「こちら葛飾区亀有公園前派出所」127巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2001年11月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 127【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●亀有弁当大戦争ぼっ発!の巻
ストーリー
学校給食を出す店があるということから給食の思い出の話になるが、年代や地域に差があり、意外に共通の話題がない。特に金持ちで外国育ちの中川と麗子とは話が通じなかった。
葛飾署の近くでは弁当を2社で争っており、値下げ戦略競争になっていると知った両さんは、まだ値下げができて参入の余地あり判断。自身も格安いなりずしで参戦する。
他2社「食べだおれ」「よか弁亀有店」も両さんの動きを見て、更なる値下げを敢行。3社の泥沼値下げ競争となる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、寺井洋一、擬宝珠纏
前半は給食の話、後半は弁当の値下げ競争の話。
本田はソフト麺にミルメーク、小学校を北海道で過ごした寺井はジャガバターの話をするが、両さんは共感できなかった。
両さんは部長のことを「戦時中並んだのがトラウマとなった日本男子」と表現しているが、連載当時でも戦後55年は経過しているので、現役警察官の部長に戦時中の経験があるのはやや苦しい気がする。(ギリギリ?)
当時、ハンバーガーが平日半額キャンペーンで60円だった。今では考えられない。
弁当戦争については、超神田寿司の名前を勝手には使えないため、「超神ノ田寿司(ちょうかみのでんすし)」と名乗っている。
この価格競争の流れは96巻「写真現像お安くします!の巻」と似たパターン。
【8月5日は何の日】2002年、日本マクドナルドが59円ハンバーガーを販売 | ツギノジダイ (asahi.com)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 96【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●ANGEL SEVEN GO!
ストーリー
葛飾署は新しい女子白バイ隊の創設を発表。ミニパトに替わり、より小回りの利くスクーターでの活動、セクシーな制服はマスコミにも好評。
デモンストレーションとして、バイクのプロの本田と下町の道に詳しい両さんを捕まえる実演をすると、わずか20分で逮捕。
あまりの人気に、写真集の申し込み、フィギュア化、アニメ化の話が来る女子白バイ隊・エンジェル7に対抗心を燃やす両さんは、男子警官のビッグスクーターチーム・ワイルド野郎隊を結成する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、麻里愛、乙姫菜々、早乙女リカ、磯鷲早矢、剣零、擬宝珠纏、ボルボ西郷、左近寺竜之介、屯田五目須(署長)
スクーターを用いた女子白バイ隊の話。
元ネタは望月三起也のマンガ「ワイルド7」。警察の装備にも関わらず、メンバーのスクーターのメーカーはそれぞれ異なっている。
・麗子(ヤマハ・T-MAX)
・マリア(ピアジオ・リバティ)
・乙姫(マラグーティ・ファントム)
・早乙女(ジレラ・ランナー)
・早矢(イタルジェット・フォーミュラー)
・剣零(プジョー・スピードファイト)
・纏(アプリリア・エリア)
この回では両さんたちの結成したワイルド野郎隊は、映画化などすることはなかったが、181巻「両津プロデューサーの巻」にはそのポスターらしきものが出てくる。
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●父をたずねて…21世紀!の巻
ストーリー
2001年に会うとの約束を実現するため、中川は父・龍一郎と会う約束を取り付けるが、その場所は地球上ではなく、なんと宇宙ステーション。
しかし、父の都合により、予定より早く地球に戻ることになり、場所がニューギニア沖のカプセル着水地点に変更。中川と両さんは着水地点で待ち構えるが、父は現れず、シャトルでマイアミに行ったとの情報が。次々と予定の変わる父を追って、中川と両さんは世界中を駆け巡る。中川の父が渡したかった物とは……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、中川龍一郎
中川の父と再会するために世界中を飛び回る話。
69巻「中川の父登場の巻」で2001年に会うことを約束していたのが実現した回。ラストで次の来日は5年後の2006年と語っているが、本当に155巻「中川家の人々~大集結編~の巻」で実現する。
