「こちら葛飾区亀有公園前派出所」53巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1988年8月発売)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 53【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●麗子の秘密の巻
ストーリー
麗子の朝は、港区の高級マンションでのシャワーから始まる。
そのマンションには引っ越して4日目なのだが、早くも麗子の気をひこうとする御曹司たちに住所を突き止められてしまい、プレゼント攻撃で辟易するのだった。
その日は、中川は休暇でヨーロッパ、部長は方面部長の対応で署で内勤のため、派出所勤務は両さんと麗子の二人だけ。
部長不在で羽を伸ばす両さんの世話で、麗子は手を焼くのだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、秋本カトリーヌ麗子
麗子のある勤務日の一日を描いた話。
「出勤シリーズ」と銘打たれ、主要人物の朝の出勤風景が描かれるシリーズの第一弾。
朝のルーティンが、留守番電話のチェックというのは当時ならでは。
シャワーシーンや署の更衣室シーンなど、サービスシーンの多い回。
麗子を口説こうとしている伊集院という人物は年商8000億円以上のヨトタ自動車の孫という設定。しかし、両さんからは「車屋のせがれ」と言われてしまう。
両さんが派出所のテレビで見ていたボクシング中継は、ピストン浜田丸vsカシアス クレイマン戦。選手名の元ネタは、ピストン堀口、浜田剛史、モハメド・アリ(カシアス・クレイ)か?
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●ジャーマネ両津の巻
ストーリー
中川の朝は、シャワーの後、ハイブランドに身を包み、高級車を走らせるところから始まる。
MHKテレビの特集の「若いおまわりさん」に出演したことから、二枚目の中川は女子中高生のアイドルとなり、派出所にはファンの女子たちが押し寄せて仕事にならない。
始めは中川の女子人気に迷惑がっていた両さんだったが、生写真が売れると知り、中川のマネージャーとして商売とすることに。
ファンクラブの会員証を作り、会費を取り、カラオケ大会のときの録音をミュージックテープとして売ったり、温泉旅行の際のロングの画角の写真を写真集として売り出したりとサギまがいの商売を始める。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
中川のマネージャーとなって、ファングッズを売りまくる話。
出勤シリーズの第二弾は中川。シャワー後に身に着けたブランド品はちゃんと設定がある。時計(オメガ)、サイフ(カルティエ)、オードトワレ(ジュール)、拳銃(ベレッタM92SB Fカスタム)、アップサイドホルスター(ビアンキ・カスタム)、サングラス(モレル)、スーツ(チェスターバリー)、シャツ(ニューアンドリングウッド)、ネクタイ(フィンテックス)、ベルト(モラビト)、コート(バーバリー)、靴(フェラガモ)、アタッシェケース(パップワース)、マフラー(ジョンストン)、手袋(ダンヒル)、キーホルダー(ロンドンパッチ&ボタン)、カフス(ターンブル&アッサー)、タオル(ジャラ)、ソックス(パンセレラ)、ブリーフ(リザンツァ)、車(ジャガーEタイプロードスター)。
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価格:305280円 |
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●銘菓ゴキブリくんの巻
ストーリー
両さんの朝は、匂いが比較的少なくマシなシャツとパンツを選ぶところから始まる。
派出所に出勤すると、新製品の大甘ポテトチップスが大ハズレとなり、経営の厳しい日暮里製菓工場が相談に来ていた。
両さんはインパクトのある商品名でアピールすることを提案。
チョコボールを「巨大なハナクソくん」として売り出す。
さらにインパクトのあるオリジナル商品の開発にも着手し、歯磨き粉チューブのような容器からチョコを絞り出す「おはよう! 歯みがきくん」、ゴキブリそっくりの外見のチョコ「陽気なゴキブリくんハウス」などを考案する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
ゲテモノのお菓子を開発する話。
出勤シリーズの第三弾は両さん。麗子、中川はシャワーから始まるが、両さんはトイレから始まる。
二週間履きっぱなしのパンツはさすがに匂いがヒドいので、パンツ全体にミカン汁をなすり付けて匂いを中和し、裏返しに履いて「これでほとんど新品同様」と自画自賛する。
商品名で消費者にアピールするお菓子の例として、実在のS&Bスナック「鈴木くん」「佐藤くん」が出されている。
ゴキブリチョコを小売店で扱ってもらうための手法は、サクラの小学生を雇ってゴキブリブームを偽装するというサギのような手口だった。
【鈴木くん・佐藤くん】CMが話題の昭和人気お菓子!名前の由来は?
