「こちら葛飾区亀有公園前派出所」72巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1991年11月発売）
 |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 72【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●親父は強かった！の巻
ストーリー
浅草に来たついでに実家の佃煮屋を訪れると、そこには人だかりと中には見知らぬ人たちが。浅草の佃煮屋が舞台のドラマの撮影が行われていたのだった。
撮影の間、両さんの父・銀次と母・よねは、ホテルのスペシャルスイートに泊まっていた。高級ホテルの暮らしに慣れず、庶民的暮らしが抜けない二人。
ドラマの脚本家で銀次の幼馴染でもある山本総一は、大手スポンサーの付いているドラマなので、ルームサービスは自由に使って良いと発言。それを聞いた両さんは、ルームサービスで豪遊する。
主な登場人物
両さんの実家がドラマ撮影に使われる話。
タイトルの意味は、父・銀次が結局、商魂たくましく儲けを出していたことから。
ドラマには加山勇三（加山雄三）、宮沢えり（宮沢りえ）が出演していた。
ルームサービスでの豪遊は一か月続き、総額一億七千万円かかったが、ドラマは視聴率55%の大ヒットとなり、テレビ局も元を充分とっていた。
オチでは両さんが派出所を舞台にしたドラマを提案する。そのキャスト案は以下のものだった。
・両さん（高倉健）
・麗子（マドンナ）
・中川（アーノルド・シュワルツェネッガー）
・部長（柳家小さん(五代目?））
・本田（ラッシャー木村）
・マリア（マギー・ミネンコ）
・寺井（三船敏郎）
一体、どんなキャラのイメージなのか……？
 |
北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝（2） （ゼノンコミックス） [ 武論尊 ] 価格:704円 |
●林間に燃えた商魂の巻
ストーリー
秋の旅行に軽井沢のコテージにやってきた派出所メンバー。コテージには冷蔵庫がないが、電話一本で本館からルームサービスを24時間届けてくれるため、それでも快適な内装。
6人で予約のはずだったが、コテージは4人用。あぶれた両さんと本田は外でテント泊をするハメに。ルームサービスも受けられないので、両さんたちは缶詰などの食料を買い込んでおく。
そんな中、軽井沢に台風55号が直撃。道路が土砂崩れで閉鎖、コテージ群は本館からも分断され、孤立してしまう。
食料などの物資を持っているのは両さんたちのみ。両さんは、コテージの客たちに高値で物資を売るようになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、麻里愛
孤立した状況で両さんが高値で物資を売りつける話。
コテージに二人が泊まれないと聞いて、即座にテント泊を押し付けた部長には、特に当たりがきつく、特別料金を加算する。
最初に両さんたちが買い込んだ食料ではすぐに底をついたので、両さんは道なき道を通って近くの商店まで行き、リアカーで多量の物資を運んできた。
食料だけでなく週刊誌なども物資の対象にしていた。食料と比べて、週刊誌は我慢できそうなものだが、スマホもない時代、孤立状態だとヒマが潰せないのかもしれない。
冒頭、軽井沢へは6人乗りのF40で向かっている。6人が横一列に並ぶ構造で、横長ボディのため車線をはみ出す異様な光景。
 |
物価のしくみがわかる本 （TJMOOK） [ 横山 光昭 ] 価格:1089円 |
●激走機関車レースの巻
ストーリー
西急鉄道の高田二三彦社長は、社長室にミニ機関車を通して移動に使うほどの鉄道マニア。
賞金10億円の世界初の蒸気機関車のスピードレースを企画する。
高額賞金を聞き、両さんも中川とともに参加。
高田社長自身もレースに参加するが、主催者権限で様々な小細工を他の出場者に仕掛けてくる。
両さんたちは、硬質ゴムのレールを持参し自力でコースを作るなどして、食い下がる。
主な登場人物
蒸気機関車のレースの話。
ストーリーの勢いがスゴい展開。リニアモーター、ロケットエンジンなど、終盤は蒸気機関が関係なくなっている。
機関車のベースは、高田社長のが世界最大のビッグボーイ、両さんたちのが世界で2番目に大きいチャレンジャーがベース。
10億円の賞金のために中川に5億円をかけて作らせた機関車という設定ながら、とても5億円で作れるとは思えない。
ユニオン・パシフィック鉄道4000形蒸気機関車 - Wikipedia
ユニオン・パシフィック鉄道3985号蒸気機関車 - Wikipedia
 |
AFM BIG BOY 蒸気機関車 1608Blocks ◆世界最大 最強級 機関車 ユニオンパシフィック 鉄道 ビッグ ボーイ リアル 再現 組み立て 飾る ブロック お子様 知育 玩具 価格:6820円 |
●空飛ぶ事業家！の巻
ストーリー
前話の機関車レースで賞金10億円を得た両さん。部長は手堅い投資ならば金利だけで莫大な利益を得られると投資を勧めるが、両さんは拒否。公務員を辞めて起業をする。
