「こちら葛飾区亀有公園前派出所」65巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1990年8月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 65【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●超記憶術増進法!の巻
ストーリー
派出所メンバーで、トランプの神経衰弱をするが、記憶力バツグンの中川と麗子にまったく歯が立たない。
悔しがる両さんは、記憶力を鍛えようと、「記憶力教室」との怪しげな看板の教室に向かう。
記憶力教室の山田多吾作はインチキくさい人物で、電気椅子でショックを与えたり、変なグッズを売りつけようとしたりと信用できない。
頭にきた両さんは記憶力教室を出て、同じビルの階下にある「透視能力教室」の門をたたくが、そこも山田多吾作の教室だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
記憶力増進の怪しい教室に行く話。
電気椅子での「エレキテル記憶法」で、電気ショックを喰らう両さんの顔芸が見どころ。
山田は怪しげな人物で、昔(昭和42年・1967年)に掲載された雑誌記事を教室に貼っていた(連載当時1989年)。
山田は「山田多吾作」表記のときもあるが、雑誌記事では「山田多吾作郎」となっている。
この回で登場するトランプのジョーカー(ババ)は、ジャイアント馬場の絵になっている。
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●バイキング・ハード!!の巻
ストーリー
スカイビル50という高層ビルにあるスカイバイキングに来た両さんたち。
バイキングには一万円かかるが、世界の高級料理10万円分食べて元を取ろうと両さんは5日間、水だけで生活し、気合を入れていた。
しかし、本田と一緒にトイレに行っている間に、階下のフロアで火災が発生。他の客は避難するも、両さんと本田の二人はビルに取り残されてしまう。
エレベーターも止まり、絶体絶命の状況ながら、両さんは10万円分をきっちり食べると、残った料理を食べ続ける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
火災のビルの中でバイキングを食べ続ける話。
高級食材と生命を天秤にかけて、食材を取る両さんの強欲さが面白い。
一万円で参加できるが、消費税3%、さらに特別地方消費税3%の計6%が加算されるので、10,600円支払うことになっていた。
タイトルの元ネタは、高層ビルが舞台の1988年公開の映画「ダイ・ハード」か。
火災の原因についてだが、35階の火力発電所から出火、次いでその2階下のガソリンスタンドが爆発したというもの。両さんは「なんでビルにそんな物があるんですか‼」とキレていた。
高層階のガソリンスタンドなんて、誰が給油に来るんだろうか?
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ストーリー
特撮ドラマに登場するアイテムのオモチャ「サンダーアーム」は、腕に装着して振り回すと、動きに合わせた効果音が出る製品。
両さんの知人のおもちゃ会社の社長は、同じような特撮ドラマ「感電警察ハイパーコップ」のオモチャ「ハイパーアーム」を開発する。
さらにアームだけではなく、足やベルトのパーツもあり、すべて合体させると「ハイパワースーツ」となる。このスーツにはボイスセンサーとモーターが内蔵されており、必殺ポーズの名前を叫ぶと、スーツが自動で「きめ」ポーズを決めてくれる。
両さんは、このスーツを改造し、ゴルフやテニスの動きを超強力にできるようにするが……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、四ツ木
ヒーローになれるスーツの話。
途中からはスーツが外れなくなって、両さんはボイスセンサーに反応するスーツに振り回されることになる。
作中の冒頭に出てくる「サンダーアーム」は、「電脳警察サイバーコップ」に登場するもので、実際にオモチャとして販売されたもの。
一方、「感電警察ハイパーコップ」は日曜日の朝4時から4時5分に東京13チャンネルで放送という、とても視聴率が見込め無さそうな放送スケジュール。
そのポスターから、「ハイパワースーツ」を開発したおもちゃ会社の名前が「四ツ木おもちゃ会社」だと分かる。
この社長は37巻「転職!?の巻」にも出ていた人物。
価格:2200円 |
●人生色いろ!の巻
ストーリー
両さんがニコニコ寮で寝ていると、寮のおばさんからゴミ捨てを頼まれる。この返答で両さんの未来は2パターンに変わってしまう。
(ゴミ捨てに行くパターン)
ゴミ捨て場に行った両さんは、そこで現金一兆円を拾う。さらにそれを警察に届けに行く途中で寄ったデパートで、100万人目の来客として祝われ、テレビの街角クイズに正解して商品をゲットする。
(ゴミ捨てを断るパターン)
出勤途中、何度も転倒し、工事現場近くで事故に遭い、道に迷った老婆に捕まり、サイフを落とし、肥溜めに落ちる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、吉原トメ(白浜カトリーヌ)(寮母)
返事により2パターンの展開が繰り広げられる話。
上半分と下半分とで、それぞれのストーリーが展開される。
タイトルの元と思われる島倉千代子のヒット曲「人生いろいろ」は1987年の発売。
最初の両さんが起きるシーンはストーリー分岐する前なので、同じシーンなのだが、アングルを変えて変化をつけている。
テレビの街角クイズの賞品は、電化製品2万年分という、とてつもないスケール。2万年後の電化製品って、どんなのだろうか?
