前回から賀茂監督の手腕について、考察しているが、今回はチーム戦術について、見ていこうと思う。
賀茂ジャパン(全日本ユース)の戦術は、ジャパニーズ・ゾーンプレス。
複数で相手にプレスをかけ、ボールを奪うと、すぐに翼に渡し、翼を攻撃の起点とする戦術である。
ゾーンプレスについては、実在の戦術であり、サッカー素人のブログ管理人が戦術の有効性を語るつもりはないが、ボールを奪ったらすぐ翼に渡すのは、どうなんだろうか?
翼にパスすることが分かっているんだったら、相手に即座にパスカットされそうな気がする。(実際、ブラジル戦ではそれで封じられる)
この翼依存の戦術は、賀茂監督の以下のセリフにも表れている、
「わかってるな 翼
おまえがケガなどで このフィールドを降りる時
その時は 全日本ユースの夢
ワールドユース制覇の夢が終わる時なんだぞ」
能力が高く、仕事のできるエース一人に負担をかけてしまう、ブラック組織の上司の考え方の典型のようだ。
こうやって休めず、過労とプレッシャーで、職場のエースが潰されていくのが、日本中にどれほどあったことか。
翼の能力は作中でも抜きんでているのだから、その翼を中心としたチーム作りになるのは当然ではある。
しかし、大空翼とて、人間である。
調子の悪いときもあれば、試合に出られないときもある。
そういった悪い場合を想定して、リスク管理をするのが、組織の監督の務めではないかと思う。
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想定すべきケース
ケース①
大空翼が万全の場合
翼をトップ下に置いて、翼中心の戦術。
ケース②
大空翼が不調、または相手から厳しいマークに合う場合
翼を他のポジションで活かす戦術。
ケース③
大空翼が出場できない(負傷、カード累積等)場合
翼意外のメンバーで組み立てる戦術。
賀茂監督は、まさかのケース①オンリーという危険な1点賭け。
たまたま上手くいったから良いようなものの、一歩間違えれば惨敗してもおかしくないずさんなリスク管理である。
ケース③の翼が出られない状況は、実際はなかったが、タイユース戦でブンナークにガンガン削られていたときや、スカイダイブシュートの特訓で翼が脇腹を負傷したときに、賀茂監督は冷や汗ものだったことだろう。
ケース②は、決勝のブラジル戦で、翼にボールを回さないようにする戦術で、ピンチになるのだが、ハーフタイム中に賀茂監督は、
「はっきりと言おう
ジャパニーズゾーンプレスはブラジルランニングサッカーに敗れた
このわしにも打つ手は見つからん」
と、選手のモチベーション、ダダ下がりの告白をして、
「(交通事故に遭った)岬がいれば……」
と、無いものねだりをするだけである。
前半終了時点でさじを投げる、という、なかなかのダメ監督っぷりを見せつける。
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と、ここまで、賀茂監督のダメっぷりを紹介してきたが、サウジアラビア戦においては、魔人バルカンに次藤をマンマークに付け、途中出場の佐野に戦術の変更を伝えるといった監督として、有能な場面もある。
次回は、賀茂監督のスカウト能力を見ていく。