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価格:1540円 |
●オシャレに極道の巻
ストーリー
近所にヤクザの事務所ができて困っていると、住民からの苦情で事務所を訪れると、そこは御所河原組の事務所だった。
間に立った両さんのアイデアで、地域の住民に馴染むため、組員たちは七三分けのサラリーマンスタイル、車はベンツから80年型サニーのライトバン、地域の清掃活動を積極的に行うなど、イメージチェンジをはかる。
徐々に街に馴染んできた御所河原組だったが、街に別なヤクザの組が関西から引っ越してきてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、御所河原組長
御所河原組がイメージチェンジをはかる話。
ヤクザの事務所に乗り込むというとき、両さんは弾丸をショットシェル(散弾)に変えて備えていた。どこからそんな弾丸を入手したかは不明。
両さんが事務所に乗り込んだとき、組長がプレイしていたのはファミコンのグラディウス。
関西のヤクザに「(ヤクザというのは)ほんまか!?」とすごまれた際、御所河原組長「ほんまじゃない! 本間千代子どす!」とボケていた。
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●ボーナス争奪戦!!の巻
ストーリー
ボーナスの支給日。署から出てくるところを待ち伏せしている商店街の借金取りたちの目を欺くため、両さんは10万円金貨4枚で支給をしてもらう。
金貨4枚を巧みに隠し、「ボーナスの支給はなかった」とウソを吐いて、その場を逃れるが、ウソがバレ追跡される。
両さんは遊園地に逃げ込む。しかし、観覧車上でのもみ合いの末、金貨4枚は遊園地内にバラ撒かれてしまう。
ヒョウの檻の中、コースターのレール上などの危険なところに落ちた金貨を巡って争奪戦が繰り広げられる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、尾崎(プラモ屋)、坊那須課長
43巻「ボーナス争奪戦!の巻」に続く商店街とのボーナス争奪戦の第二弾(今回はタイトルに!がひとつ多い)。
今回は遊園地内で金貨を巡ってのドタバタになっている。
金貨争奪に合わせてか、遊園地の名前は「ゴールデン遊園地」。
4枚の金貨は普通にポケットや財布に入れておくと見つかるので、携帯受令器の中、拳銃のグリップの中、左右のサンダルに1枚ずつに隠していた。
ボーナス争奪戦は、73巻「ボーナス戦線異状なし!の巻」に続く。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 43【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 73【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●両津クリスマス劇場の巻
ストーリー
ボーナスを失い金欠の両さんは、高収入の配送のバイトを始める。
年末のお歳暮の時期でデパートの配送の仕事は大忙し。
世田谷区成城のお城のような豪邸では、一軒で大量のお歳暮を受け取っていた。一方、配達の途中で出会った施設「さくら学園」の子供たちは、貧しさに困窮していて、クリスマスプレゼントもない状態だった。
「さくら学園」の窮状を知った両さんは、クリスマスの日、バイトを休んで子供たちにプレゼントを持っていき、中川たちと人形劇を行う。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
クリスマスに施設の子供たちにプレゼントをする話。
冒頭では金欠のあまり殺気立っていた両さんだが、無償で子供たちのために働く展開につながっていく。
両さんがバイトしたデパートの名前は「トラヒゲデパート」。元ネタは「ひょっこりひょうたん島」のキャラ。ロゴマークがほぼトラヒゲ。
両さんたちの行った人形劇はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を日本の時代劇に変えたものだったが、子供たちの受けはイマイチ。その後の「変身ヘビメタ刑事 言語道断マン」の方が受けていた。
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●浅草ラプソディーの巻
ストーリー
1987年の年が明ける深夜0時に浅草寺に初詣に来た両さん、中川、麗子。
大勢の人波に揉みくちゃにされ、参拝はできたものの麗子の着物が着崩れしてしまう。
着付けを両さんの母に直してもらおうと、実家の佃煮屋を訪れる一行。
まだ夜中も起きていた両親と飲み始めるが、朝から外国に行く予定の中川と麗子は中座。
残った両さんは、父・銀次と風呂を浴び、夜が明けてから二人で浅草の街に繰り出すのだった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津銀次、両津よね、三吉、金子野武郎
正月に浅草を訪れる話。
大晦日の佃煮屋は、年が変わる0時を過ぎてもまだ店を開けていた。
父・銀次はビデオデッキを購入していたが、年が変わるときでもエロビデオを見ていた。
浅草フランス座の前で、銀次はストリップ嬢と思われる女性に声を掛けられる。フランス座は1999年まではストリップ興行を行っていた。
銀次の小学校の同級生のヤクザの名前は金子野武郎(かねこ のぶろう)。名前の元ネタは、「仁義なき戦い」などに出ていた俳優・金子信雄か?
