「こちら葛飾区亀有公園前派出所」76巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1992年8月発売)
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 76【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ビデオカメラマン!の巻
ストーリー
時給8000円の高給を目当てに、両さんはテレビ番組の制作会社のバイトになる。そのバイトで両さんはADのアシスタント(AAD)に。
スーパーアイドル流星光が日本アルプスに挑む、という大東京テレビ30周年企画のドキュメンタリー番組に参加。しかし、アイドルは実際には登山はせず、要所でだけ撮影し、ヘリで移動していた。
一方、両さんたち撮影隊は、重たい機材を背負って険しい山を登るが、その過酷さにどんどんスタッフが脱落していく。
カメラマンも脱落したので、両さんが代わりのカメラマンとなる。
主な登場人物
カメラマンとなって、登山のドキュメンタリー番組を撮る話。
現在だとカメラも小型化され、ドローンもあるので、ここまで撮影は過酷にならないはず。この話では、1本1.5kgの予備バッテリーを100本担いだり、ヘリで宙づりになりながら河川を下る映像を撮影したりと、相当身体を張っていた。
ラストの展開に関して、少年誌で麻薬関連はよろしくなかったのか、「タイ麻」という微妙な表記(新聞記事)で、セリフの中にはまったく関連の語は出てこない。
「流星光」というのは、この話に登場する男性アイドルの名前だが、59巻「両さんの漫画修業の巻」には同名のマンガ家(流星ひかる)が登場する。もちろん別人。
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 59【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●海パン刑事(けいじ)!の巻
ストーリー
本庁のエリート刑事と両さんが合同捜査でコンビを組むことに。やってきたのは、裸に海パンとネクタイ姿の海パン刑事こと汚野(きたの)刑事だった。
海パン刑事とコンビを組むため、両さんも合わせて海パン姿に。
女子高で人質事件が発生。海パン刑事は非武装の姿を犯人に開示し、犯人に近づく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、海パン刑事
海パン刑事の初登場の回。
特殊刑事としても最初に登場したキャラ。
この回では海パン刑事(デカ)ではなく、海パン刑事(けいじ)とルビが振られている。
海パン姿なのは、動きが機敏になるためと、犯人とも心を割って話し合いができるため、という理由。
海パンの中には、色々な物を収納しており、少なくとも名刺、バナナ、携帯電話は入れている。
人質犯には「海パンキック」を喰らわせるが、このとき無防備であることを示すため、海パンは脱いでいた。
犯人の要求は「カードダス5000枚」。バカげた要求ながら、希少なカードが高額で転売され、カード目的の強盗犯も現れる現代からすると、そこまで変ではないかも。
海パン刑事の元ネタは、「北野ファンクラブ」でビートたけしがやっていたキャラ。そのため、海パン刑事の名前は「きたの」になっている。
![]() |
価格:61600円 |
●古きを訪ね新しきを売る!?の巻
ストーリー
部長が車の買い替えを検討。これまでは初代トヨペット コロナSTに乗っていたが、娘も独立し家族サービスも必要なくなったので、スポーツカーの2000GTを希望していた。
しかし、2000GTは20年以上前の車で台数が少ない。ところが、中川の知人で2000GTの専門店があるという。
行ってみると、2000GTマニアの作ったレストア店だった。ボロボロのGTも買い取ってレストアしたため、中には原型の純度40%のものも。
部長が2000GTを購入した後日、両さんはスズキのバイク・カタナを同様のレストア方式で販売することを考える。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、角田大介、本田速人、本田改造、本田伊歩
部長がレストアの2000GTを買う話。
部長の元々乗っていた初代トヨペット コロナSTについては、34年前の車(1957年発売)、1000ccで33馬力と両さんにバカにされていた。
部長が次に車を乗り換える話は、186巻「ぶれない男の車の巻」なので、21年ほど乗り続ける。
トヨタ2000GTは、1967~1970年に販売された車で、生産台数は全部で300台余りと希少。
作中のレストア店では、両方のドアだけ純正品で他のパーツはレプリカの場合、純度40%と表現されていた。
終盤で出てくるスズキのカタナは、1981~1987年に製造されたバイクだが、後に復刻販売された。
![]() |
タカラトミー トミカプレミアム 27 トヨタ2000GT トミカ 価格:680円 |
![]() |
タミヤ 1/12 オートバイシリーズ スズキ GSX 1100S カタナ 【14010】 (プラモデル) 価格:1730円 |
●パワーボートレースの巻(前編)
ストーリー
