「こちら葛飾区亀有公園前派出所」64巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1990年6月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 64【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●特別編!!下町散歩シリーズ①(日暮里)
下町交番日記の巻
ストーリー
上野の下谷第五派出所に、風邪で複数名の入院による欠員が出たため、両さんが補欠要員で出向することになる。
日暮里駅で盤五十六(ばん いそろく)班長と待ち合わせをしていると、駅前で牛車の牛が大暴走。両さんは持前の怪力で牛を大人しくさせる。
下谷の辺りは両さんの実家から近く、昔からの知り合いも多い。
下谷第五派出所は、捨て犬や捨て猫、ニワトリやウサギなどの動物が多く、近所の住民とも親戚のような付き合いをしていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、盤五十六
この回から4回に渡って、両さんはいつもの公園前派出所を離れて勤務する。
今回は、その初回。上野の下谷第五派出所で勤務を始める。
昭和から平成に元号が変わった頃の話(1989年)で、冒頭、中川が両さんに書類の元号記載が違っていることを指摘するシーンがある。
日暮里駅の近くを新幹線が通っているのを見て、「そういえば上野駅から新幹線が~」と両さんが語っている。東北新幹線が上野駅に開業したのは1985年。
ビコム ワイド展望::日暮里・舎人ライナー/都電荒川線 [ (鉄道) ] 価格:3752円 |
●特別編!!下町散歩シリーズ②(上野・根津)
50年目のロマンスの巻
ストーリー
上野がパトロールエリアになった両さんは、アメ横でエアガンや酒のつまみを購入して上機嫌。一方、上野の森に関しての地理案内の要望も多く、パトロール中に何度も人に道を訊かれるのだった。
そんな折、ある老人に道を訊ねられる。彼は昭和15年(1940年)頃に美術学校の学生だったときに2、3回訪れたことのある食堂を探していた。
その食堂の娘にかつて一目ぼれをしており、パリから49年ぶりに帰国して彼女を探していたのだった。
両さんはその老人の描いた絵を元に上野界隈を探し回る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、盤五十六、滝城太郎
前回から引き続き、上野の下谷第五派出所に出向しての2回目。
画家の老人の思い出の食堂を一緒に探す話。
老人の正体は滝城太郎という著名な画家だったが、両さんはその正体を知らずに懸命に協力している。
滝画伯の絵は一億円の値がつくほど。しかし、この回の両さんは珍しく欲に目が眩むことはない。
国立科学博物館入口付近にあるクジラの実物大模型が出てくる。現在のシロナガスクジラ(1994年~)ではなくザトウクジラ(1973~1994年)の模型。
価格:660円 |
●特別編!!下町散歩シリーズ③(湯島・本郷)
スパルタ両さんVS.したたか犬(けん)!の巻
ストーリー
下谷第五派出所の勤務自体はのどかなものだが、保護している動物たちに食べ物を奪われたりしていた。
湯島天神下の派出所へのお遣いを班長から頼まれた両さんは、犬の散歩を兼ねて向かうと、行った先で他の派出所への別のお遣いを頼まれてしまう。
いくつもの派出所を回るハメになり、散歩していた犬たちもグロッキー状態。スパルタな両さんは、犬たちを甘やかせすぎだと、派出所の外に動物たちの小屋を作る。
主な登場人物
両津勘吉、盤五十六
犬たちと方々の派出所を巡る話。
下谷第五派出所→湯島天神下派出所→本郷東大前派出所→本郷弥生交差点派出所→団子坂下南派出所とお遣いすることになる。お遣いの目的は、重箱やナベを返すという子供のお遣いのような内容。
どこの派出所を訪れても、葛飾署の両津の名前は轟いており、本庁を爆破、パトカーを20台破壊、などと武勇伝(?)を知られていた。
お宿如月庵へようこそ 湯島天神坂 (ポプラ文庫 日本文学 339) [ 中島 久枝 ] 価格:748円 |
●特別編!!下町散歩シリーズ④(帰郷編)
そして亀有へ??の巻
ストーリー
下谷第五派出所に来て三週間。すっかり、両さんは地元になじんでいた。
しかし、入院していた署員たちが復帰。両さんの補欠は不要となる。
地元は近いし、勤務は楽だし、班長は優しいし、と下谷第五派出所を気に入った両さんは、ずっといると宣言。
