「こちら葛飾区亀有公園前派出所」174巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2011年4月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 174【電子書籍】[ 秋本治 ]
|
●世界一の下町タワーの巻
ストーリー
両さんは最近、派出所を休みがち。それは東京スカイツリーの工事現場で働いているからだった。それは金儲けのためではなく、交通事故で入院した幼馴染の松戸の代わりで現場に入っており、給料も松戸に振り込んでいた。そんなスカイツリーの現場でクレーン作業をしているとき、両さんは高所から地上にいた放火犯の姿を見つける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
建設途中のスカイツリーを舞台に、スカイツリーの工法などについて語られる回。この時点で、ツリーの高さが303mなので、完成からは半分ほどの高さ。
両さんは50種の工事作業資格を持っているので、現場作業ができるのは分かるのだが、なぜか本田も働かされている。物語の冒頭の派出所のシーンで、中川が「おげれつ仮面」というマンガを手にしているのも謎。
DVDで一発合格! 第二種電気工事士 筆記&技能テキスト カラー版【DVD無しバージョン】【電子書籍】[ 電験・電工資格試験研究会 ]
|
●お花見王子の巻
ストーリー
花見の時期がやってきた。新葛飾署はいつも一等地の花見場所を確保しているので、近隣の他の署から譲ってほしいとの要望が。いつもの上野や浅草以外の場所として候補に挙がったのが北区の飛鳥山公園。しかし、北区は両さんの地元でないため融通がきかない。そこで、引っ越しを検討している本田に、アイドルの実家が王子にあるとウソの情報を流し、飛鳥山公園近くに引っ越しをさせ、朝4時からの場所取りを強要。
主な登場人物
花見の場所取りのために本田を引っ越しさせる話。場所取りをさせるだけでなく、住んでいるマンションの部屋を開放させ、トイレや荷物置き場として利用されることとなる。終盤では、暴走族時代のバイク状態の本田で花見を仕切るのだが、公園内で常にバイクにまたがり続けているのはちょっと不自然。
お花見大成功レシピfrom姫ごはん【電子書籍】[ 和田良美 ]
|
●ANNIE LEMOINE'S VISIT TO JAPAN.(来日 アニー・ルモアン)
ストーリー
麗子の従妹アニー・ルモアンが来日。麗子が都合により迎えに行けないため、両さんと中川で空港に迎えに行く。しっかりした性格の少女ながら、フランス語しかしゃべれない7歳のアニーの言葉は要領を得ず、「トネリ」との言葉から両さんは舎人ライナー、上野、谷根千を案内する。しかし、アニーが行きたかったのは「となりのトトロ」のジブリ美術館だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、アニー・ルモアン
両さんが、麗子の従妹の少女を連れて下町を案内する回。フランス語は中川も話せるが、舎人ライナーに乗る際に、自動車に乗ってきた中川とは別行動になってしまう。両さんはフランス語をまったく話せないものの、持ち前のコミュ力で何とかしてしまう。
アニメに学ぶ心理学2 『となりのトトロ』を読む【電子書籍】[ 愛甲 修子 ]
|
●ROSE OF ANNIE.(アニーのバラ)
ストーリー
フランスから麗子の従妹アニーが来日した目的は、フェンシングの試合に出ることと、バラを探すこと。アニーの探しているバラは、王族のルモアン家にかつて存在した麝香の香りのバラ「シャトーローズ」。アジア原生の可能性があるそのバラを求めて、麗子とアニーはバラ園を巡り、両さんと中川は科学的なアプローチで探索する。
主な登場人物
前回に引き続き、麗子の従妹アニーの回。バラの話だが、ロザリアンの部長は出てこない。両さんの命令で、飛行機でアラブに向かう途中で日本にとんぼ返りさせられたり、上海上空から強制的に呼び戻されたりと、中川が振り回される。中川はそんなに海外を飛び回る社長業で忙しいんだったら、派出所勤務の警官を辞めたら良いのに。
オールドローズ&イングリッシュローズ この1冊を読めば系統、交配、栽培などすべてがわかる【電子書籍】[ 後藤みどり ]
|
●踊る婦警の巻
ストーリー
交通課の新人婦警・鳳麟寺沙羅(ほうりんじさら)巡査は、奈良のお寺のお嬢さんで、和服が似合いそうな清楚系の美人。沙羅の歓迎会で交通課がカラオケに行くと、沙羅は上品な雰囲気と異なり、マイケル・ジャクソンのビリー・ジーンを選曲。マイケルばりの歌とダンスを披露する。父の住職がヘビメタバンドをやっていた影響で、洋楽に馴染んで育ったので、歌やダンスが得意なのだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、本田速人、早乙女リカ、鳳麟寺沙羅、屯田五目須(署長)
