「こちら葛飾区亀有公園前派出所」158巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2008年1月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 158【電子書籍】[ 秋本治 ]
|
●マグロ作りの巻
ストーリー
マグロの成長が早いと聞いた両さんは、漁師の二徹をアドバイザー、スーパー電子のスパークをスポンサーに本マグロの畜養に挑む。20万匹の稚魚を集め、畜養を開始するが、狭い環境での共喰いや赤潮で稚魚は激減。4万匹に減ったものの、何とか平均40キロまで育てる。スパークは出荷を提案するが、両さんは300~400キロまで育てて高値で売ろうとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、擬宝珠纏、擬宝珠夏春都、飛鷹二徹、電極スパーク
マグロの畜養に挑む話。養殖は卵から育てることで、今回は稚魚から育てているため畜養という。この畜養のため、警察官を半年間、有休で休むと言っていたが、現実的には免職にもならずにそんなには休めないだろう。
序盤、畜養の施設がある島に二徹の船で向かう様子をバック(現在)に、纏や夏春都との会話から両さんが畜養を思いつくまでの過程のコマ(少し過去)を同時に進行させるという変則的なコマ割りになっている。
「海のダイヤ 世界初 クロマグロ完全養殖」 曙光 激闘の果てに【電子書籍】
|
●バーチャルライフの巻
ストーリー
現実世界ではまったく貯金をしない両さんだが、メタバース「セカンドライフ」内で様々な商売を立ち上げ、3000万円を貯金していた。米国で課税される動きがあったことから両さんは「セカンドライフ」を撤退し、中川の会社のメタバース「パラレルワールド」に移行する。「パラレルワールド」内で闇金融やエロサイトなど違法な事業に手を染める両さん。メタバース内の警察に追われるが、メタバース内で作った巨大ロボで両さんは迎撃する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛
メタバースの話。中川が部長に説明する形でメタバースの説明がなされる。「セカンドライフ」は2003年開始の実在のメタバース。両さんはメタバース内で独自のメタバースを作る「メタバース内メタバース」というものまで作り出す。
2007年の時点でメタバースに目をつけている辺り、「こち亀」の先見性は鋭い。
図解まるわかり メタバースのしくみ【電子書籍】[ 波多間俊之 ]
|
●2度目マグロ養殖の巻
ストーリー
マグロの養殖に再度両さんが挑戦。前回は生け簀から外洋にマグロが逃げてしまった反省から、山中にドーナツ状の循環式の生け簀を作成。しかし、浄水システムの設備投資費が予想外にかかり、赤字に。費用捻出の目的で、マグロの循環式生け簀をメインに、マグロをアピールするレジャー施設「埼玉マグロランド」をオープンする。レジャー施設で最新の浄水システム分の費用を設けた両さんは、育てたマグロを競りにかける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、飛鷹二徹
マグロの養殖に挑む話。今回は卵から孵化させているので養殖になる。「マグロランド」は浄水システムのための予定資金を儲けた時点で、税金逃れのため計画倒産させる。
両さんの養殖したマグロは「マグピー ギザかわゆす」というしょこたん語で商標登録された。
漁師と水産業 漁業・養殖・流通の秘密 (じっぴコンパクト新書) [ 小松正之 ]
|
●花見将棋の巻
ストーリー
署長のアイデアで、今年の花見は桜の下で囲碁や将棋をやることに。本田が風邪で休みのため、手頃な実力の相手がいない両さん。早矢はたぶん、上手すぎるだろうと思いながらも話しかけるが、実は早矢は将棋のルールすら知らなかった。美女に将棋を教えるチャンスと鼻の下を伸ばす両さんに、同じく下心を持った部長や署長も、自分が教えると名乗りを上げる。最終的にジャンケンにより両さんが教える権利を手にするが、早矢は想定以上に腕を上げていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、屯田五目須(署長)、磯鷲早矢、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬
両さんが早矢に将棋を教える話。花見の席でやる設定だが、話としては、特に桜の下でなくても成立する内容。
武道に精通しており、日本的なものは何でも得意そうな早矢だが、将棋は遊戯と見なす磯鷲家では誰もやらないとのことだった。
両さん、部長、署長のエロ中年たちが早矢に教えたがる中、なぜか将棋が得意でもない中川も参戦してこようとしてくる。
初心者のための詰将棋 (将棋パワーアップシリーズ) [ 高橋 道雄 ]
|
●またまたマグロ海上決戦の巻
ストーリー