ジャンプ掲載時の広告爛に、コミックスでは「新元禄太平記」「平和への弾痕」「こちら人情民生課」「ミスタークリス」「こち亀上製本」と「こち亀」以外のコミックスが紹介されている。
価格:942円 |
●大江戸神輿大騒動!!の巻
ストーリー
両さんと幼馴染の豚平、珍吉の三人組は、地元の浅草の三社祭に参加すると、いつも祭をメチャクチャにしてしまうため、締め出しを喰らってしまう。
締め出しの決定は地元民の間ですぐに共有されるが、それでも三人組は人手を集め、宮神輿の強奪を計画する。
三社祭の最終日、両さんたちはパトカーを振り切り、宮神輿を担いで逃走。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸田豚平、千田珍吉
三社祭の宮神輿を強奪する話。
豚平と珍吉が出てくるエピソードは、たいてい子供時代の話だが、今回は現代の大人バージョンでのエピソード。
宮神輿は1トンあるので、三人組と7人の助っ人でも一人当たり100kgになるが、それでも担いで逃走する。
神輿を担いで、民家の中を通過する、タクシーに神輿を乗せるなど、強引な逃走劇を繰り広げるが、それを追うパトカーも民家に乗り込んできて、結構なムチャをしてくる。
神輿と闘争の民俗学 浅草・三社祭のエスノグラフィー / 三隅貴史 【本】 価格:4950円 |
●天才読書家!?両さん!の巻
ストーリー
MHKテレビ「私の読書エッセイ大賞」に賞金10万円狙いで応募した両さん。
小学生に書かせた文章をまとめたエッセイの上、東京大学文学部卒というウソばかりの経歴の応募だったが、これが入選。
インタビューに来たMHKテレビのスタッフは、両さんが本当に文学に詳しいと思い違いをし、「文学の窓」という番組で、ロシア文学の石頭鉄太郎教授との対談相手になることに。
勢いで出演が決まったものの、小説など読んだことのない両さん。本番までの一週間で猛勉強をする。
主な登場人物
ロシア文学の勉強をする話。
両さんが応募したエッセイは太宰治に関するもので、国語の得意な小学生たちにミニ四駆を報酬に書かせていた。
インタビューで、幼稚園の頃からドストエフスキーやトルストイを読んでいたとウソを吐いたことから、ロシア文学に明るいと思われた。
「漫画で分かる『戦争と平和』って出版されてないか?」という両さんに「ないと思いますよ」と答える中川。
現在だと出版されている。
価格:792円 |
●OH!モンキービジネス!!の巻
ストーリー
国賓としてホンダラ国王が来日。両さんは、国王の友(ペット)であるサルのプリンスくんの東京見物の警備を任じられる。
ワガママ放題のプリンスくんに手を焼く警備陣一同。さらに、プリンスくんは東京観光中に脱走してしまう。
サルのぬいぐるみで誤魔化している間、両さんは一人でプリンスくんを追うが、身軽なプリンスくんはビルの屋上、銭湯、東京ドーム、南武動物園と逃げ回る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
国賓扱いのサルを追い回す話。
モンキービジネスはインチキや不正の意でもある。
1987年に、マイケル・ジャクソンのペットのチンパンジー、バブルスくんが来日しているので、それがモデルか。
プリンスくんが逃げ込んだ銭湯の名前は「早見湯」。元ネタはアイドルの早見優。作中で入浴料は295円となっている。
東京ドームの屋根の上も走り回る。東京ドームは1988年に開場したので、できた翌年の話だった。
価格:1980円 |
モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険 [ 山崎エマ ] 価格:3344円 |
●つるピカ両ちゃん!!の巻
ストーリー
行きつけの理髪店が休みのため、理髪店・甲斐を訪れた両さん。
しかし、隣の席のお坊さんと間違われて、髪の毛を全面的に永久脱毛されてしまう。
間違いに気づいた理容師は、両さんに気づかれる前に逃亡。それでも両さんは車で逃げる理容師を追跡し、その結果、神社の絵馬に入れる「不合格」の焼き印を頭皮に入れられる結果に。
間が悪いことに、そのハゲ頭に「不合格」焼き印の状態で、署長が派出所に取材の新聞記者を連れてきてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
両さんの頭髪が永久脱毛される話。
