「こちら葛飾区亀有公園前派出所」11巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1980年2月発売)
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●モンスター・ポリスの巻
ストーリー
両さんは中川と葛飾署にやって来る。
中川が書類を受け取りに行っている間、ヒマを持て余した両さんは、署長の銅像を破壊してしまったり、柔道場で稽古をしている新入り署員たちを稽古と称して叩きのめしたりと、トラブルを巻き起こしていた。
そんな署内で、交通課で免停を喰らった暴走族たちが両さんの足を踏んでしまったことから大ゲンカが勃発。
ケンカの輪は広まり、交通課長、署長、部長、次長らまでも巻き込まれていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、寺井洋一、戸塚金次、交通課長、屯田五目須(署長)
署内で両さんが大ゲンカをする話。
大ゲンカは放水車を使わないと鎮静化できないほどに広がることになる。
この回で、署長、次長たちが初登場。
しかし、警察官たちがお偉いさん方も含め、そろいもそろってみんなケンカっ早いのはどうかと思う。
署内を軽快に走りながら両さんが歌っている曲は、曽根史朗の「若いお巡りさん」。
中川は署内の女性にも人気があり、ミニパトの婦警たちからサインを求められている。
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●夕立ち!の巻
ストーリー
町会の子供たちのキャンプに警察官も同行をと頼まれ、両さんは部長、中川とともにキャンプに行くことに。
しかし、キャンプ初心者の両さんは、どんな装備を持って行って良いのか知らなかった。
特急で移動、キャンプ場までの山歩きに、両さんは不平を垂れる。
さらに言うことを聞かない子供たちに手を焼くのだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、戸塚金次
子供たちを連れてキャンプに行く話。
次の「野菜カレー!の巻」に続くので、実質、前後編の前編。
そもそもは部長の命で両さんだけが同行する予定だったが、あまりにキャンプに無知な両さんが不安になり、部長と中川も同行することになった。
194巻「BBQ隊の巻」などではアウトドアが得意と描かれたり、176巻「夏の子供林間学校の巻」では檸檬の幼稚園の林間学校について行ったりと、後年の両さんは子供とのアウトドアの達人だが、この頃の両さんの人物像はそうではなかった。
タイトルは「夕立ち」ながら、雨が降るのはラストの2ページだけ。
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●野菜カレー!の巻
ストーリー
キャンプ場でテントや食事の準備を始める両さんたち。
しかし、食事係だったはずの両さんが持ってきたのは電気炊飯器や電子レンジなどの家電で、キャンプ場では使えない物なかりだった。
部長の指導で飯盒炊爨を始めるも、両さんがサラダ用の野菜も含めて、適当にナベで煮込んだカレーを作って、子供たちからは不評。
夜、テントを上手に組み立てられなかった両さんは、自作のハンモックで寝ようとするが、安定性に欠け苦戦する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一
前話「夕立ち!の巻」に続き、キャンプの話。
両さんは、電気炊飯器、電気コンロ、トースター、電気もちつき器、小型冷蔵庫、電子レンジ、ミキサー、扇風機、電気毛布などを持参していたが電源がなくて使えなかった。これだけの家電をどうやってリュックに詰めていたのかは不明。
瓶ジュースの栓を両さんは栓抜き無しで歯で開けていた。64巻「歯無しにならない話の巻」でも、この栓抜きの特技は披露されている。
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●ポール・中川来日す!の巻
ストーリー
10数年ぶりに中川の祖父・ポール中川が来日するので、中川は両さんを連れて迎えに行く。
ポールは南太平洋から旧日本陸軍の戦闘機「飛燕」(自家用)で派手にやって来る。
護衛や弁護士など、常に30人ぐらいのスタッフを引き連れて回るポール。
広大な別荘を持ち、何台もの高級車から気分で選ぶポールに両さんも驚嘆するのだった。
そんなポールもガンマニアという共通項で両さんと意気投合。亀有の居酒屋で親交を深める。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、ポール中川
