「こちら葛飾区亀有公園前派出所」40巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1986年5月発売)
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●オバサン族の巻
ストーリー
交通法規の鬼・石頭鉄岩課長による自動二輪の講習が行われると本田から聞き、両さんも参加。
甲冑姿の石頭の指導は、堅苦しく軍隊的。時には腰の刀を抜いて、強引な指導を行うのだった。
そんな講習の中、族が現れる。
族といっても暴走族ではなく、車道も歩道も無差別に一列に走り、子供を乗せて乗車オーバーも気にせず、赤信号も一時停止も無視するオバサン族だった。
主な登場人物
両津勘吉、本田速人、石頭鉄岩
中盤までは石頭課長の講習の話、終盤は原付などで暴走するオバサン族の話。
講習の中で「2輪車事故の原因 ベスト10」の資料が提示されているが、一位は「青いファミリアに じゃまされた」という秋本先生の個人的な思いではないかと思われる内容。
講習の中で、本田が見本の運転を見せる。この時は、珍しく暴走せずに基本のテクニックを見せている。
終盤はオバサンたちのパワーに圧倒される展開になる。オバタリアンの言葉を生んだマンガ「オバタリアン」の連載は、もう少し後の1988年から。
オバサン族の勢いに本田は「これか… 現代の王蟲(オーム)というのは…」と感想を漏らしている。王蟲は「風の谷ナウシカ」(映画版は1984年公開)に登場の巨大な虫。
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●寄宿生活!?の巻
ストーリー
両さんの住んでいるニコニコ寮が老朽化のため、建て直し。一か月前から掲示板で告知していたものの、両さんは見ていなかったので、準備をしておらず、突然住居を失うことに。
中川たちには断られ、建て直しまでの三週間、両さんは部長の家に寄宿することになる。
部長宅では、テレビ番組はニュースばかり、朝4時から起こされ剣道の稽古、盆栽の手入れ、食事後も書道や囲碁の稽古をさせられ、両さんは辟易するのだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、大原良子、吉原トメ(白浜カトリーヌ)(寮母)
部長の家に寄宿する話。
四年に一度目覚める日暮も同じニコニコ寮で眠り続けているはずなのだが、この話では触れられていない。
中川の家は、アラブの大使が泊まるので両さんを受け入れられないということだった。中川の金持ち度合いなら、両さんのためにマンションを用意するぐらい造作もないだろうが、話の都合上、そのようなことはない。
麗子の家については「いかん! ヒモになっちまう」と自重して頼まなかった。
部長の家の最寄のバス停は「南京豆神社前」。通勤には国鉄(当時まだJRではない)、私鉄、バスを乗り継ぎ、徒歩を含めて2時間30分かかる。
テレビのニュースでは、牛肉・オレンジなどの日米農産物交渉が報じられている。
オチは、意外にも良い雰囲気で終わる。
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●改造人形コンテストの巻
ストーリー
部長宅での寄宿生活で両さんは少しやせてしまい、休日の空き時間も部長から逃れるため、パチンコに費やしていて、すっかりお金を無くしていた。
そこで、賞金100万円のプラモ改造コンテストに挑む。しかし、このコンテストには「コンテスト荒らしブラザーズ」として有名な松山兄弟も出品すると聞き、危機感を募らせる。
両さんは子供たちをダシに松山兄弟の家を敵状視察。
松山兄弟の技術に驚愕した両さんは、対抗して1/1000の超小型の改造人形を出品することにする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、松山千夏、松山小春
プラモ改造コンテストに挑む話。
松山兄弟は、兄が人形改造、弟がメカ・ジオラマを得意としており、自分たちの家をプラ版をつなぎあわせて作ってしまうほど。
「巨人の星」の左門豊作の妹と弟のフィギュア、ゴルゴ13のエピソード「ラオスのけし」に出てくるバーのバーテンなど、マニアックなフィギュアのガレージキットも松山兄弟は製作している。
スーパーマンは版権が一番うるさいらしく、姿は描かれず、両さんのセリフのリアクションのみに留められている。
今回のコンテストのテーマが「精密さへのチャレンジ」だったため、松山兄弟も両さんも緻密な模型に挑むことになる。
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価格:1000円 |
●ボク トーダイの巻
ストーリー
派出所に東大卒の超エリートが来ると聞いて、部長は上機嫌。
法条正義という名前から規律正しい二枚目の青年が来ると期待するが、来たのはゴツい強面の警官だった。
東大卒らしく書類のミスにはすぐに気づくも、駄菓子を食べたことがなかったり、喫茶店に入ったことがなかったりと、世間知らずな法条。
