「こちら葛飾区亀有公園前派出所」23巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1982年9月発売）
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●火の用心の巻
ストーリー
（上下二段に分かれて「水の編」（上段）、「火の編」（下段）となっている）
「水の編」
派出所の掃除を部長に命じられた両さん。中川と星逃田を電話で呼びつけサボろうとするが、麗子も来て、サボることができない。
それでも、両さんは逃亡を図る。
「火の編」
部長は両さんに掃除を命じるとともに、火事についても注意する。
両さんは作りかけのラーメンを火にかけっぱなしにしたり、ストーブ用の石油を派出所にぶちまけたりと、火元に関する不注意を連発する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、星逃田
上下二段に分かれた構成の話。
最初のページの、部長が掃除を命じるのは同じなのだが、上段は昼間、下段は夜勤になっている。
上下に分かれて、それぞれ別なストーリーが展開されるが、掃除をサボろうとした両さんが、上段から下段の世界に逃げていき、下段では両さんが二人になったりと、連動している。
途中の一コマでは「イトコのとしちゃん（6才）が書きました」と、両さんと中川が子供のタッチで描かれる。
さらに途中の二ページでは、「漫画家国家試験」と称して、ベタ、スクリーントーン、擬音、バックなどが抜けており、「この2ページの仕上げをせよ」と読者に仕上げをさせる構成になっている。
65巻「人生色いろ！の巻」でも、上下二段に分かれた構成が使用されている。
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●ときめきの日の巻
ストーリー
葛飾署からボーナスを受け取ってきた両さんは、取られないようにと、派出所の額の裏にボーナスの袋を隠しておく。
ボーナスが奪われたという男性の事情聴取をしている過程で、隠していた両さん自身のボーナスも盗まれたことが判明。
両さんは執念から死に物狂いで、ボーナス泥棒を捜索する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、坊那須課長
両さんのボーナスが盗まれる話。
給与やボーナスが銀行振り込みになるのは、71巻「生意気ＣＤ機（キャッシュディスペンサー）の巻」から。
せっかくのボーナスだが、借金の返済でほぼなくなるとのこと。中川10万円、寺井5万円、戸塚5万円、麗子3万5千円、他、酒屋などのツケが内訳。
中川は借金を踏み倒されないよう、借用書を書いてもらった上、お金を渡したときの証拠写真、借金を依頼したときの両さんの声の録音も残していた。さすが両さんとの長年の付き合いの賜物だが、大金持ちなのに、割と細かい。
両さんはこの回だけで、ボーナス専門の空き巣以外に、自転車ドロ3人、下着ドロ、バイクドロも捕まえている。
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●窃盗大型化時代の巻
ストーリー
近所で自動販売機や電話ボックスなどを丸ごと盗む大型窃盗事件が多発。
両さんは派出所でジオラマを作りながら一人夜勤をしていたが、本田とサボって横浜方面に遊びに行ってしまう。
しばらくして帰ってくると、派出所が建物ごと消失して唖然。派出所が盗まれたのだ。
両さんと本田は自動販売機に扮してオトリ捜査を開始。窃盗犯のアジトに潜り込む。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、本田速人
派出所が建物ごと盗まれる話。
自動販売機ごと盗むのは理解できるが、派出所を建物ごと盗んでも売りさばける物はあまりないのでは？ と疑問が生じるが、犯人の目的までは言及されない。
自動販売機の窃盗に関しては、窃盗団は機械の取り換えの業者を装って堂々と盗んでいた。
派出所内には、両さんが苦心して作っていた鉄道模型のジオラマがあり、それごと盗んだので両さんの怒りを買っていた。
窃盗団はバイクも盗んで盗みの対象としており、派出所消失で茫然としていた本田のバイクも盗んだ。
クライマックスは、バイクモードの怒りの本田が、見開き2ページで「交機の本田がお礼まいりにやってきたぜ！」と大暴れするシーン。初期の本田はアクション要員となっている。
派出所の冷蔵庫には「人間の証明」のポスターが貼られている。
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価格:1668円 |
●さらば！わが友よの巻
ストーリー
前回の話で盗まれた派出所も、一応は元通りになっていた。
両さんが戻ってきた派出所で勤務していると、住民から花火の差し入れ、鑑識課から時限爆弾の一時預かり、近所で事故ったトラックの荷物（ダム工事用のダイナマイト）の一時預かり、石油の配達、本田からガソリンタンクの一時預かりと危険物が続々、派出所に置かれることに。
