国際Jrユース時代から翼たちの監督であった見上辰夫が、腹膜炎を併発した虫垂炎で入院したことをきっかけに全日本ユースの監督に就任した賀茂港。
結果的には、ワールドユースを制し世界一になることができた賀茂監督だが、大空翼を始めとした選手の優秀さによるところも多い。
そこで、本記事では賀茂監督の手腕について考察してみたいと思う。
まず、賀茂監督の経歴。
元日本代表のDF。
キャプテンを務めた経験あり。
(同時代の代表には、キーパーとして見上辰夫、ストライカーとし片桐宗正がおり、この時代には、ワールドカップのアジア予選を突破できなかった)
指導者としては、名門・浦西高校の監督になるも、部員の鍛え過ぎから県予選敗退を繰り返し、2年で解雇。
その後、JSL(ジャパン・サッカー・リーグ:Jリーグの前身)中島工業の監督につくも、選手を潰しチームを2部に転落させ解雇。
練習が厳しすぎるのが問題らしい。
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さて、全日本ユースの監督としての最初の仕事は、R・J・7(リアル・ジャパン・7)と全日本ユースを対戦させ、実力を見せつけた上で、主力選手7人をスキルアップのために放出したことだった。
放出した7人に賀茂監督が与えた課題と指摘した欠点は以下。
日向 小次郎
自分が点を取る前に、ポストプレーを身に着けろ。
新田 瞬
利き足でない左足も、右足同様に使えるようにしろ。
岬 太郎
大空翼依存を止めて、自分のサッカーを見つめなおせ。
立花 政夫
立花 和夫
二人一緒じゃないと何もできないのか。
次藤 洋
単なるデブはいらない。
早田 誠
カーブをかけただけのカミソリシュートが通用するのか。
以上である。
日向、新田については、ポストプレー、左足シュートと、具体的な課題を与えているが、後の5人については欠点の指摘(悪口?)だけで、具体的な改善案は出していない。
自分で考えろ、ということかもしれないけど、あまり指導者として優秀とは思えない。
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そして、放出した7人が戻ってきた結果についても、以下にまとめた。
岬 太郎
大空翼依存を止めて、自分のサッカーを見つめなおせ。
→世界を放浪して各地のサッカーを見て回る。タイユースのセパタクロー戦術を暴く、ブーメランシュートを身に着ける。
→効果〇
日向 小次郎
自分が点を取る前に、ポストプレーを身に着けろ。
→ポストプレーは身に着けたが、その間に編み出した雷獣シュートで活躍。
→効果△
新田 瞬
利き足でない左足も、右足同様に使えるようにしろ。
→左足シュートを身に着けたが、得点につながるシーンは少ない。
→効果△
次藤 洋
単なるデブはいらない。
→各地のマラソン大会に出て、走力とスタミナを強化。
→効果不明
早田 誠
カーブをかけただけのカミソリシュートが通用するのか。
→カミソリに磨きをかける(?)。
→効果不明
立花 政夫
立花 和夫
二人一緒じゃないと何もできないのか。
→山猿キープ、ムササビジャンプなど個人プレーを身に着ける。が、結局、スカイラブ要員としてしか起用されない。
→効果×
7人の放出の結果は正直微妙である。
早田のカミソリに磨きをかけるに至っては、レベルアップしたのか全くの意味不明。
日向の雷獣シュートは結果的に成功したが、賀茂監督の目論見とは全然違う方向性。
立花兄弟は、ちゃんと課題を達成したのに、その個人スキルを活かせない賀茂監督サイドに問題がある。
まぁ、立花兄弟については、例えば政夫は攻撃的なスキル、和夫は守備的スキルみたいな個性を付与しなかった作者の高橋陽一先生サイドに問題があるような気もしないではない。
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次回は、チーム戦術について見ていきたい。