超神田寿司で、国産近海のマグロが食べたいとワガママを言う食通の客とケンカをした両さんは、自ら近海クロマグロを釣りに行く。中川から3000万円借りて、最新の電波探知機と魚群探知機を調達すると、二徹の船で青森沖海域へ。そこで転覆した漁船の乗組員から、10メートルの巨大マグロの話を聞くと、ボルボと戦車を運べる輸送ヘリUH-1Bで巨大マグロに挑む。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、飛鷹二徹、ボルボ西郷
巨大なマグロを釣りに行く話。「この所 マグロの話ばかりしてませんか?」とツッコむ中川に「いちおう 気を遣って一週おきにしてるだろ」と両さんは返していた。確かに一週おきのペースにしている上、畜養、養殖、捕獲とパターンは変えている。
日本のマグロゲーム攻略バイブル【電子書籍】[ SALT WORLD編集部 ]
|
●バーチャルゴルフの巻
ストーリー
昼休み、派出所の隣に10メートル四方のスタジオを設置。上下前後左右の六面にプラズマ画面を仕込んだスタジオ内でシミュレーションゴルフを行う。両さん、中川、麗子、電極プラスの四人で回るのだが、中川と麗子はプロ級の腕前のため、ハンデが必要と両さんが主張。大雨や電車が突っ込んでくる映像の他、目の錯覚を起こさせる映像、ビルの上の恐怖映像、ヘビやカエルが足元をはい回る映像など、プレイを妨げる映像が次々に出てくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、電極+
画面に囲まれたスタジオでバーチャルゴルフをする話。プラスはジュニアプロの腕前の上、キッズゴルフの会社も経営している。プラスは全身を覆うパワースーツを着用し、機械の力で打っているので、集中力を削ぐ映像を観ながらでも関係なさそうな気がするが、ジェットコースターの映像でスコアを落としている。
冒頭の1ページで、2色カラーから4色フルカラーに変わるというネタをするが、コミックスでは残念ながらモノクロになってしまっている。
なぜナイスショットは練習場でしか出ないのか 本番に強いゴルフの心理学【電子書籍】[ 市村操一 ]
|
●ガラスばりだよ人生はの巻
ストーリー
政府や企業の隠蔽による問題をニュースで見た両さん。新葛飾署に取材に来ていたテレビカメラの前で、署をガラスばりにすると宣言。制度的な意味ではなく、物理的に署の壁や床をガラスばりにする。更衣室やトイレまでガラスばりにしたため、内側から新聞紙を張って対抗する婦警たち。両さんは署内のあちこちにカメラを仕掛け、それを署の前の大型ビジョンに映したり、亀有駅前で署長の醜態を喧伝したりする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、早乙女リカ
隠蔽体質を改善する名目で署をガラスばりにする話。正義を掲げる両さんだが、婦警の映像を売るのが目的だったりする。さらに自身の給料が少ないのは署長の搾取だと訴えるものの、それは不祥事により減給につぐ減給を喰らった結果という自業自得の理由だった。
「ガラス張りの職場」に潜む罠【電子書籍】[ イーサン・バーンスタイン ]
|
●カップメンバトルの巻
ストーリー
普段からカップラーメンを食べている両さんは、中川の会社からカップメンの試食を依頼される。両さんは、三色パンの発想で、みそ・しょうゆ・とんこつのミニサイズのカップメンが三つくっついた三食麺を提案。さらにサッカーボールに具やお湯を入れてサッカーをし、中身をシェイクして作成する健康スポーツメン、缶詰に入ったラーメン缶などを開発していく。
主な登場人物
両さんがカップメンの開発に関わる話。カップメンをたくさん食べているくせに「どのメーカーのスープや麺も 味はみな同じである‼」と暴論をかます。
三食麺は一個分の価格で三つの味が楽しめるというものだが、現実的にはコスト的にムリそう。ラーメン缶は実際に作られたこともある。
YOUが見た不思議ニッポン200連発!★カップラーメンの種類が多すぎるヨ★カプセルホテルがSFっぽくてCOOL【電子書籍】[ 鉄人社編集部 ]
|
●嗚呼!我が青春電車の巻
ストーリー
両さんと本田は、電車の食玩を集めていた。それを見た部長は「いい歳をして」といつも通り苦言を呈すが、東急玉川線を見ると懐かしいと語り出す。玉川線の沿線に通っていた大学があり、奥さんと通学時に乗っていた思い出の電車だったのだ。中川は部長の誕生日プレゼントに思い入れのあるその200形の電車をプレゼントしようと提案する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、大原良子
部長の思い出の電車の話。部長は大田区蒲田出身だが、目蒲線よりも奥さんとの思い出がある玉川線の方が思い入れが強いらしい。両さんと本田は、東武線や京成線など東京でも東の電車には詳しいが、西を走る玉川線や小田急線は全然分からないとのこと。
|
157巻の「日本まぐろ事情の巻」から引き続き、この巻では「マグロ作りの巻」「2度目マグロ養殖の巻」「またまたマグロ海上決戦の巻」と、マグロの話だけで3話もある。
よほどアイデアが広がったネタらしい。
「バーチャルライフの巻」「バーチャルゴルフの巻」とバーチャル関連にも、秋本先生の関心が高かったっぽい。