踏まれても鳴り続けるタフさは、男くさい左近寺をCMキャラに起用し大ヒットする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人、左近寺竜之介、磯鷲早矢、電極スパーク
PHSの話。
序盤はドラエホンなどの当時のPHS事情の話で、中盤はスパーク開発の大型PHSの話、終盤で男のタフなPHSの話の構成になっている。
両さんはケータイやPHSを5台使い分けていて、通話料金が累積200万円以上(累積通話3000時間以上)になっていた。
左近寺を起用したCMキャラは「伝破四郎(でんわしろぉ)」。これは、藤岡弘、が演じたセガサターンのCMキャラ「せがた三四郎」のパロディ。
価格:4900円 |
磯鷲早矢が初登場の巻。
この頃、婦警の更衣室シーンなども割と多く、「体を張ったアルバイト!!の巻」「「女の敵」大追跡!!の巻」では麗子の身体を張ったシーンも多い。
全体的に「こち亀」が「90年代サブカル路線」から「ちょいエロ ラブコメ路線」になっていった頃だと思う。