当時は、のむらしんぼ先生の「つるピカハゲ丸」のアニメが放送されていた頃。
永久脱毛は、薬品を脱毛箇所にかけることで実行された。
過去には55巻「髪は友だち!!!の巻」でも脱毛薬をかけられたことがある。
両さんは、この理髪店の常連ではなかったが、同業者の中で不手際があったときにすごい怒り方をした要注意人物として、業界内で連絡書が回っていたので、その存在は知られていた。
理容師が乗っていた車は、スズキ・フロンテ。
絵馬の業者が、絵馬に「合格」の焼き印を押す作業をしていたところに、両さんと理容師のフロンテが飛び込んできて、「不合格」の焼き印が押されることになる。使い道もなさそうだが、どうして「不合格」の焼き印が用意されていたのかは不明。
価格:495円 |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 55【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●FAXします!私のすべての巻
ストーリー
10日間の長雨で派出所の天井に雨漏りが。両さんは屋根に上って修理するも、雨でずぶ濡れになってしまう。
服が乾くまでの間、裸でコピー機に腰かけた両さんは、自身の裸体がコピー機で写せることに気づき、等身大の全裸コピーを取って遊ぶ。
さらに、両さんの裸と部長の顔写真の合成を作っていると、部長から署内報に掲載するために書いたエッセイの原稿を署にFAXで送って欲しいと電話が来る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、屯田五目須(署長)
FAXとコピーの話。
「私のすべて」というのは、部長の書いたエッセイのタイトル。それがオチにつながっている。
ラストは部長の激怒オチで、部長がサブマシンガンで武装して派出所に突撃してくるが、よく見るとコマの端に両さんが隠れている。
両さんがコピー機に腰かけたときのコピーには、両さんの尻の穴と玉がしっかり写っているが、そのまま掲載。モザイクなどはかかっていない。
FAXは機種によって、原稿の差し込みの向きが上向き・下向きと異なるが、派出所のFAXは原稿下向きパターンのため、送った原稿の中身に寺井は気付いていなかった。
ネットも普及していない時代なので、顔写真と別人のヌード写真などを合成する、いわゆるアイドルコラージュは、まだあまり一般的ではなかった頃。
日本電産永守重信社長からのファクス42枚【電子書籍】[ 川勝宣昭 ] 価格:1760円 |
●佃のじいちゃん大追跡!の巻
ストーリー
佃島の祖父・勘兵衛を訪ねに来た両さん。勘兵衛はラジコン飛行機で遊ぶなど、相変わらず気ままな暮らしをしていた。
ところが、そんな勘兵衛の住む長屋に空き巣が侵入。長屋に戻ってきた両さんと勘兵衛を殴打して昏倒させると、二人を縛り、勘兵衛の手提げ金庫を奪って逃げるのだった。
意識を取り戻した二人。昼食の準備をしている途中だったので、火事になりかけるが、縛られたままで何とか対処。
サイドカー付きのバイクで、二人は空き巣を追跡する。
主な登場人物
両津勘吉、両津勘兵衛
35巻「ヘーイ!モボ!!の巻」に登場した勘兵衛と空き巣を追跡する話。
前半は、背中合わせで縛られた状態の二人のドタバタ劇、後半はバイクアクションで空き巣を追いかける構成。
勘兵衛は自身のバイクに「ヒンデンブルグ号」と名付けている。
勘兵衛は、このとき104歳の設定。初登場からは年を重ねている。この後、連載は約27年続くが、勘兵衛の年齢がそのまま加算されることはない。
ラストでは「明治の頃 ばあさんとふたりで よくファミコンをしてた」とあからさまなウソを勘兵衛が吐いている。
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 35【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
オススメは、ロシア文学を勉強する「天才読書家!?両さん!の巻」とコピー機で遊ぶ「FAXします!私のすべての巻」、2パターンの話が同時進行の「人生色いろ!の巻」。
「FAXします!私のすべての巻」では、両さんのキワどい局部について、下から見た「玉」は描写されているが、正面から見たイチモツは黒塗りになって描かれていない。
「玉」は当時でもギリギリな表現ではなかっただろうか?