そこにロウソクの行商のおばあさん、火炎放射器を見せびらかしに来た星逃田、年末紅白大運動会の聖火ランナーが現れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、戸塚金次、星逃田
派出所が爆発の危機にさらされる話。
タイトルの「さらば！わが友よ」は、両さんの「この派出所とのつきあいが長いからなぁ 情がうつるよ」のセリフから、派出所のことを示している。
派出所は両さんにだけ聞こえるような声で「バイバイ」と喋っている（両さんの気のせい？）。
窃盗団から戻ってきた派出所は、障子の引き戸がついていて、江戸時代の番屋のような印象になっていた。
ロウソクの行商のおばあさんは、15巻「実戦セールス講座!?の巻」、17巻「長い一日!?の巻」にも登場している。
扉絵から派出所にカラスが何羽もとまっていたり、黒猫の親子連れが通過していたりと、不吉な雰囲気を出している。
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価格:3531円 |
●サバイバル新年の巻
ストーリー
1981年（昭和56年）元旦。爆発で木っ端みじんになった派出所の跡地で、両さんはテント生活の勤務をしていた。
そこに交機の本口リカが通りかかる。彼女は部長宅の新年会に呼ばれていたのだ。
両さんも同行を申し出るが、両さんは呼ばないようにと部長から厳命を受けていると拒否される。
頭に来た両さんは、リカのバイクに張り付いてこっそり乗車。部長宅に侵入し、おせち料理をむさぼろうとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、本口リカ、元五郎、大原良子
部長宅の新年会に侵入する話。
途中から両さんの侵入に気付いた部長は、槍で天井裏を攻撃したり、バルサンでいぶりだそうとしたりと、両さんに対抗する。
部長宅に「今回の両さんはあぶらすましに にてるぞ」と貼り紙がされている。両さんは勤務中のはずだが、いつもの制服姿ではなく、ムシロのようなものをまとって、乞食のような姿でテント勤務していた。
21巻「本口リカ登場の巻」で登場した本口リカの二度目の登場。次の登場は84巻「本田くん 逆玉作戦の巻」と、だいぶ間があくことになる。
部長宅にはリカ、本田だけでなく、中川と麗子もバイクで来ていた。中川のはBMW、麗子のはドゥカティ。
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●栄光の本田家！の巻
ストーリー
公園前派出所が新築されて、両さんの勤務も元通り。
バイクのオイル交換に行くという本田について行き、本田の実家の本田輪業を訪れる。
そこには、自分の苗字は本田なのにカワサキ党の父・改造、バイク屋の息子なのに乗り物酔いがひどく、オイルや排気ガスに弱い体質で自転車乗りの弟・門樹（かどき）がいた。
本田は父に頼まれ、千葉の祖父母にタイヤを運ぶことになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、本田速人、本田改造、本田門樹
本田の実家の本田輪業が初登場の回。
弟の門樹は本来の「かどき」だけでなく「モンキー」とも呼ばれている。元ネタはホンダのモンキー。
この回の門樹は、本田と同じく黒髪のリーゼントスタイル。以降の登場では茶髪のロン毛スタイルになる。
本田には、他に妹の伊歩もいるはずだが、この回では未登場（43巻「激烈年始！の巻」が初登場）。
伊歩については、結婚話などメインの回が何度かあるが、弟の門樹のメイン回は以降もなかった。
本田の祖父母は、この回だけの登場。祖父も農業用トラクターを130km/h出る4WDに改造するなど、チューン好き。
冒頭、両さんは元の派出所が戻るまで、ガード下派出所に居候勤務している。
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●鬼のかく乱!?の巻
ストーリー
真冬でも、両さんは袖まくりにサンダル姿で元気そのもの。
派出所に出勤すると、部長、中川、麗子がそろってマスクを着用しており、みんな風邪をひいていた。
さらに、同じく風邪気味の本田も派出所に現れ、誕生日なのでおごってほしいと言う。
そこで、格安で有名な亀食堂に向かうが、店が閉まっている。店主が風邪をひいて伏せっていたのだ。
客が並んでいたので、両さんが代わりに食堂を開くことに。
料理の役に立たない本田を助手に、四苦八苦していると、派出所では部長が風邪で倒れてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
風邪の大流行で、主人の代わりに食堂を営業する話。
冬でもいつも同じ服装の両さんは、衣類を3枚までしか着用しない。ランニングシャツ、Yシャツ、制服の3枚が基本で、黒いコートをたまに着るときは、ランニングを脱ぐらしい。
誕生日の本田のことを奢ってあげる約束をした両さん。珍しく気前の良い話だが、200円で食べられる亀食堂で奢って、その後は本田に奢ってもらう算段だった。