鳳麟寺沙羅が登場する回。しかし、日本的美人属性は早矢やマリアと被るし、特定の条件で人格が変わるキャラは本田を始めとして何人もいるので、その後の出番はほぼない。多趣味な秋本先生だが、ダンスは守備範囲外なのか、ダンスを主とした回はあまりない。それも出番がなかった原因か。
沙羅本人よりも、エレキ木魚をたたきながらヘッドバンキングする沙羅の父の住職の方が、マンガのキャラとしては面白そう。マリアの父、飛鷹姉妹の父、ジョディーの父など、女性キャラの父親の方がキャラが濃いことが「こち亀」ではしばしばあるパターン。
Lady Gaga Just Dance: The Biography【電子書籍】[ Helia Phoenix ]
|
●餃子屋両さんの巻
ストーリー
交通課の合同パーティーで餃子を焼くことになったが、餃子を作る手が足りず、両さんが助っ人に。寿司職人の顔も持ち、手先の器用な両さんの作る餃子は好評だったため、署のバザーでも手作り餃子を販売することを命じられる。バザー用に移動販売車を与えられた両さんは、本田を相方に餃子屋を開業。はじめは署のバザー会場で商売を始めるが、他のバザー会場や駅前に移動し勝手に商売をしていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)
移動販売車で餃子屋をやる回。餃子にイチゴを入れるとか、餃子をパンに挟んで餃子ドックにするとか、変わり種餃子のアイデアを出す両さんだったが、実在していたため断念。他にギョーザパフェ、チョコレートギョーザ、ギョーザおにぎりなどが本当にある餃子メニューとして紹介されている
餃子大全 あの有名店・人気店の、餃子の技術と味が分かる!【電子書籍】
|
●「今日(こんにち)は 就職くん」の巻
ストーリー
両さんが署長から課長職を拝命。しかし、その課は「『今日は♡就職くん』すぐやる課」という両さん一人の聞いたことのない課。仕事は働かないニートに職を与えて働かせることだった。暴走族の不良集団、引きこもり集団、リストラ中年組といった面々が両さんの課を訪れるが、両さんは中川の会社で建設している高層ビルの現場に彼らを送り込み、働き口を与えていく。次第に、中川の高層ビルの仕事は、両さんの手先たちに掌握されていくことに。
主な登場人物
両さんが就職の斡旋をする話。『今日は♡就職くん』のネーミングは、ハローワークを日本語にしたもの。不良たちには体育会系の鍛え方で仕事を教え、引きこもりたちにはパワーワーカー(パワードスーツ)で力仕事を、リストラ中年には前職の経験から適材適所に振り分けていく。パワーワーカーを使う引きこもり組には、社会の底から這いあがるロボット集団『底集団(ボトムズ)』という、どこかで聞いたことのある名前がつけられる。
|
●警視庁応援団の巻
ストーリー
世間でチアガールが駅前でサラリーマンを応援する姿が話題になっていたことから、署長は両さん、ボルボ、左近寺に区民を応援する応援団をやるように命じる。亀有駅前での応援は好評で予算も増額するが、署ではチア姿の女子の応援団も結成することに。応援団の話題が女子に移ってしまい、両さんたちの予算が減額。両さんたちは起死回生の一手として、地味な公安を応援して、警視庁上層部に気に入られようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、ボルボ西郷、左近寺竜之介、本田速人、屯田五目須(署長)、玉羅出連光
両さんたちが区民などを応援する応援団を結成する話。両さんたちは定年を迎える当日の公安の課長を応援することにするが、公安は7年間に及ぶ極秘捜査中で捜査を台無しにしてしまうというオチ。定年になる公安の課長が、玉羅出連光(たまらで れんぴっか)という変わった名前だが、元ネタはタマラ・ド・レンピッカか?
|
●デパート物語の巻
ストーリー
デパートの売り上げが下がっていることから、デパートの思い出話に。中川や麗子の思い出は、ロンドンのハロッズ、パリのプランタンで、両さんや本田には共感できない。逆に、両さんたちの思い出は、赤札堂や松屋。お子様ランチや初めて見たエスカレーターの話題で盛り上がる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、両津勘兵衛
デパートの思い出の話。両さん個人の思い出も語られるが、浅草の松屋デパートの歴史についても言及される。物語の冒頭、両さん、中川、麗子、本田の4人がそろってファミレスにいるので、珍しいと思ったが、店名が「レストラン セレブ」。普通のファミレスっぽく見えるものの、高級店なのかもしれない。
|
麗子の従妹アニーの回が、前後編で収録されている巻。
その後編「ROSE OF ANNIE.」の他、「世界一の下町タワーの巻」「デパート物語の巻」と、オチに大きな笑いがあるというよりは、ちょっと良い雰囲気で終わる回が多めな気がする。