中川の祖父のポール初登場の回。
ポールは78歳の設定。連載当時は1978年なので、1900年(明治33年)生まれの設定になる。
13歳の時に日本からブラジルへ渡っているそうなので、「飛燕」には乗ってきたものの、旧日本軍にいたわけではなさそう。
ポールの一言は世界の通貨事情を大きく変える影響力があるので、当時の首相もポールを出迎えている。(はっきり描かれていないが当時の首相は福田赳夫)
ポールは両さんに純金製のシラケドリをプレゼントしようとしている。「しらけ鳥音頭」は小松政夫の持ちネタ。
ポールの次の来日が描かれるのは、52巻「中川サミットIN東京の巻」。
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●制服志願!の巻
ストーリー
両さんは競馬、中川と戸塚が花札に興じていると、派出所に警察官志望の青年が訪ねてくる。
青年に関心のない戸塚と両さんは、いい加減な書類を渡し、強引な剣道テストを受けさせるのだった。
しかし、この青年以外にも警察官の志望者は現れる。
警察官志望者が多いことに気づいた両さんは、大々的な宣伝し、試験に受かるための予備校を始める。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、戸塚金次、派出所の犬
警察官志望者の増加の話。
1978年当時はバブル期よりも前、オイルショックなどで不景気だった。
派出所の壁に貼られている手配書には「この顔見たら 石を投げましょう」とヒドい文言が書かれている。
戸塚が青年に渡した採用試験の案内書は、昭和25年(1950年)、大正2年(1913年)、明治40年(1907年)と古いものばかりだった。昭和25年はまだしも、戦前の書類はさすがにないだろう。
青年は整形大学の四年生。大学名の元ネタは同じ読みの成蹊大学か。
戸塚のセリフに「お米の通帳」というものがあるが、1981年に廃止されるまで米穀配給通帳という制度があった。
両さん自身が採用試験を受けた時の様子は69巻「両さんメモリアル」で描かれている。
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●お巡りさんコールの巻
ストーリー
9月のまだ残暑厳しい時期ながら、両さんは派出所の奥の部屋にクーラーを10台も持ち込んで、快適空間を作ろうとしていた。
そんな派出所で、カバンを窃盗しようとした少年・春本の調書を取ることに。
いい加減な受け答えで、スリル目当てに犯行を行ったと答える少年に両さんは派出所の掃除をさせる。
掃除後、平日で学校のある時間帯だったので、両さんは通っている中学校に少年を連れていく。
そこは私立のマンモス校だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、春本
かっぱらいの少年とその学校の話。
冒頭、雑誌を読んでいる両さんが「ある漫画家 ペンネームをかえて 大うけ 今年の漫画賞そうなめか」と読み上げている。次の回から秋本先生がペンネームを本名に変えているので、そのことを指していると思われる(漫画賞そうなめはフィクション)。少年の名前が「春本」なのも、「秋本」からの連想か。
少年は、裕福な家庭の育ち(自称、大田区田園調布住み)のようで、掃除をしたことがないらしく、「ぼくがきれいにしたのか……」と派出所の掃除した後の様子を感慨深く眺めている。
少年の中学校は生徒8万人に対し、教師は45人しかおらず、大きなホールでの授業となる(当時は人数の多い団塊ジュニア世代が小学生くらい)。中学校の名前は私立改姓中学校。元ネタは、同じ読みの開成中学だと推測される。また、秋本先生のペンネーム変更の意味も含んでいると思われる。
扉絵では「世界のお巡りさん」シリーズが開始。「こち亀」キャラが世界の警察官の制服を着用している。第一弾は、香港(両さん)とカナダ(中川)。
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●麗子巡査登場の巻
ストーリー
寺井がオタフクかぜにかかり、当面休み。
その代わりに補欠員としてやって来たのは、秋本麗子巡査だった。
乱暴な運転でミニパトごと派出所に突っ込んで来て出勤。ミニパトと衝突した車の男性と言い争いになり逮捕しようとするなど、強引な性格をしていた。
また、派出所の中が汚過ぎると両さんたちに掃除をさせ、洗濯をしていない両さんと戸塚の制服を洗濯するのだった。
そんな折、ライフル魔がビルの屋上に籠城。発砲許可は下りたものの、中川は麗子のミニパト突撃で手をケガしており、射撃ができなかった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸塚金次、派出所の犬