喫茶店でウエイトレスに絡んでいたチンピラたちを、両さんの命で法条が注意に向かう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、法条正義
東大卒の警官・法条の初登場回。
東大を出て警察官になる場合は、国家公務員総合職試験を受け(通称:キャリア)、警部補スタートなのだが、法条は自分の意志でノンキャリアの道を選ぶ。
両さんは東大のことをあまり知らず、野球の弱い大学という認識しかなかった。この東大出のすごさを中川に図入りで説明されるとき、「ロンパールームのお姉さんみたいな言い方」と両さんは言っている。ロンパールームは昔の子供番組。
法条は外見でナメられることがあるので、卒業証書を持ち歩いている。
法条は防衛本能で、襲われると暴力を振るい返す設定がこの回ではあるのだが、その設定は後に使われなくなる。
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●アニメ戦国時代!?の巻
ストーリー
ドロボウが多発しているというアニメ会社に、泊まり込みの警備の依頼が来て、両さんは法条と向かう。
目的のガマクジラプロを訪れると、新作アニメのセル画が盗まれるということだった。
警備が仕事とはいえ、特にすることのない両さんは、スタジオの中を勝手に見て回る。作画監督を追い出しそうになったり、トレース台を破壊したり、原画をゴミと思って捨ててしまったりと何かとトラブルを起こす。
さらに原画にイタズラ描きを施すが、なぜかチェックをすり抜けてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、法条正義
アニメ会社の警備に行く話。
この回での両さんはアニメのことをほとんど知らず、どうやって絵を動かしているのか説明されても理解していなかった。
このとき描かれていたアニメ作品は「新銀河装甲戦士スズキ」というロボットアニメ。
両さんにトレース台を破壊されたアニメーターは、ガラス窓を使って透かして描くハメになる。昼間は太陽光を透かし、夜は建物の外(3階)から中の電灯を透かして絵を描いていた。
91巻「アニメ現代事情の巻」でもアニメ会社を訪れるが、そのときには北映アニメ会社との名前に会社名が変わっている。
97巻「アフレコ見学会の巻」では両さん自身の描いたマンガ「ロボ刑事番長」がアニメ化される。
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価格:880円 |
●東京住宅事情の巻
ストーリー
新人なのに法条は毎日、遅刻してくる。
理由を尋ねると、なんと三重県の松阪から新幹線を使って通勤していたのだった。
両さんは法条を連れて、東京での住まいを探すことにする。
訪れた高居不動産で安いアパートを紹介してもらうが、紹介されたのは埼玉県のボロボロのアパートや前の住人がガス自殺をした事故物件だった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、法条正義
法条のアパートを探す話。
この回の不動産屋は、寺井の家探しのときによく登場するトニー谷のようなインチキ不動産屋ではないが、高級分譲住宅ではなく安い賃貸が目的と知ると、愛想が途端に悪くなる人物。
不動産屋の乗っている車は、シトロエンDS21。両さんからは「よほどアコギな商売しなきゃ こんな車には乗れん」と言われる。
法条は、東大卒なので大学時代から三重-東京間を通学していた。東京での一人暮らしが不安なので実家から通っているのだった。
通常なら、警察寮に入るところなのだろうが、「寄宿生活!?の巻」でニコニコ寮は建て直しになっている。
結局、いつの間にか法条はニコニコ寮に入寮することになる。
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●ブラック・リストの巻
ストーリー
警察官の不祥事が問題になっている。葛飾署ではコンピュータを導入し、アンケート結果から非行に走る可能性の警官を算出。
両さんが98%の確率で非行に走るというダントツの結果だった。
心配な部長は、中川のフェラーリで勤務後の両さんを追跡。
両さんは、露天商や数人からお金を巻き上げ、ホステスにお金を渡していた。
部長は、両さんがホステスに入れあげて、強請りで得たお金を貢いでいるとにらむ。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、戸塚金次、屯田五目須(署長)
両さんの行動を部長が追跡する話。
部長と中川はフェラーリで両さんを追跡。下町でフェラーリを乗り回す人物など、そうそう他にはいないはずなのに、両さんはなぜか尾行に気付いていなかった。
両さんは下町の狭い路地などを進むため、中川は片輪走行で進んだり、浅いドブ川の中を走行することになる。そのせいで、フェラーリはボロボロになり、停車しているだけなのに、放置された廃車と間違われる。
両さんの行動から最悪の結末を予想した部長の妄想の新聞記事の見出しは「中年巡査長がゆすり! 200億兆円たかる‼」だった。
お金を借りることが圧倒的に多い両さんだが、まれに貸すこともあるらしい。