だが、部長たちが公園前派出所に連れ戻しに来る。両さんは下町人情にあふれる下谷第五派出所の方が良いときっぱり断るが……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、盤五十六、ミケ
下谷第五派出所の出向から戻る話。
実家の近い両さんは上野の近辺の地理に明るく、元々の下谷第五派出所の署員よりも道に詳しく、先輩面をしていた。
部長が両さんを戻そうとする理由は、住民のラジコン、ナベ、カマの修理をさせるためや、署対抗の柔道大会や剣道大会で活躍させるため。
義理人情に篤く、地元住民から差し入れが多い下谷第五派出所と比べ、「公園前派出所は悪の権化」と罵倒し、公園前では友人どころか借金取りしか増えないと力説していた。(借金取りが増えたのは「お前が原因」と部長にツッコまれる)
冒頭、両さんは谷中の「愛玉子(オーギョーチィ)」で買い物をしている。
90歳現役社長の下町人情経営哲学 いい口ぐせがいい人生をつくる [ 伊藤一郎 ] 価格:1320円 |
●ネコネコ福招き!?の巻
ストーリー
下谷第五派出所の出向から戻ってきた両さんは、ナベやラジコンの修理、住民の引っ越しの手伝いなど便利屋として、こき使われる。
昼間の日勤後、夜勤まで任され辟易。下谷第五派出所から餞別にもらい受けたネコのミケと一緒に夜勤をする。
夜勤中、唯一の食料のカップラーメンをミケに奪われた両さんは、激怒してミケを追いかける。
なかなか戻らないミケを心配していると、ミケは本格的なラジコン飛行機を見つけてきた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ミケ
ネコのミケと夜勤をする話。
出向先ではちゃんと勤務していたはずだが、「ずっと休んでいた」と言われ、日勤&夜勤というヒドい扱いを受ける。
「50年目のロマンスの巻」でもらった滝城太郎画伯の絵については、両さんの寮の部屋では適切な保管ができないとの理由で、中川に預けることに。その後は不明だが、中川への貸しは一億円では済まないので、どこかで中川に正式に引き渡されたのかもしれない。
カップラーメンを奪ったミケに「ネコ舌のくせに」と激怒する両さん。その割には、姿を消したミケを心配する優しい一面も見せる。
まねきねこ不動産(1) 仙台不動産事情 (ねこぱんちコミックス) [ 空乃さかな ] 価格:660円 |
●高給優遇!空飛ぶタコ配便の巻
ストーリー
時給一万円という破格のバイトに飛びつく両さん。内容はメキシコ料理のタコスを東京23区内に3分以内に届ける宅配員。
3分以内の文言に疑念を抱くが、高給に釣られ池袋の高層ビルに向かうと、高層ビルの上階から腕の下に付けた羽根を広げ、グライダーのように滑空して届けるという仕事だった。
身体的にはキツい危険な仕事ながら、高給のため両さんの性には合っていた。ところが、悪天候の中、乱気流地帯の新宿のビル群への配達の依頼が入る。
主な登場人物
空からタコスを配達する話。
配達する料理がタコスである理由は不明だが、おそらくタイトルの「タコ配便(宅配便)」の語呂のためかと推測する。
タコス店「モナムーチョ」があるのは、池袋サニーシャインビル60階。元ネタは池袋のサンシャイン60。
宅配員が一人辞めると、その分が残りの宅配員に還元されるシステム。10人いた宅配員のうち、両さんは最後まで残り、時給10万円まで昇給した。
ダニー・トレホのタコスを喰え! 「最凶」の漢による「最高」のメキシカン・レシピ75品 [ ダニー・トレホ ] 価格:3520円 |
●歯無しにならない話の巻
ストーリー
子供の頃から両さんは歯が丈夫で、コーラやビールの瓶のフタを歯で開けることができる。
歯の丈夫さを見せるため、壁に刺さったクギを抜こうとするが、その拍子に前歯が抜けてしまう。
抜けた歯を差して応急処置しようとすると、別の歯も抜ける。今更ながら残った歯をケアしようと歯みがきをすると、10本も抜け、歯抜け状態になることに。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ミケ
両さんの歯が抜ける話。
元々の両さんの歯は丈夫で、麗子の指輪のダイヤを噛み砕けるほど。
その代わり、ケアは杜撰で、月に一度くらいしか歯は磨かない。急遽、歯みがきしようとするも、習慣がないため、派出所に両さんの歯ブラシはない。そのため、便所ブラシで磨き、10本一気に抜けることになる。
歯の抜けた両さんは赤塚不二夫作品に出てくる「レレレのおじさん」にそっくりになってしまう。
ネコのミケは、この回までの登場。以降はフェードアウトした。
