「こちら葛飾区亀有公園前派出所」56巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1989年2月発売)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 56【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ニセ車販売店(ディーラー)を探せ!の巻
ストーリー
葛飾署の署員の山田がポルシェを購入したと見せにやってくる。
しかし、ポルシェにも関わらず、新車で98万円の価格と怪しさ満載。
右ハンドル仕様、リアではなくフロントエンジンで、エンジンルームにはダイハツの550cc水冷3気筒とニセモノだった。
しかも、通販で買ったというので、雑誌の通販広告に掲載の住所を調べると、それは郵便局留め。その郵便局を訪ねて見ると、隣には例のニコニコモータースがあった。
ニコニコモータースにポルシェのニセモノの件を問い詰めるが、ポルシェではなくポルシュ、ベンツではなくベンシ、BMWではなくBNW、フェラーリ テスタロッサではなくフュラーリ テスタオッサン ドナイシテマンネンと、いずれもオリジナルだと主張する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
インチキなカーディーラーの話。
エンジンはダイハツなどの別な車のものを積んでおり、ボディは外車中古車センターに忍び込んでシリコンゴムで型取りしたものを使っていた。
マークIIについては、ローマ数字の「II」でなく麻雀牌の索子(ソーズ)だと主張する。
ポルシュをつかまされた山田は車道楽で、ホンダN360、トヨタ パブリカ、スバル360、マツダ キャロル、フジキャビン、ダイハツ ミゼット、三菱コルト1000デラックス、日産サニー1000ライトバンと乗り継いでいた。
「(背景が車の多い場所より)書きなれた派出所の方が楽」と言って場所を変えたり、中川に「(この話、ラストは)どういうオチになると思う」と訊ねたりと、メタ発言がある。
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トミカワールド トミカタウン NISSANカーディーラー(トミカ付き) 価格:2213円 |
●史上最強の助っ人の巻
ストーリー
中川と麗子が夏休みで外国にいっている間、派出所の雑用は両さんの仕事になっていた。
一週間はこの状況が続くため、両さんは地獄に行って、助っ人としてエンマ大王を連れてくる。また、地獄で革命を起こされてはかなわないエンマ大王はしぶしぶ両さんに従い、“大工のとめ吉”として派出所の雑用の助っ人にいそしむ。
交通事故に遭いそうになった老女を助けたことから、街に出たエンマ大王。宗教の勧誘を受けたり、地獄めぐりのアトラクションで暴れたりと、大騒ぎを起こす。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、エンマ大王
エンマ大王が派出所の雑用の助っ人に現世に来る話。
エンマ大王の登場と両さんの地獄での革命の話は、54巻「両さん地獄へいくの巻<天国と地獄編 前編>」「わがまま大王の巻 <天国と地獄編 後編>」。
両さんもエンマ大王も、雑用で皿洗いをしているときは、かっぽう着を着用している。派出所で、どうしてそんなに皿洗いが必要なのだろうか?
地上で大工姿のエンマ大王は、ラッキーセブンのコントみたいだと感想を述べる。
エンマ大王が激怒した地獄からきたという触れ込みのヘビメタバンド「御祖魔II(おそまつ)」の元ネタは、「聖飢魔II」。
「グッドモーニング!」とエンマ大王に話しかける黒人男性とテレビクルーは、「ズームイン!!朝!」のウィッキーさんのワンポイント英会話がモデルか。しかし、「グッドモーニング!」って、何時ころの設定なんだろう。
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BLOODIEST (初回生産限定盤A CD+3Blu-ray) [ 聖飢魔II ] 価格:13200円 |
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 54【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●This is お座敷 空の旅の巻
ストーリー
日米親善で葛飾署が米国人を40人招待。日本的なところを案内というので、屋形船の隅田川下りをすることに。
下町に詳しい両さんが手配をすることになるが、時期的にどこも満杯で実現は難しい。
両さんが米国に行ったときはヘリを使った経験から、渋滞を避けた観光のために空での移動を思いつく。
瓦屋根があり、浮世絵がボディにペイントされ、内装も畳敷きという「お座敷飛行機 将軍1号」で米国人を案内する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一
お座敷仕様に改造した飛行機で東京案内する話。
両さんが米国研修に行ったのは、26巻、27巻の話。
機長は鎧兜の姿、スチュワーデスは着物姿と、日本的ではあるが、外国人向けにハッタリをきかせているので、どこかインチキくさい日本文化の紹介になっている。