あまりに再会できないことから中川父に懸賞金をかけて探すが、中川父の顔の半分だけそっくりな別人は、ムリヤリ過ぎて笑ってしまった。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 69【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●下町子育て繁盛記!の巻
ストーリー
6月23日に生まれ生後2か月となった蜜柑は、赤ちゃん雑誌の取材を受けることに。
擬宝珠家で取材陣を待ち構えると、そこには息子のパルスを連れた電極スパークの姿が。スパークは、息子だけでなく、赤ちゃんにハイハイをトレーニングさせるマシンなども売り込む。
さらに両さんも加えての強引な売り込みの末、両さんの男性目線の子育てマンガ、スパークのメカ子育ての企画が赤ちゃん雑誌に掲載される。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、乙姫菜々、早乙女リカ、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都、擬宝珠桔梗、擬宝珠蜜柑、電極スパーク、電極P
蜜柑が赤ちゃん雑誌に取材される話。
取材を受けると聞いて、「早くも芸能界入りかも」と両さんは親でもないのに親バカを発揮していた。雑誌には、パパでもなければ経営者でもないのに「一郎パパ すし店経営」と両さんが紹介される。本物の蜜柑のパパ・夜婁紫喰はこの回にまったく登場しない。
両さんの子育てには「男女関係ない」と主張し、赤ちゃん雑誌に男も参加させろ、と主張するのは、当時としては新しい。
冒頭3ページには、2000年に開催されたジャンプフェスタの「こち亀カルト王選手権」で優勝した門内靖明さん(当時高校三年生)が優勝の特典としてマンガ本編に登場する。
新米ママとパパのための 赤ちゃんの気持ちがわかる本【電子書籍】[ 寺田 清美 ]
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●ガチャガチャゴチャゴチャパラダイス!の巻
ストーリー
大量に捨ててあったガチャガチャの機械を拾ってきた両さんは、カッパ橋でカプセルを購入すると、婦警の写真のデータのメモリーカードを入れて秋葉原で販売。
ガチャガチャが売れると知ると、大型のカプセルでデジカメや宝石などの高級品を入れ始める。
さらに競合にマネされたため、両さんのガチャガチャは、フェラーリやマンションのキーを入れた超高級品が目玉になる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、麻里愛
ガチャガチャの商売を始める話。
フェラーリやマンションのキーがカプセルの中に入っていると、キーだけでなく現物も支給される。
ガチャガチャは1回1000円(フェラーリ)や3000円(マンション)とガチャガチャにしてはやや高額。
デジカメなどは型落ち品、フェラーリは中古、マンションは欠陥住宅など、それなりに裏はあるという設定になっているので、儲けは出るらしい。
宇宙旅行は出発が2100年となっていたり、麗子との結婚許可証を勝手に出したりなど、詐欺まがいの景品が次第に増えていく。
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●J-DOLL HOUSE
ストーリー
麗子の会社でヨーロッパのミニチュア家具を輸入していて、ドールハウスに使える家具を署員に安く提供していた。
一方、両さんは趣味で日本の下町の家を模したドールハウスや派出所を作製していた。
そんな両さんに、アメリカのジオラマ会社から1/12サイズの姫路城を作る依頼が来る。1500万円の報酬に目がくらみ、この依頼を快諾。
潤沢な予算も使い放題のため、両さんの製作にも力が入り、総工費3億円をかけ芸術品と呼べる完成度となる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
前半は和風のドールハウスの話、後半は姫路城のジオラマを作製する話。
両さん作製の和風のドールハウスでは、「体の弱いおじいちゃん」「池に落ちる部長」というマニアックなフィギュアも自作している。
両さんの作るドールハウスは見事な出来栄えなのだが、自分を活躍させ、他の人を貶めるような設定に「暗い人形遊びですね」と中川と部長に引かれていた。
姫路城のジオラマでは、依頼主の会社から予算が出ていたため、本物の瓦をミニサイズで瓦職人に作らせたり、シャチホコに本物の金を使ったり、本物の宮大工を呼んだりと豪華な作品となった。
ちいさい世界(もの)づくり - 身近なものでできるジオラマとドールハウス -【電子書籍】[ Hanabira工房 ]