天才バカボン レレレのおじさん ヘッドカバー フェアウェイウッド/ユーティリティ対応 ゴルフ クラブカバー 【IR】 価格:4220円 |
人生が変わる歯の磨きかた あなたの歯磨き習慣問題ありかも… (KAWADE夢文庫) [ 松下 健二 ] 価格:792円 |
●怪物(モンスター)マシン・ジーク!!の巻
ストーリー
イタリアにあるジークという会社がスーパーカーを開発。その車を輸入する中川の会社の新車発表セレモニーが企画される。
両さんは日本到着後一番にジークを見たいと、成田空港に向かう。
青山のセレモニー会場に向けて、高速道路を移動するジークに同乗していると、本田が暴走するF40を白バイで追跡していた。両さんたちは、ジークでF40を追いかける。
主な登場人物
モンスタースポーツカーの話。
作中登場するジークは、会社自体が架空のもの。登場したジークはフェラーリの鋭い速さ、ポルシェのタフなエンジン、ボルボのような頑丈なボディーを持つモンスターマシン。ただし、少量生産すぎるのがネック。
クライマックスは、セレモニー会場に見開き2ページでジークが登場するシーン。このシーンで両さんは徹甲弾(アーマーピエシング弾)を使用している。なぜ一介の巡査がそんな徹甲弾を持ち歩いているのかは不明。
日本車で出ているスーパーカーの例として、ホンダのNS-X、マツダのMX-5の名前が挙げられている。
戦車の戦う技術 マッハ5の徹甲弾が飛び交う戦場で生き残る【電子書籍】[ 木元 寛明 ] 価格:1210円 |
北米カスタムカバー ソフトトップルーフプロテクター ハーフカバー マツダ ミアータ MX5 Mk3 (NCモデルのみ) 価格:29900円 |
●アスレチックGUNマンレース!!の巻
ストーリー
2か月間のアメリカ研修旅行と特別ボーナス(50万円)がかかった射撃大会に出場する両さんと中川、ボルボ。
アメリカから来た指導教官ブロー・バックの考案した競技アスレチックシューティングは、単に射撃の腕を競うだけでなく、山中の様々な障害を乗り越えながら、突如現れる的を撃たなければならない。
一発でも的を外すと失格という厳しいルールながら、両さんは最後まで残っていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、寺井洋一、ボルボ西郷、ブロー・バック
アスレチック的な射撃大会の話。
両さんのニューナンブM60は累積80万発くらい撃っているらしい。20年勤務しているとしても、年間4万発、一日平均100発以上は発砲していないと成しえない数。
教官のブロー・バックの名前の元ネタはオートマチック拳銃の作動方式から。
この回では、ボルボは早々に的を外して脱落。中川の方が射撃の腕が上に描かれている。
ガスブローバックショットガン(18才以上)サイガー12 SBS (トイガン ガスガン) 価格:53319円 |
価格:1047円 |
●麗子のパパは困ったちゃん!の巻
ストーリー
軍用ヘリ・パンサーで神戸から派出所にやってきたのは、麗子の父の飛飛丸。麗子の元に大量に届くお見合い話を持ってきたのだった。
結婚する気のない麗子は、断り続けてもきりがないと考え、両さんをボーイフレンドに仕立てる。
意外にも飛飛丸は、学歴も家柄もない両さんのことをあっさり認める。
主な登場人物
麗子の父・飛飛丸の見合い話を断る話。
飛飛丸は、派出所の麗子の机や台所を勝手にリフォームしてしまう。その際「西ドイツのライヒのシステムキッチン」と発言しており、東西ドイツ統一(1990年)前だと分かる。
麗子には佃煮にするほど金持ちのボーイフレンドがいるが、その相手を恋人として父に紹介すると会社に迷惑をかけるため、両さんに白羽の矢が立った。
飛飛丸が両さんに課した帝王学のカリキュラム約20年をこなすと、終了するのが西暦2000年、両さんは60歳近くになっていると、飛飛丸は発言している。1989年時点、両さんの年齢設定が30代後半として約20年後の60歳近くになるのは、2000年ではなく2010年ではないだろうか?
根暗SE男子がお見合い100回して結婚した話 男子目線の実録婚活エッセイ! (クロフネ×LINEマンガシリーズ) [ 天城れの ] 価格:1089円 |
この巻は、「特別編!!下町散歩シリーズ」として4話にわたって、両さんがいつもの派出所を離れることになる。
同じように4話かけて、両さんが銀座などの他の派出所勤務になるシリーズが39巻にもある。
下谷第五派出所から譲り受けたネコのミケは、この巻だけの登場。
以降の巻では、懐かしキャラとしても登場することはなかった。