両さんは10億円でヘリコプターを2台購入。渋滞の都会でヘリ移動できるサービスを始める。
このヘリ事業は大当たり。ヘリの台数を大幅に増やし、一大事業に。さらに次の純和風豪華客船事業も大当たり。
順調な両さんは、東京湾にどこかのランドにそっくりな総合レジャーランド、東京ダズニーアイランドを開業させる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、高田二三彦
両さんが事業家として大成功する話。（後に転落）
元手の賞金10億円には通常、税金がかかるはずだが、そこはレース主催者の方で税金を払っており、手取りで10億円もらえることになっている。
部長が両さんに勧めた投資は、スーパーMMC（Money Market Certificate）とCD（譲渡性預金： negotiable Certificate of Deposit）。元金10億円で、スーパーMMCは年7000万円の利子（金利7%）、CDは年8000万円の利子（金利8%）と説明されている（1991年連載当時の金利）。
 |
価格:1320円 |
●葛飾署の生き字引きの巻
ストーリー
小学生に寸借サギを働いた奥山のじいさんが事情聴取でゴネていると、両さんは葛飾署に呼び出される。
見かけによらず合気道の達人な上、葛飾署の完成当時からずっと署に出入りしているため、署長や次長の若いころを知っていて、やっかいな人物として奥山は知られていた。
そんな奥山老人の面倒を押し付けられた両さん。老人の家にまで送っていくが、ウソを吐いてばかりで、なかなか本当の住居を教えてくれない。
ようやく本当の家にたどり着くと、若く美人の奥さんがいて、両さんは驚く。さらに、その奥さんは女子プロレスラーの如月さやかだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、屯田五目須（署長）、奥山のじいさん
葛飾署を昔から知る詐欺師の老人の話。
署長については、改名前の名前（亀森鶴吉）や巡査時代に婦警と駆け落ちしたのが今の妻だということを奥山のじいさんに暴露されていた。
次長とは一緒に吉原に行ったことがあり、巡査時代によく江戸川でサボっていたことも把握していた。
物語冒頭では、中川に頼まれ、両さんは古いローレックスの修理をしていた。両さんも趣味でやっているようで、特に手間賃を取っている様子はない。
 |
文人世界の光芒と古都奈良 大和の生き字引・水木要太郎 [ 久留島浩 ] 価格:8580円 |
●天才画家あらわる！の巻
ストーリー
葛飾署の秋の芸術展で、みんなは絵画、陶芸、書道などを展示する中、両さんは怪獣の彫刻やマッチ棒で組んだ戦艦武蔵などを展示。署長と部長から苦言を呈され、展示を隠されてしまう。
後日、芸術の理解についても部長からバカにされた両さんは、著名な芸術展に挑戦を表明。絵画を出品すると、手違いで高名な画伯の息子の作品と勘違いされ、金賞を受賞することに。
マスコミからも大きく取り上げられ、両さんは一躍天才画家として世間から扱われる。
両さんは画商と組んで、商売を展開。パリやニューヨークでも個展を開く。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須（署長）
両さんが天才画家と扱われてしまう話。
抽象画といった前衛芸術の世界や関連のマスコミを皮肉った内容になっている。
両さんと組んだ画商の名前、関 羽井良（かん わいら）の元ネタはおそらく画商のカーンワイラー。
赤塚画伯という大画伯の息子と取り違えられて金賞を受賞するという設定。赤塚画伯の息子（赤塚 親弘）の絵は、どう見てもバカボンのパパっぽいので、元ネタは赤塚不二夫。名前は俳優・赤木圭一郎（本名が赤塚 親弘）から。
部長と署長が両さんの戦艦武蔵を戦艦大和と表現したことについて、「副砲塔と三連装機銃の数が違う」別の戦艦だと熱弁する。
似ているようで「ウォークマン」も、「ウォーキー」とか「カセットボーイ」とかいろんな種類がある、と説明する。
 |
フジミ 1/700 艦NEXTシリーズ No.12 日本海軍戦艦 武蔵 (改装前)【艦NX-12】 プラモデル 価格:3580円 |
●晴天ひきうけます！の巻
ストーリー
草野球の助っ人稼業は、スポンサーがついた大会では商品がもらえたり、助っ人料が稼げたりと、両さんにとっては大事な収入源。
しかし、秋の天気は変わりやすく試合が中止になることもしばしば。
雨天対策として、両さんは払い下げのサーカスのテントを安く購入。その中で、野球をすることを始める。
このテントは好評で、両さんの参加しない試合でもテントを貸し出すことになる。
元々、ボロいテントだったため、ほどなくテントは壊れてしまうが、そのテントのことを聞きつけた亀有商店街から、安く商店街を屋根で覆う計画の相談が舞い込む。
主な登場人物
前半はテントで野球をする話、後半はテント状の仕組みで商店街を覆う話。