本田はまったく料理ができず、みそ汁に大量の味噌を入れてしまう。後年の本田は、クッキーを作ったりしているので、多少は料理もできるようになっている。
部長が倒れたと聞いて、両さんは急いで派出所に戻り、病院へ連れていく。何だかんだで部長のことを気にかけているらしい。
この話で、両さんはリンゴ病（伝染性紅斑）にかかる。両さんに人間離れした免疫がある設定は、70巻「秘薬リョーツＧＰＸの巻」で出てきており、この時点ではない設定。
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価格:623円 |
●荒野の決闘！の巻
ストーリー
パトカーで中川と群馬県までドライブに来た両さん。
田舎道で田んぼにハマってスタックしているトラックに出逢うが、両さんたちのパトカーでは馬力不足で牽引できない。
そこへウイリスMA型ベースの改造ジープに乗った男が現れ、トラックを救出する。
男は県警の刑事だった。男のジープに乗せてもらっていたところ、2千万円を奪った銀行強盗の逃走に出くわす。
両さんたちは、山中をジープで追跡する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
パワフルなジープに乗った刑事と強盗を追跡する話。
タイトルの元ネタは、西部劇映画「荒野の決闘」。
ジープでのハデなアクションが見どころの回。なぜか機関銃装備した自衛隊車両が装弾の状態で放置されており、強盗が逃走に利用する。話の都合とはいえ、そんな危険な車両が放置してあったらダメだろう。
ラストの派出所の掲示板に「今回 ジープが出てきた為 ペン入れが4日間もかかった。もうジープは出すのやめよう。しんど」と書かれている。そのためか、今回のジープの刑事は強烈なキャラなのに、以降の出番はなかった。
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●運がよけりゃの巻
ストーリー
両さんは知人に宝くじを代わりに買ってきてもらう。そのうちの一枚を、買ってきてくれたお礼に渡したのだが、それが100万円の大当たり。他はすべてハズレだった両さんは悔しがるのだった。
両さんと中川は駅前のデパート・ビッグコスモスの整理の仕事に向かうが、両さんはアトラクションのクイズ大会に飛び入り参加。
運よく簡単な問題が続き、現金30万円、ポルシェ、新宿の土地200坪、地価110億円の南の島・インファント島、地球と同程度の大きさの惑星と、どんどんと高額賞品が手に入る
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
幸運に恵まれクイズに連勝する話。
冒頭、現金5000円を拾い上機嫌だったのだが、宝くじのことを聞き、途端に不機嫌になっていて、運に振り回されている。
クイズ大会は、どんどん賞品が高額になっていくが、不正解になると、前の賞品もパアになってしまうシステム。欲深でノリの良い両さんは、途中でドロップアウトすることなく、次のクイズに挑戦していた。
南の島として出てくるインファント島は、怪獣映画「モスラ」などに登場する島で実在はしない。
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価格:990円 |
●血のバレンタインＤ（デー）！の巻
ストーリー
バレンタインの日、派出所には中川宛ての女の子からのチョコが山積みになっていた。
「お菓子屋の売りあげに協力する日だ」とバカにしていた両さんだったが、甘い物がニガテな中川からチョコを譲ってもらうと上機嫌にむさぼるのだった。
チョコを食べていると両さんの歯が一本折れてしまう。嫌々ながらも近所の歯医者に行くも、他の虫歯も抜くと言われ、両さんは逃走。
中川の知り合いの大きな総合病院に行くことになるが…
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、寺井洋一
バレンタインデーに歯医者に行くハメになる話。
「こち亀」ではクリスマスや正月は、割と扱われることが多いのだが、バレンタインはあまり出てこない。モテない両さんではチョコをもらえないからか。
この話では、両さんの歯は何本もガタガタという設定だが、64巻「歯無しにならない話の巻」では、両さんの歯はメチャメチャ頑丈。だが、10本以上抜けることになる。
ベッド上で暴れる両さんのことは「まるでエクソシストのようだ！」と評される。映画「エクソシスト」は1973年の公開。
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「窃盗大型化時代の巻」「さらば！わが友よの巻」「サバイバル新年の巻」と、派出所が一回無くなり、復活するまでが描かれる巻。
「栄光の本田家！の巻」では、本田の家族が初登場。
サブキャラの家族が深掘りされるのは、5巻「富豪巡査・中川の巻」以来か。
以降は、ボルボの祖父、マリアの父・母・妹など、サブキャラの家族も濃いキャラというパターンが見られるようになる。
