「こちら葛飾区亀有公園前派出所」41巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1986年7月発売)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 41【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ゴリラ・タンクの巻
ストーリー
派出所に通信販売で届いたのは、米国ウソダ社の1/2スケールのタイガー戦車のプラモ。
数日かけて、派出所内で戦車を完成。両さんはラジコン仲間に、完成した戦車を見せに行く。
そこにはミリタリークラブの技矢乱戸面(ギヤラントメン)がおり、次回のコンバット戦は200名参加の大規模なもので、映像をカメラに収める予定なので、両さんの戦車も参加してくれるよう要請。
当日、両さんは戦車に乗って行くが、集合場所を間違えてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、技矢乱戸面
1/2スケールの戦車のプラモの話。
「こち亀」では「タイガー戦車」ではなく原語に近い「ティガー戦車」と表現されることが多い(155巻「東西戦車(タンク)バトルの巻」161巻「ボトルカスタムの巻」184巻「コレクターお見合いの巻」など)が、この回では「タイガー」表記。
通常サイズのプラモデルを、そのまま1/2スケールにサイズアップしただけの製品のため、作りが粗く「アメリカ人はまったく大ざっぱ」と両さんは、こぼしている。
電池はついていないので、単三電池を120個入れて、巨大モーターを動かす仕組みになっている。
組み立てには数日かかっているのだが、その間、部長に見つかっている様子はない。
組みあがった戦車は大きすぎて派出所の部屋から出せなかった。そのため、派出所の壁を破壊することになる。
技矢乱戸面(ギヤラントメン)の名前の元ネタは、おそらく米国のテレビ戦争映画「ギャラント・メン」。
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●南の島のバカンスの巻
ストーリー
暑くて勤務どころではない両さんは、中川に海に連れて行ってくれと頼みこみ、中川のコンコルドで、赤道近くの南の島へ向かう。
島で優雅にクルージングを楽しんでいると、ヤクザの御所河原組も同じく船を出していた。彼らは、バカンスだけが目的ではなく、沈没船の宝探しに来ていたのだった。
宝の横取りを危惧する御所河原組は両さんを襲うが、海からの巨大なカニの襲撃で事態は急変する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、御所河原組長
南の島のバカンスで巨大ガニに襲われる話。
この南の島の話は次の「海中散歩!?の巻」に続く。
両さんは有給休暇を使い切っていたはずながら、本人はまだ200日残っていると豪語する。
巨大ガニをジェットスキーの一撃で両さんは昏倒させるが、その際、「カニミソ筋という秘孔をついたのだ」と「北斗の拳」のようなセリフを語っている。
御所河原組は沈没船を探しに来ていたものの、実は沈没船が沈んでいるのは隣の島の近くだった。
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地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり/ロバート・ランシング[DVD]【返品種別A】 価格:1916円 |
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価格:7880円 |
●海中散歩!?の巻
ストーリー
引き続き、南の島のバカンスを楽しんでいると、休暇を取った麗子も同じ島にやって来る。
両さんは御所河原組長たちと、沈没船タンタンタヌキ号を探しに、ダイビングをして海中を散策する。しかし、海中は多くの観光客と観光客目当ての商売で、たくさんの人であふれていた。
沈没船があると思われる海域に移動すると、そこには目的の船以外に100隻以上の船が沈没していた。
組長から200億円の金塊の可能性を聞かされた両さんは、中川に命じお金に糸目をつけず、片っ端から沈没船を引き上げる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、御所河原組長
沈没船の金塊を探す話。
海中には日本人ダイバーがたくさんおり、海底で麻雀をする者、油絵を描く者、スーツ姿の団体で記念撮影する農協ツアーなどがいた。
また、海底には牛丼屋、ハンバーガー屋、フライドチキン屋が出店しており「わずかなスペースでも すぐ開店してしまう あの3店」と両さんから感心される。
この沈没船の引き上げ費用には、最終的に54億円(次の話では57億円になっている)かかる。なお、その費用は83巻「史上最大の宝クジ!の巻」で返済する。
沈没船の宝探しの話は、75巻「深海SOS!?の巻」でも出てくる。
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価格:1925円 |
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価格:1595円 |
●脱皮!の巻
ストーリー
南の島ですっかり日焼けして帰ってきた両さん。