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●ドジ強盗!の巻
ストーリー
田舎者の二人組の強盗は、銀行強盗を企むも、銀行の立派な内装と怖そうな行員にビビって断念してしまう。
次にラジコンヘリで現金を運ぶことを計画。だが、ラジコンを作ったことのない二人では組み立ての自信がない。たまたま、その模型店にいた両さんが代わりに組み立てることに。
後日、二人組は、そのヘリで強盗を試みるが、現金の重さをヘリが耐えられず、やはり失敗。
そのラジコンヘリが両さんの組み立てたものだったので、両さんに疑いがかかる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一
ドジな二人組の強盗の話。
計画を練り、実行するが、ドジなため失敗を繰り返すという落語のような展開。
模型店で両さんと会ったとき、暑くて両さんは上着を脱いでいたので、二人組は両さんが警察官だと気付いていなかった。
ラジコンヘリでの強盗の際、ヘリに爆弾(らしきもの)を巻き付け、3000万円をバッグに詰めるよう指示する手紙をつけて飛ばしていた。
このヘリに「両津作」と名前を入れていたため、両さんが容疑者になる。部長と中川は、両さんの弁明を聞くつもりはなく、普通に疑っていた。前回の「ブラック・リストの巻」に続き、部長と中川の両さんへの信頼度は低い。
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●人生最悪の日…!?の巻
ストーリー
雑誌の占いで両さんのうお座(3月3日生まれ)もO型も最悪の運勢。
野球のボールが飛んできて作りかけの模型を破壊されたり、輸送中のタイガー戦車にひかれそうになったりと散々。
怒った両さんは雑誌の出版社に怒鳴り込むが、編集長に上手く丸め込まれてしまう。
その上、運勢を変えるため、モヒカン刈りにした方が良いと言われ、その気になってモヒカンにしてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
占いの雑誌の話。
それっぽいことを語る占い雑誌の編集長だが、雑誌の掲載の内容はダーツで適当に決めるなど、実にいい加減。結局は「占いなんて本人の気の持ち方」ということらしい。
派出所にタイガー戦車や暴走族の車が突っ込んできたり、警察官が勤務中の派出所にドロボウが入ってきたりと、発生する不幸はなかなか強引。そこも含めてギャグということだと思う。
162巻「ありえない!? うらないの巻」では、中川が占いのラッキーアイテムに振り回される。
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価格:704円 |
●コレクションの巻
ストーリー
浅草の実家から、両さんがかつて集めていた古い切手やコインのコレクションが出てきたので、派出所に持ってきて見せるが、中川や麗子はあまり関心がなく、部長とは世代が違うので、話が合わなかった。
しかし、部長から切手の価値が上がっていることを聞くと、自分のコレクションも高値がつくのではと、古物を扱うインチョキ堂を訪れる。
だが、あえなくどれも高い値はつかなかった。代わりに昭和23年の10円玉なら高値で買い取ると言われ、両さんは10円玉を集めまくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、インチョキ堂の主人
古い切手やお金の話。
前回「人生最悪の日…!?の巻」に続き、両さんの髪型はモヒカンのまま。
両さんは子供の頃、同じクラスに切手マニアの金持ちがいたので、その少年にゴマをすって、当時ブームだった切手を集めていた。
中川と麗子は、そもそも小銭をほとんど使わない生活のため、両さんとの世代の差もあって、穴のない5円玉や50円玉のことを言われてもピンときていなかった。
インチョキ堂の主人は、この回が初登場。彼がメインの回はない(古銭や掛け軸などが話のメイン)ので、インパクトはそれほど強くないが、終盤まで何かと登場する息の長いキャラ。(180巻「趣味のお宝探しの巻(コイン編)」、181巻「現金コレクターの巻」など)
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東大卒の法条、インチョキ堂の主人が初登場となる巻。
この巻で法条は「ボク トーダイの巻」「アニメ戦国時代!?の巻」「東京住宅事情の巻」と3話も登場し、準レギュラーとして定着したかのような活躍を見せるが、次の巻以降はめっきり出番が減り、読者から忘れ去られない程度にチョコチョコ出てくるキャラとなる。
(日勤・夜勤の交代時に、ちょっと出てくるだけなど)
ところが、140巻以降になると法条の出番は増え、両さんとニコニコ寮で同室になったり(159巻「トラップゲームの巻」)、名前が法条正義から凄苦残念(すごくざんねん)になったり(170巻「「改名くん」の巻」)と、活躍の機会が増える。
マリアの父のホンダラ親父などのように、一時期は出番が多かったものの、途中から出番が減るキャラは少なくないが、終盤からの印象が強くなった法条はかなりレアなパターンのキャラ。