サーカス用のテントとはいえ、野球場ほどは広くない。そのため、天井や壁に「ホームラン」「ヒット」「二塁打」などと書かれ、野球盤のような仕様になっている。「ヒット」などに紛れて「欽ドン賞」が書かれている。（「欽ドン！」は萩本欽一のテレビ番組）
テントの中にはクーラーがなく、中が猛暑になる場合がある。この猛暑で意識朦朧の状態で野球をするシーンが見どころ。
終盤の「カメアリドーム商店街」計画の崩壊は、両さんに非はない気がする。
 |
スーパーマリオ 野球盤｜3Dピッチング機能 9種類の投球 キャラクター人形12体付属 5歳〜 価格:6999円 |
●水の中の忠治の巻
ストーリー
区営水族館のオープニングセレモニー、派出所メンバーが水中劇をやることに。両さんが脚本・演出を手掛ける「国定忠治」をやることで決まる。
「国定忠治」の芝居だけでなく、麗子の人魚ショー、自動車を入れて子供向けの交通安全の劇も取り入れ、本番もなかなかの盛り上がり。
しかし、終盤のクライマックスの演出で本田が誤ったスイッチを押してしまい、水中劇の水槽に、マグロの大群、電気うなぎ、サメが乱入してくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人、麻里愛、屯田五目須（署長）
水中劇の話。
水中でのドタバタの話なので、国定忠治のことは知らなくても問題ない。
区営水族館のオープンで、どうして派出所が協力しなければならないのかは不明ながら、署長命令で押し切られる。なお、葛飾区に水族館は実在しない。
この水族館は、すべての水槽がひとつにまとまって循環しており、柵でエリアが分かれている構造。そのため、終盤に柵が開かれ、大騒ぎになる展開になる。
前話に続き、今回も両さんに非はない気が……
 |
国定忠治 関八州の大親分 義と仁叢書 / 平井晩村 【全集・双書】 価格:2530円 |
●省エネ大作戦！の巻
ストーリー
エアコンなどの電化製品を多く使う入寮者が増えたため、ニコニコ寮の電気代が倍になることに。
高すぎる電気料金を何とかするべく、両さんは太陽光発電を自作する。
さらに寮の周りに風力発電、下水道に水力発電の装置を設置。入寮者が自転車を漕ぐ人力発電などで、どんどん発電量は増えていく。
あまりに発電量が増えて、値上げ分を補填するどころか、使用量をはるかに超える過充電状態に。
両さんは、こっそり電力会社に「売電」を始める。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎（部長）、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、麻里愛、吉原トメ（白浜カトリーヌ）（寮母）
自家発電の話。
タイトルこそ「省エネ」だが、節電ではなく、自力で発電をする方向になっている。
発電に利用できるエネルギーを求めるあまり、台風や堤防の決壊を喜んだり、「これで火事でもおきてくれれば！ 熱タービンが利用できるんだが！」と倫理観のカケラもないようなセリフを発言するようになる。
太陽光発電の余剰電力買取が開始されるのは、2009年になってからと、だいぶ先の話。
 |
価格:18800円 |
 |
風力発電キット 400W 12/24V チャージコントローラー付 自作 家庭用 事業用 節電 電気代削減 停電 災害対策 価格:79800円 |
●跳ね馬（フェラーリ）、走る！の巻
ストーリー
自家用車を買い替えようとする寺井に同行し、中古車センターに行く両さん。
その中古車センターは、いつものインチキ不動産屋の系列会社だった。事故車を表面上キレイにして誤魔化そうとする不動産屋だが、両さんの目は誤魔化せない。
中古車センターの目玉として、フェラーリF40が当たる抽選会があることを知った両さん。インチキ不動産屋は当たらないよう小細工をしていたが、手違いで寺井にF40が当たってしまう。
寺井は期せずしてF40のオーナーになるが、F40は素人に扱いやすい代物ではなかった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、インチキ不動産屋
寺井がフェラーリを入手する話。
寺井が不動産を検討するとたいてい出てくるインチキ不動産屋が今回は中古車センターで登場。
いつものトニー谷のような店員だけでなく、社長と本社らしき社屋も登場。「印知気不動産」と分かりやすい看板がかかっている。
F40は、本当は中古車を購入した者だけが抽選できるのだが、両さんは寺井に中古車センターのミニカー50台を購入させ、50台分として抽選させた。F40の当選に関して、誓約書に売買と貸与は禁止となっているため、寺井は他の車に乗り換えることができず、商店街へのコロッケの買い物でもF40で行かねばならなかった。
 |
ハピネット 1/14 R/C Ferrari F40 ラジコン 価格:6310円 |
「林間に燃えた商魂の巻」、「空飛ぶ事業家！の巻」、「晴天ひきうけます！の巻」、「省エネ大作戦！の巻」と、色んなタイプの商売が出てくる巻。
特にオススメは、発電への想いがエスカレートする「省エネ大作戦！の巻」。