海外に一度も行ったことがなく、盆の帰省でまんじゅうを土産に買ってきた部長のことを小バカにするが、少しでも身体に触られると日焼けの跡が痛んで苦しむのだった。
その日の夜、部長に命じられ、神社で行う子ども会の映画上映の警備に両さんは向かう。
トラブルにより、8ミリフィルムの映写機の音声が出なくなったので、両さんはメチャクチャなアフレコで対応する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
南の島帰りで屋外映画の吹き替えをする話。
タイトルの「脱皮」について、詳細は書かないが、オチを指している。
海外経験のない部長に「私など(中略)アメリカ サンフランシスコ ロスアンジェルス 米国…… 四か国在住した事があります」とマウントをとるが、当然ながらこれは一か国である。
両さんが米国に行ったのは26~27巻。
部長は、46巻で両さんとともにイタリア・フランスに行くことになる。さらに165巻では両さんと部長はドバイに行っている。
両さんは、前話「海中散歩!?の巻」の沈没船の引き上げ費用として、中川に毎月1000円払うことになる。
子ども会の映画は「君たち 名もなく まずしく うつくしい エリマキトカゲっ子だね」という謎の映画。ちょんまげ姿の日本風の映像なのに、両さんは主人公をダニエル・モナムーチョくんとし、「世の中 金だ!」というストーリーに吹き替えする。
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ビジネスに効く対話型アート思考 脳が脱皮する美術館 あなたの知らないアートが最強のチームを作る [ 福島 治 ] 価格:2420円 |
●住人と色の巻
ストーリー
KAMEARIレインボーキャッスルというマンションの住人同士がケンカをしていると、両さんは相談を受ける。
ケンカをしているのは、分譲の6階フロアの住人たち。
そこでは赤、緑、黄、白、金、黒のそれぞれの色にこだわりのある住人たちが住んでおり、部屋の壁や調度品、服装、食べ物や持ち物など、身の周りの物をすべて、自分の好みの色に統一していた。そして、互いの色を主張してケンカしていたのだった。
両さんが仲裁に入ったところ、色がなくなり、白黒の世界に変わる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
それぞれの好みの色を主張する住人の話。
ジャンプ掲載時にはカラーで彩色された回だったのだが、コミックスでは、白黒になっているので、魅力が半減してしまっている。
カラーページは途中までなので、終盤は通常のモノクロに戻り、そこで住人たちのケンカは収まることになる。
モノクロに戻ってからもカラーの雰囲気を出すため、麗子の制服は「ライトグリーン」、両さんの制服が「藍色」などと、いちいち色指定が入っている。
タイトルの「住人と色(じゅうにんといろ)」は「十人十色(じゅうにんといろ)」にかかっている。
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価格:2420円 |
●五輪(オリンピック)男・日暮再登場の巻
ストーリー
ロサンゼルス五輪が開幕。
両さんは、部長に隠れて五輪の結果で賭博をしているところ、部長に言われて四年に一度目覚める日暮巡査を起こしに行く。
日暮の部屋はすっかり荒廃し、日暮は腐って陥没したタタミの中に埋まって眠っているのだった。
ようやく日暮を派出所に出勤させ、超能力で仕事をさせる。しかし、両さんはこっそり賭博用に五輪の結果を日暮の超能力で予想させようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、日暮熟睡男
五輪のたびに目覚める日暮の二度目の登場の回。
前回は21巻「うらしまポリス!?の巻」。
ニコニコ寮は、日暮が寝ている間に破壊され、新しく建て直されたはずなのだが、日暮の部屋は荒れ果てていた。
日暮の知識は四年前(1980年)で止まっており、漫才ブームでザ・ぼんちの歌が大ヒット、松田聖子はラジオ番組「ザ・パンチ・パンチ・パンチ」のパンチガール三人のうちの一人という認識だった。
日暮はバイクのドリームCB400FOURを新車で買っていたが、一度も乗ったことがなかった。このバイクは、四年以上ほったらかしだったはずなのに、なぜかエンジンが普通にかかる。
日暮の予知能力で、前年(1983年)の三宅島の噴火について言及されている。
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価格:3286円 |
●東京の熱い一日の巻
ストーリー
旧盆の帰省で東京の人出はめっきり減ったが、両さんたちは暑い中、いつも通り派出所勤務していた。
あまりの暑さに「暑い」と言ったら100円罰金のゲームを始めるが、両さんの一人負けになってしまう。
両さんは打ち水をして少しでも冷やそうとするが、室内まで無差別に水を撒いているところを部長に咎められる。
部長に叱られた両さんは、中川と麗子をウソで仲間に引き入れ、夜勤中の部長と寺井を脅かそうとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一
夏の東京での一日の話。