マイアミで開催されるパワーボートレースに挑戦するため、両さんは中川と米国へ向かう。
中川のヘリで移動していると、下の海上には同レースにオフィシャルスポンサーとして参加している麗子の客船がいたので、両さんは乱入して船上プールを楽しむ。
両さんは、レース前日のジェットスキーレースやパーティーに参加する。
主な登場人物
パワーボートレースに挑む話の前編。
前編としては前夜のパーティーまでの話になっており、レースはまだ始まらない。
海のF1とも言われるパワーボートレースで、作中では10日間の開催で50万人が集まるビッグイベント。とはいえ、作中のレースはフィクション。
両さんたちは、中川の会社がスポンサーとなり、両さんがデザインを担当したボートでレースに挑む。
![]() |
ラジコン船/モーターボート/スピードボート/RC/高速船模型/おもちゃ/玩具/プレセント/リモコン/水上/ 価格:6601円 |
●パワーボートレースの巻(後編)
ストーリー
海のF1パワーボートレースに挑む両さんと中川。レースも3日目に入り、両さんたちはトップグループには入っているものの、燃費の悪さなどから苦戦していた。
その日のレース、両さんはコースを外れ、狭い運河を通り、ショートカット。トップに躍り出る。
しかし、地震が発生し津波の危険性からレースは中止。だが、せっかくトップに立ったのだからと両さんはレースを続ける。
そこに、総合でトップのポイントを持つ「パワーイタリア」のボートも合流。2艇は意地でレースを続ける。
主な登場人物
パワーボートレースに挑む話の後編。
両さんたちのボートの名前は「戦闘竜」。同名の力士(後に格闘家)が実在しており、連載当時は角界にもいた(1988年初土俵)のだが、関係性は不明(偶然?)。
今回のライバルとなる「パワーイタリア」はイタリアの自動車メーカーがエンジンを担当している。乗員もパワフルで、両さんに引けを取らない怪力を見せており、「魚と米で きたえたパワーをみせてやる!」と両さんに対抗心を燃やさせた。
![]() |
価格:8990円 |
●ゴキブリ大行進!の巻
ストーリー
中川の製薬会社で研究用のゴキブリを買い取っていると知った両さんは、近所の飲食店を巡ってゴキブリを生け捕りにして回る。
100匹単位のまとまりで買い取ってくれるのだが、集めようとすると意外に集まらない。そこで、養殖して増やすことを思いつく。
派出所でもマリアと同室の寮の自室でも飼育できないため、寮の空き部屋303号室を飼育室にしてゴキブリを増殖させる。
当初は上手くいった商売だったが、あまり成果が挙がらなかったので、両さんも飼育に飽きて飼育室を放棄。3か月が経過した。
両さんも忘れかけていた頃、寮でゴキブリが増えたとの話を聞き、飼育のことを思い出す。計算上、ゴキブリは10万匹を超えていた……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、吉原トメ(白浜カトリーヌ)(寮母)
ゴキブリを飼育して売ろうとする話。
中川の会社の研究所では、微生物に寄生されたことで大量の研究用ゴキブリを失っており、ゴキブリを欲していた。
この回は、時間の経過や場面転換を示すためか、風景のカットがやたら多く感じる。
最後に確認した1956匹のゴキブリが3か月間でどの程度増殖しているのか? というのは、いわゆるネズミ算やウサギ算というもの。作中でも、かなり難解な式(?)なのだが、両さんは暗算で10万匹以上と算出していた。
この303号室のゴキブリ飼育室は、その後も片付けられておらず、115巻「ゲーム景品進化論!?の巻」でも出てくる。
この回は、1ページ目に「今回の作品は、気の弱い方、虫の嫌いな方、食事中の方は見るのを御遠慮下さい。身の毛もよだつ夏の夜の恐怖物語です。」と注意書きから始まる。
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 115【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●誘惑のコルベット!の巻
ストーリー
駐車場にマンションが建ってしまい、次の駐車場が見つかるまでの間、友人からポルシェを一晩中走らせ続けるというバイトを引き受けた両さん。
首都高を中川と走っていると、美女の運転する68年式コルベットが通りかかる。一目で気に入った両さんが美女を追いかけていると、パトカーに追われた暴走車が現れたので、美女と両さんで暴走車の男性を捕まえる。
男を捕まえたのをきっかけに美女をお茶に誘うと、あっさりOK。ところが、名乗っていないのに美女は両さんの名前をなぜか知っていた。
主な登場人物
マリアとマリリンの母、今日子の初登場の回。
両さんが夜中に走らせる前、派出所の前でポルシェを停めていると、交通課の婦警に切符を切られてしまう。「あんな不細工なやつらにあんな事言われるとは(中略)美人に言われりゃ そりゃもっともだと納得するだろ!」と、現在では問題になるルッキズム丸出しの発言をしている。
駐車料金がかからないために、一晩中ポルシェを走らせているのだが、両さんの時給はわずか300円。駐車違反の切符を切られていることを考えると、儲けはほとんど無さそう。
48巻「おにあいカップル!?の巻」では、両さんは「脂の乗り切った30ぐらいの粋な女」が理想と語っていたので、今日子はその理想に該当している模様。