両さんのやり方もメチャクチャな話だが、そもそも予約もなく両さんに屋形船の件を丸投げする部長や、川下りを希望する米国人たちのワガママがヒドい。
オチのセリフで「新国技館」が出てくるが、現在の両国国技館のこと。両国国技館が完成したのは1984年。それまで国技館は蔵前だった。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 26【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 27【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ひょうたんから10億円の巻
ストーリー
なぜか最近、両さんの元に不動産業者から土地を売って欲しいという電話が何件もかかってくる。両さんは土地を所有していないし、浅草の実家は健在の両親が住んでいるので不審に思う。
しかし、土地については心当たりがあった。昨年、亡くなった独身の大叔父・みの吉が所有の土地があったかもしれないのだ。
実家を捜索したところ、みの吉の土地の権利書を見つける。
10坪ながら麻布(霞町)の一等地のその土地は、巨大ビルの予定地に囲まれていたので、10億円の価格を提示される。
父・銀次には1億円の値段だったとウソをついた両さんは、残り9億円を独り占めする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、丸出ダメ太郎、両津銀次、両津よね、両津みの吉
ひょんなことから10億円の土地を手に入れる話。
当時はバブル景気で地価が高騰していた頃だった。
亡くなったみの吉は、祖父・勘兵衛(父・銀次の父)の弟(夏春都とも、きょうだいの間柄)。
みの吉は道楽者で、何人ものおめかけさんに店を持たせていたので、その土地のひとつだったと思われる。
この土地を両津家が手放さなければ、計画中の巨大ビルが一部凹んだ形になってしまうので、高額な値がついた。
この話で手に入れた9億円の行方は次の話「わがままダイアン号の巻」に続くので、オチで没落はしない。
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●わがままダイアン号の巻
ストーリー
みの吉の遺産の土地から得た9億円で、両さんは血統の良い英国の競走馬ダイアン号をオークションで競り落とす。
ダイアン号の脚力は確かなものだが、英国でワガママに育ったため、住居は高級ホテル、食事などの維持費が1日10万円、レースに出るかは機嫌次第と両さんは手を焼く。
ダイアン号のワガママぶりに頭に来た両さんは、投げ飛ばしてケガをさせてしまう。
レースに出れなくなったダイアン号の代わりとして、中川にロボットのダイアン号を作ってもらう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、丸出ダメ太郎、ダイアン
前話「ひょうたんから10億円の巻」の9億円で購入した競走馬の話。
前話の写真で登場したダイアン号とは顔が異なっており、ギャグ調の顔になっている。
ギャグ調になったため、走るときは二足歩行で走る。
馬なのに高級肉を食べ、英語しか通じない。
お金の力で強引に競り落とした行為は、バブル期の日本人らしくて、海外の非難を浴びた。米グラフ誌「LIFE」の表紙を飾っているが、両さんの姿がスーツ姿に出っ歯、釣り目と、欧米人のイメージする日本人っぽくなっている。
ダイアン号について、大相撲の小錦、ヤクルトのプロ野球選手ホーナーの比ではないインパクトがあると両さんは語っていた。
両さんは、CMや映画、レコードなどでもダイアン号を使って儲けようとする。CMは分かるが、レコードは一体何を吹き込むのか?
出場したレース名は赤塚賞となっている。本来、赤塚賞はギャグマンガの賞。
購入した馬を競走馬にしようとする話は、26巻「クレイジーホースの巻」にもある。こちらは19,000円で購入した駄馬。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 26【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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●ボルボとハチ蜜の巻
ストーリー
元・傭兵のボルボ西郷はアリの歩く音で目が覚めて機関銃を構えるほど、日常から神経を研ぎ澄ませていた。
そんなボルボだが、子供の頃に大量のハチに襲われて頭にハゲができてから、ハチが怖くて仕方ない。
ある時、派出所の軒先にハチの巣ができて、ボルボはパニックになってしまう。
部長から、とある場所の警備を頼まれた両さんたち。ハチの巣がある派出所勤務だと落ち着かないボルボは警備を志願するが、そこは養蜂場で野犬から巣箱を警備する仕事だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷
ボルボがハチと格闘する話。
ボルボのパニックっぷりが見どころ。
養蜂場の風景が、葛飾署管内とは思えないほど田舎なのだが、どこなのだろうか?