冒頭2ページ半に渡って、新宿、銀座、渋谷、そして亀有と無人の東京の様子が描かれる。帰省で東京から人がいなくなっているという設定ながら、帰省先がある人たちばかりではないので、そこまで無人にはならない気がする。
新宿ではコマ劇場で甲斐バンドショーが行われている。
両さんが復讐のイタズラのために中川たちについたウソは、部長が中川と麗子の悪口を言っていたというもの。
中川については「金持ちを鼻にかけて生意気」「いつかクビにしてやる」、麗子に対しては「ブスで性格が悪い」「金髪の軍人にだまされて結婚詐欺にあえばいいんだ」と言っていたことにしている。
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価格:2654円 |
●都会のオアシスの巻
ストーリー
「都会のオアシス」との触れ込みの東京リフレッシュセンターのタダ券を本田が入手。両さんと二人で訪れる。
都会人のストレス発散を目的としているセンターの中は、屋内でグアムの海岸、森林浴、登山、スキューバダイビング、バイクのツーリングができるという施設。
他にはレンタカーのサービスも行っており、車以外に追っかけてくるファンと芸能レポーターもセットの「あなたも芸能人セット」などがあった。
両さんは、リムジンに外国人の護衛がついた「あなたも大統領セット」を使い、アブダラ国王の視察と称してVIPのフリをして葛飾署を訪れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)
都会で様々な体験ができる施設の話。
屋内は本格的なセットと壁の立体スクリーンで、海岸や森林体験ができる仕組みになっている。森林浴では床の一部が自動で動き、歩くことができる。
色々なコースのある施設だが、作中ではバイクのツーリングの設備に一番ページを割いていて、ビモーター、VF1000R、RD400などのバイクが登場する。
さらに葛飾署の入り口には「今月のおすすめバイク」としてFZ400R、スーパーホークIIIが展示されており、秋本先生のバイク趣味がうかがえる。
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●いないいないバアの巻
ストーリー
部長の孫の大介が誕生。
お祝いを購入するための5000円をみんなから集めるが、両さんは渋る。
ところが、部長が派出所に出勤してくると、態度を一変させ、急遽お祝いムードになり、おべっかを使いまくるのだった。
孫の話題を出すと部長がデレデレになると見た両さんは、孫の顔が見たいと言い出し、休日に部長と二人でひろみ夫妻のマンションを訪れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、角田(大原)ひろみ、角田英男、角田大介
誕生した部長の孫に会いに行く話。
この時点では孫(大介)の名前は出てきていない。
派出所一同のお祝いの熨斗には、両さん、中川、麗子、寺井、戸塚、星、本田の名前がある。よく派出所に出入りしている交通課の本田はともかく、本庁の刑事の星の名前があるのが意外。
みんなが5000円出しているところ、両さんは500円しか出していない。このときの500円は硬貨ではなく紙幣の500円札(岩倉具視)。
大介の次の登場は、50巻「両さんのプレゼントの巻」。両さんが大介用のおもちゃを自作する。
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子育てハッピーアドバイス(ようこそ初孫の巻) 孫が幸せに育つために [ 明橋大二 ] 価格:1026円 |
●両津刑事!の巻
ストーリー
20年前、両さんが数か月だけ刑事課にいたという事実を部長から聞かされ、中川たちは驚く。
昭和39年(1964年)夏、両さんは新米で勤務態度はメチャクチャながら、ダントツの犯人検挙率で、派出所勤務から刑事課に配属となった。
刑事課で南部刑事とコンビを組むことになった両さん。
賭博容疑で太田黒組の組長を追う南部と両さんは張り込みをする。退屈な張り込みに嫌気がさす両さんだったが、張り込みしている屋敷に組長が姿を現す。
組長や取り巻きたちともみ合いになり、組員の一人が発砲。銃弾が南部を襲う。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、南部
両さんの刑事時代の話。
両さんは結局、本人の希望で外勤に戻り、大原部長(当時はまだ部長ではないだろうが)と再び同じ派出所に勤務することとなる。
刑事を辞めた理由についての詳細は明かされていない。
20年を経て、当時の南部と同い年になったと両さんは語っている。
20年前の街には脱線トリオの「脱線三銃士」の映画の看板が出ており、署の看板には「コンバットばかりでなく NETのギャラントメンも見よう ひょっこりひょうたん島もおもしろい!」と書かれている。
太田黒組の組長が乗っている車はビュイック。
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価格:3511円 |
「南の島のバカンスの巻」「海中散歩!?の巻」「脱皮!の巻」は、「こち亀」には珍しく3話連続した話。
「いないいないバアの巻」で誕生した大介は、部長の初孫。
後に小学生にまで成長した大介のために、部長はポケモンなどのゲームに挑戦するハメになる。
部長がゲームのことを両さんに訊こうとして、両さんが調子に乗るというのがパターンになるので、大介の出番は割と多い。