麗子の初登場回。
寺井の補欠員(麗子は本来、警ら課ではなく交通課)として入って来た設定ながら、寺井復帰後も麗子が派出所勤務を外れることはなかった(寺井は夜勤に回ることが多くなる)。
寺井のオタフクかぜは、その後、特にイジられることはない。いつのまにか治っていた。
初期の麗子は帽子を着用、スカートにはプリーツが入っている。
麗子のミニパトにはベティちゃんが描かれている。
また、初期の麗子の運転は、車のことをよく知らず乱暴。この乱暴の解釈が「プロ並みの運転技術ながらスピード狂」に変わっていくことになる。
初登場時から、犬嫌い、射撃の腕は一流(メダリスト)との設定がある。「両ちゃん」呼びもこの回から。(両さんたちは「秋本巡査」と呼んでいる)
この回から、秋本先生のペンネームが、「がきデカ」の山上たつひこ先生をもじった「山止たつひこ」から本名の「秋本治」に変わっている。
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●パトロール・デート!?の巻
ストーリー
部長の出勤する前に、朝食も食べずに中川の迎えで急ぎ派出所に出勤する両さん。
派出所に着くと、先に来ていた麗子が両さんの朝食を用意して待っていた。
麗子の朝食で一息つくと、両さんは麗子とパトロールへ出かける。
喫茶店でサボっていたところ、部長に見つかってしまうが、麗子のペースで部長の調子も狂って、両さんを叱りそびれてしまう。
三人が派出所に戻ると、中年男が預けていった赤ちゃんが泣いていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
麗子とパトロールに出かける話。
前話でパワフルな面を見せた麗子が、料理や掃除なども得意だという一面が描かれている。
この回から麗子のことを苗字ではなく「麗子」と名前呼びすることになる。
前話「麗子巡査登場の巻」に部長は出ていないので、部長と麗子はこの回が初対面。
両さん、部長、中川、麗子の後のレギュラーメンバーが会するのは、この回が初。
麗子は朝食を用意するだけでなく、朝刊やお茶を両さんに用意したりと、二人の様子は夫婦のようで「所帯じみてきた」と中川に言われている。
麗子がお茶を淹れるシーンは以降も頻繁に出てくることになる。
赤ん坊を派出所に預けた中年男は、パチンコに行くために預けていた。
扉絵の「世界のお巡りさん」シリーズは第二弾。ケニア(両さん)とイスラエル(麗子)。
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●風よ吹け!の巻
ストーリー
台風が近づいて来るので派出所の面々は緊急用品の買い出しに出たり、窓を補強したりと備えるが、両さんはサボっていたので、部長から大目玉。
あまりの強風に両さんは吹き飛ばされてしまう。だが、吹き飛ばされた先で、吹き飛ばされた貴重品を盗むかっぱらいを確保。
かっぱらいを連れて派出所に戻ると、近所の住民も派出所に避難してきていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸塚金次、派出所の犬
台風に備える話。
扉絵見開き2ページを除き、全ページが1ページ2コマのコマ割りで統一されていて、全34コマしかないので、話はかなり雑。
冒頭、両さんが機嫌よく歌っているのは春日八郎「長崎の女」。扉絵では大水でジャンプ編集部のある建物が流されている。「集英社」ではなく「ジャンプ編集部」の看板にしているところに、秋本先生の意志を感じる。
ラストに外国の原子力潜水艦が流されてくる。星らしきマークがついているが、どこの原潜かは明言されていない。
台風に備える話は17巻「台風に愛された男の巻」にもある。
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麗子がこの巻から初登場。
最初は、お金持ち、数か国語を操る才女の設定(後に成人式の話題があるので高卒設定)はなく、小生意気な若い女子という印象が強い。
絵柄の関係もあり、登場は当初は後よりも派手めな顔立ちになっている。
葛飾署の署長と次長もこの巻が初登場。
二人も息の長いキャラではあるが、家族が出て来たりと、それなりに出番と掘り下げがある署長に比べ、次長には最後まで目立った活躍回がなかった。
また、麗子の登場したのが第100話目で、この回から秋本先生のペンネームが「山止たつひこ」から「秋本治」に変更となっている(現在のコミックスでは1巻から秋本治の名義なので違いは分からなくなっている)。
そんなわけで、「こち亀」にとって転換点となった回といえる。