ボルボの部屋は、数々のブービートラップや銃器に囲まれており物騒な雰囲気。しかし、本棚のラインナップは「ピノキオ」「ももたろう」「少年画報」「冒険王」「サザエさん」と、子供のような雰囲気。
この頃のボルボは、「ボルボ」ではなく「西郷」と姓で呼ばれている。
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●やっぱりふたりはくさい仲!!の巻
ストーリー
メタル模型の作製のため、米国から超強力接着剤「スーパーセメントX」を通販で入手する。
「スーパーセメントX」は、どんな接着しにくい素材同士でも0.4秒でピタリと接着する強力さ。強力すぎて日本での販売が禁止されるほど。
強力なので、剥離させる中和剤がないと扱いづらい代物。
この「スーパーセメントX」がトラブルにより、部長と両さんの手をつなげてしまう。
中和剤がなくなってしまったので、剥がす手段がない。仕方なく、つながったまま、班長会議に出席のため葛飾署に向かう二人。
二人でトイレに入ったり、自転車に二人乗りしたりと、トラブルに見舞われる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
超強力接着剤で両さんと部長がくっつく話。
両者向かい合った状態で、両手をつないだ形で接着されてしまう。
秋本先生の別作品「東京深川三代目」の立花工務店とそのメンバーがエキストラ的に登場する。
今回は両さんと部長だが、45巻「固い絆!?の巻」では、両さんと麗子が手錠でつながることになる。
派出所の掲示板には「コサキンGSシリーズ」などのラジオ用のネタが書かれている。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 45【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ローザンヌの休日の巻<前編>
ストーリー
日本は猛暑だが、派出所一行はスイスのローザンヌに夏スキーに向かう。スキーのワールドカップがあり、中川と麗子が出場予定。そのついでに中川の別荘でバカンスを楽しむ計画だった。
レマン湖の見えるお城のような別荘で、一行はくつろぐ。しかし、その実、ワールドカップをお祭り好きの両さんに邪魔されないため、両さんを置いてけぼりにする計画が立てられる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
スイスにバカンスに行く話の前編。
前編は別荘にたどり着いたところまでで、スキーをするのは後編になる。
飛行場に向かう途中、両さんと中川は渋滞に巻き込まれ、離陸時間に遅れるが、ヘリで車ごと移送され、空中で目的の飛行機に乗り移るハメになる。
スイスにまで連れてきてるのに、両さんを置いてけぼりにするのは、ワールドカップを邪魔されないため。日本に置いていくと、地の果てまで追いかけてくると予想されるとの理由から、スイスまでは連れてきた。
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●ローザンヌの休日の巻<後編>
ストーリー
レマン湖に豪華な船を浮かべ、優雅な休日を過ごす両さん。
しかし、部長たちに置いてけぼりにされたと知った両さんは、一転して大激怒。
乗っていた船を巨大ヘリで運ばせると、ワールドカップの会場で滑らせる。大きな船の突然の出現でスキー場はパニックになり、大騒ぎとなる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
スイスにバカンスに行く話の後編。
後半のスキー・ワールドカップの会場を大きな船で突っ込んでいく描写の迫力は見事。
ワールドカップで優勝した中川と麗子は、トニー・ザイダーという名スキーヤーのパーティーに誘われる。名前の元ネタはおそらくトニー・ザイラー。
中川の活躍する大会のスコアボードには、D.KOGURE(デーモン小暮?)、S.G.KOSAKIN(コサキン?)、T.KITANO(北野武?)の名前がある。ラジオパーソナリティが共通項か。
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価格:1650円 |
●のぞき魔生け捕り作戦の巻
ストーリー
銭湯「つるかめ湯」は塀が低くて、下世話な雑誌に都内で一番のぞきやすい風呂屋と紹介されてしまう。そのため、一日40人ものぞき魔が現れるようになる。
つるかめ湯からパトロール強化を頼まれた両さんだが、のぞき魔を一網打尽にする案を考える。
「若い女性がタダの日」というポスターを貼り、おとりとして若い婦警を入浴させる。集まったのぞき魔を一網打尽にするというアイデアだ。
当日、常習犯の出歯崎(でばさき)を中心に、都内ののぞき魔たちが集結する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子
銭湯ののぞき魔と対決する話。
冒頭、前話でのスイスでの修行の話題が出されている。
のぞきの話が出てくると、部長に言われる前に「つるかめ湯」のことだと的中させる両さん。あまりに詳しいので、部長から、のぞきの仲間だと疑いをかけられる。
両さんいわく、のぞきは中学で卒業したとのこと。とはいえ、その証言の信ぴょう性は怪しい。
銭湯のフルーツ牛乳が1本60円と描かれている。また、敬老の日は現在の第3月曜ではなく9月15日だった。
今回の功績で、両さんは銭湯の番台に一日座れるという権利を得た。
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価格:627円 |
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価格:627円 |
オススメは、インチキなニセ車を売る「ニセ車販売店(ディーラー)を探せ!の巻」、両さんと部長が接着する「やっぱりふたりはくさい仲!!の巻」。
「ひょうたんから10億円の巻」で遺産を残した両津みの吉は、以降も含めて本編に登場することはなかった。