![]() |
スパーク 1/43 シボレー コルベット C3 No.51 1974 ル・マン24時間 18位 H.Greder/M-C.ボーモント 完成品ミニカー S2432 価格:10890円 |
●マリアの母の秘密!?の巻
ストーリー
マリアの母、今日子は財閥の娘として大切に育てられたが、ホンダラ親父に一目ぼれしたため、二人でニューヨークに駆け落ち。16歳にして、マリアを生んでおり、現在は36歳で料理研究家となっていた。
今日子に自宅での食事に招かれた両さんたち。今日子は神経質なまでのきれい好きなため、両さんはなかなか食事にありつけない。
そんな食事会の中、屋敷に屈強な格闘家の泥棒が入ってくる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、麻里晩、麻里今日子
マリアの母・今日子の自宅に行く話。
今日子は美食家の財閥・今田伝衛門の父と舞踏家の母との間に生まれるが、悪者に絡まれたところをホンダラ親父に助けられたことが二人の馴れ初め。若いころのホンダラ親父は、髪もヒゲも短く、割とイケメン。
今日子は、極度のきれい好き、コルベットを爆走させるスピード狂、大男を一撃でKOする腕っぷし、ホンダラ親父とのラブラブっぷりと、マンガ映えしそうなキャラなのだが、出番はいまいち少なく、メイン回は84巻「ハロー・ダーリン♡の巻」、85巻「魔鈍鳴(マドンナ)に続け!の巻」くらいしかない。
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 84【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 85【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●巨大フード運動会!?の巻
ストーリー
昨今は企業の運動会にも、会社のイベンターが企画・進行している。
面白そうということで、湾岸地域のイベントホールでの食品会社の運動会に参加する。
新製品のカップ麺52種類の底に金・銀・パールが隠された大食いチャレンジに始まり、プールのような巨大さの巨大カップ麺を渡るレース、巨大寿司の迷路、巨大おでん鍋を渡るレースなどが行われる。
主な登場人物
カップ麺、寿司、おでんなどの巨大フードを使った運動会の話。
巨大なラーメンやおでんの練り物は分かるが、寿司に使われた巨大な米粒などを、どうやって作ったかは不明。
今回の主催の図針(ずばり)食品は、インスタントの総合メーカー(自称)と語っているが、両さんからは新製品のことをまずいと笑顔で酷評される。
一応、この図針食品は中川の系列会社。
部長は孫の大介の運動会でビデオカメラでの撮影に行っており、話題には出てくるが、本人は登場しない。
![]() |
元祖!大食い王決定戦 其の壱 〜新時代の幕開け〜 [ 中村有志 ] 価格:3719円 |
●浅草七ツ星物語の巻
ストーリー
昭和35年、浅草花やしきで遊んでいた勘吉少年たちは、芝居一座の娘・琴音と出会い、仲良くなる。
花やしきに、衛星と言う名のゴンドラに乗る高さ50メートルの人工衛星塔が新しくできることになる。その計画を知った勘吉と琴音は、衛星のひとつにこっそりサインを書いて、一緒に乗る約束をする。
しかし、琴音の一座が都合のため、予定より早く浅草での興行が終わってしまい、京都に行くことになる。
別れを惜しむ勘吉は、約束の衛星を持ち出し、浅草の仁丹塔に吊り下げ、琴音との約束を果たす。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸田豚平、千田珍吉、橘琴音
旅一座の娘の琴音との思い出の話。
昭和35年(1960年)に建てられた花やしきの人工衛星塔(Beeタワー)は2016年に廃止となっている。
また、勘吉少年が人工衛星を吊り下げた仁丹塔は昭和29年(1954年)に再建された物だが、こちらも1986年に解体されている。
この衛星を持ち出す姿から、勘吉少年のあだ名は「糞ころがし」となった。
タイトルの「七ツ星」とは、勘吉の持ち出した衛星が衛星塔の7つ目の星だったことから。
琴音とは大人になってからも会うことがあり、102巻「古都の走馬灯の巻」にも登場。125巻「京都ものがたり③ 憂鬱の憂鬱の巻」でも言及しており、檸檬からは「彼女か カンキチの?」と言われる。
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 102【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
![]() |
こちら葛飾区亀有公園前派出所 125【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
特殊刑事課の海パン刑事がこの巻で初登場。
「こち亀」を代表するインパクトの強いキャラなのだが、実は十数回しか出番がない。それもちょっとだけの登場で、しっかりとした登場に至っては更に少ない。
本庁の刑事で、キリっとした男前というキャラが星逃田と被っており、星の出番の減少に海パン刑事の影響が少しはありそう。
個人的オススメは、ゴキブリ10万匹が乱舞する「ゴキブリ大行進!の巻」。