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●新・体感ゲームで遊びましょう!の巻
ストーリー
ゲームセンター用の新作ゲームを開発したので、中川は両さんを呼んで評価してもらうことに。
新作ゲームは、画面を見てプレイするものではなく、リアルな人形などを相手にする体感ゲームだった。
ボクシングの他、消防士になりきるゲームを体感。人とのコミュニケーション能力を養うためにガンコ親父の機嫌をうかがう「父と子」、社長の要望を察する「社長と秘書」、音楽ディレクターになって新曲を作るように仕向ける「売れっ子ミュージシャンくん」など、様々なゲームを両さんが評価する。
主な登場人物
ゲームセンターに置くようなリアルな体感ゲームの話。
この話での両さんは、寿司屋の出前の合間なのか、警察官の制服ではなく、超神田寿司の服をずっと着ている。
「社長と秘書」ゲームで、社長ロボが目を細めたら社員に気付かれないように愛人28号を手配しなければならないというのが、個人的にはツボ。
ゲーセン戦記 ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀【電子書籍】[ 池田稔 ]
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●GIBOSHI-IKKA IN HAWAII
ストーリー
テレビの鉄人コンテストでチャンピオンとなった両さんは、手にしたハワイ旅行で擬宝珠一家をハワイに連れていく。しかし、タダの旅行だと思っていたが、実はハワイでファミリー対戦の収録の予定だったのだ。
タダと言った手前、両さんは擬宝珠一家にテレビ収録のことを言えず、交代なしの一人でファミリー分の対戦の収録に臨む。
両さんの事情を知らず、初めての海外旅行で勝手の分からない擬宝珠一家は競技中の両さんを何かと呼び出す。両さんは過酷な競技をしながら、何とか家族サービスに励む。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都、擬宝珠夜婁紫喰、擬宝珠桔梗、擬宝珠蜜柑
擬宝珠一家をハワイに連れていく話。終始、ドタバタな展開だが、勢いがあって面白い。
テレビ番組では、寿司屋店員・浅草一郎として出場していたので、両津勘吉と呼ばれるのは、纏と檸檬にカンキチと呼ばれるシーンのみ。
旅行中に夏春都は超神田寿司のハワイ店の店舗を決め、両さんはその店長となる。警官としては、122巻「アロハな生き方教えます!の巻」で作られた葛飾署ハワイ分署に勤めようとするが、ハワイ分署は一週間で潰れていたらしい。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 122【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●恐怖のハウスカッターショー!!の巻
ストーリー
自宅を担保にクイズに挑戦、正解すれば一億円以上の豪邸にリハウスできるが、不正解だと現在の自宅を巨大回転ノコギリで真っ二つにされてしまうテレビ番組「ハウスカッターショー」。
両さんは寺井を強引に言いくるめ出場させる。何とかクイズに答え渋谷区2億円の豪邸を手に入れた寺井。
擬宝珠家に居候していて、寺井に冒険しないことを煽られた両さんは浅草の実家を担保に挑戦しようとするが、父の反対に遭い頓挫。
担保の家がないので挑戦できない両さんだったが、部長が旅行で留守にすることを知ると……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、両津銀次、大原良子
家を担保にクイズをする番組の話。
この回で2億円の豪邸を入手した寺井だったが、欠陥住宅だったため、この家を後に手放したことが162巻「プレッシャークイズの巻」で明かされる。「プレッシャークイズの巻」は、回転ノコではなくプレス機で破壊される同様のクイズ番組の話。
クイズでは「ロボット三等兵」の作者(前谷惟光)を答える問題が出される。秋本先生は本当に「ロボット三等兵」が好きらしい。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 162【電子書籍】[ 秋本治 ]
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オススメは、極端な値下げ競争合戦になる「亀有弁当大戦争ぼっ発!の巻」、体力的に超過酷な「GIBOSHI-IKKA IN HAWAII」。
中川の父は69巻から11年ぶりの登場。
ただ本人は出てこないが、107巻「大混戦「こち亀」ゲームの巻」でゲームキャラとしては登場している。