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価格:2480円 |
●両さん新人研修の巻
ストーリー
警視庁開発4号乙型ロボット警官が派出所にやって来る。しかし、すぐに手や頭部が外れてしまうヤワさで、力も人間よりもはるかに弱いので、両さんから「丸出ダメ太郎」と命名される。
届け物の用事で葛飾署のコンピュータ室を訪れた両さんは、ふざけて無人のコンピュータ室の機材をいじるが、誤ってデータを消去してしまう。
葛飾署だけでなく警視庁のデータも消してしまったようで、両さんはピンチに。そこで、一緒に連れてきていたダメ太郎がコンピュータを確認してみる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、丸出ダメ太郎(開発4号乙型)
ロボ警官・丸出ダメ太郎の初登場の回。
この初登場時の最初のみ、警察官の制服を着用していないが、この回の中ですぐに制服着用する。以降は制服着用がデフォルトになる。
「上司命令は絶対服従」「上司は神」と教え込んだことから、ダメ太郎は両さんを「神様」と呼ぶことになる。
コンピュータ室の画面に映っていたのは「Dr.スランプ」のアラレちゃんと手塚治虫先生の作品に頻出のヒョウタンツギ。
体力的なことは苦手ながら、バッテリーが充分なときの頭脳は優秀なダメ太郎。バッテリー設定は後には見られなくなるが、その優秀な頭脳での出番は割と多い。(90巻以降は数回に減少するが)
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価格:792円 |
●昭和30年代症候群(シンドローム)の巻
ストーリー
世間は昭和62年(1987年)ながら、昭和30年代の電化製品がアンティークとして静かなブームに。
ある大学生は、昭和30年代のような長屋に住み、お釜でご飯を炊き、洗濯板で洗濯をし、テレビも年代物の古い物を見る生活をしていた。
昭和30年代ブームは一部の若者だけにとどまらず、世間では古いタイプの車が新発売、ファッションも古着がブームになり、東京オリンピック・大阪万博の開催が計画されるようになる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一
昭和30年代がブームになる話。
2025年の現在からすると、1980年代後半~1990年代初頭くらい(バブル期?)の家電やファッションがブームになる感覚か。
昭和30年代は両さんからすると子供時代なので、なじみ深い時代だった。
この回では、1964年(昭和39年)東京オリンピックを再現した新東京オリンピック、1970年(昭和45年)大阪万博を再現した万博パートIIがそれぞれ計画されるという内容になっているが、まさか2020年代に東京オリンピックと大阪関西万博が行われることになるとは、この時点で誰も予想していなかっただろう。
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三丁目の夕日 夕焼けの詩(71) (ビッグ コミックス) [ 西岸 良平 ] 価格:770円 |
●これぞ模型道の巻
ストーリー
派出所で戦車のプラモを作っていた両さんは、部長から大目玉を喰らう。
一方、部長は帆船マニアの友人に勧められ、本格的な帆船模型を作り出すが、思ったより難しく、製作に行き詰ってしまう。
仕方なく両さんに製作を依頼するが、前日とは立場が逆転。今度は両さんが部長を説教することに。
そうは言いながらも両さんは部長の代わりに帆船模型を完成。「帆船の会」で、その模型が好評だったことから、二隻目も製作することになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、大原良子
部長の代わりに木製の帆船模型を作製する話。
素人の部長は左右のバランスを考えずに、片側だけに外板を張り付けたため、船体が反って反対側の外板の長さが足りなくなっていた。
部長が作っていたのは、コロンブスの大西洋横断時の船「サンタ・マリア号」。二隻目は「グレート・ハリー」。
部長の代わりに模型を作る話は、86巻「建立!五重の塔の巻」でも見られる。こちらは模型作りの間、部長にタカり続ける話になっている。
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ウッディジョー 木製帆船模型 1/50 サンタマリア レーザーカット加工 価格:33000円 |
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 86【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
「麗子の秘密の巻」「ジャーマネ両津の巻」「銘菓ゴキブリくんの巻」と、中川、麗子、両さんの出勤前のルーティンが分かる出勤シリーズが描かれる巻。
ロボ警官の丸出ダメ太郎が、この巻から初登場。
57巻から登場の度怒り炎の介と並んで、ロボ警官コンビとして活躍する。