「こちら葛飾区亀有公園前派出所」81巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1993年6月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 81【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●忘れて!日暮くん…の巻
ストーリー
1992年バルセロナオリンピックの年。4年に一度目覚める日暮が起きる年だ。
4年間、放置されていた日暮の部屋は原始時代のように荒廃。巨大な食虫植物がおり、原始時代の大きなトンボや蛾が飛んでいた。
すでに起床していた日暮を確保。4年前に日暮から預かった貯金通帳の1500万円を競馬で使い込んでいた両さんは、貯金のことを日暮が思い出さないように、4年間の世間の変化の話題で話をつなげる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、日暮熟睡男
日暮の貯金を使い込んだことを誤魔化す話。
1988年からの4年間の世間の話題としては、下記の話題が出ていた。
・自販機の缶ジュースが100円から110円に(消費税導入)
・宮沢りえのヌード写真集発売
・元号が昭和から平成に
・ソ連崩壊と東西ドイツ統一
・湾岸戦争勃発
・総理大臣交代
総理大臣は竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、宮澤喜一と変わっていた。「宇野首相って誰?」と宇野宗佑だけ執拗に日暮が質問していたが、宇野首相の在任期間はわずか69日。日暮でなくても首相のイメージは薄い。
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●カラオケ歌合戦!の巻
ストーリー
葛飾署のカラオケ大会の日が近づいてきて、両さんは中川たちを伴って会場となるカラオケ店に行く。
歌の採点指導機能のある最新機種が導入されたと知り、初物好きの両さんは一番乗りで歌う。
両さんはカラオケは好きだが、低い得点が出たり、違う曲が出たりしたので、頭に来た両さんはカラオケ機に何度も蹴りを入れる。
15時間歌い続け、ついに100点を出した両さんは、その採点カラオケ機でカラオケ大会に挑む。採点機能に絶対の自信を持つ両さんは、トップ宣言をし、負けたら二次会の費用を持つと豪語する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、屯田五目須(署長)
採点カラオケの話。
連載当時の1992年は、通信カラオケが初めて導入された頃だが、この話で出てくるカラオケ機はレーザーディスクで曲を流す方式。現代のデンモクどころかリモコン操作ですらなく、カラオケ機本体のボタンで番号入力して曲を選択していた。
さらに現金をカラオケ機本体に入れると歌える方式。1曲100円で通常は100円硬貨を入れるが、両さんが常連で使っているカラオケ機は一万円札を入れて100曲歌える仕様になっていた。
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●ボルボの初デート!?の巻
ストーリー
久しぶりに葛飾署に出勤したボルボはマリアに一目ぼれ。勢いで日曜日、渋谷109ビルの前でのデートの約束を取り付ける。
マリアからボルボのデートの誘いの話を聞いた両さんは、中川たちと二人のデートを尾行。
朝7時に集合、戦争映画鑑賞、銃砲店で銃の解説、骨とう品店で日本刀を2時間眺め、スポーツジムに行くという独特のデートコースを両さんたちが見守る。
主な登場人物
ボルボがマリアとデートする話。
当然、ボルボはマリアが男性だとは気づいていない。
一目ぼれしたマリアに話かけるきっかけが、サバイバルナイフをマリアの足元に投げつけ、「ハンカチを落とした」のような感覚で話しかけるという変わったもの。
ボルボが手に持った花束には散弾銃が仕込まれている。デートで持ってきているのに、花束を渡す気はないらしい。
ボルボは周囲の異変に敏感で、ささいなことにも警戒しているくせに、両さんたちの尾行には最後まで気付かなかった(途中、一回気にするだけだった)。
この頃はまだ、ボルボが丸腰になると極端に気弱になる設定があったが、いつの間にかこの設定はなくなっていく。
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●手裏剣、恐るべし…!の巻
ストーリー
マリアが男性と知ったボルボだったが、故郷では結婚の準備が進んでいるという。
事情の説明のため、中川のヘリでボルボの故郷・鹿児島に向かう。
ボルボの実家は忍者の家系。祖父・小金丸は、家を忍者資料館に改造しており、忍者学校の開校を画策していた。
教え魔の小金丸は強引に両さんたちを相手に忍術の講義を始める。
主な登場人物
ボルボの祖父・小金丸の初登場回。
前回の話からの続きになる。話の都合上、マリアが男性だとボルボが知った状態で鹿児島に向かうことになるが、男性と知ったときのボルボのリアクションも見たかった。
小金丸がボルボに結婚を急がせていたのは、忍者学校のパンフレットに使う美女が欲しかっただけだった。
小金丸以外のボルボの身内は出てこない。ボルボの父母がどんな人たちなのかは気になる。
タイトルはラストの巨大手裏剣の展開から。
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●買って!飼って!カブト虫!!の巻
ストーリー
孫の自然教育のためにと、部長が買って派出所に置いていたカブトムシとクワガタムシを両さんが全部逃がしてしまう。
部長に激怒された部長は、100匹くらい採ってくる、と勢いで反論。
小学生の頃に採りに行った千葉県の松戸に向かうが、両さんが子どもの時代と違い、すっかり都会になってしまっていた。
それでも古い製材所のオガクズから多量のカブトムシを捕まえることに成功。しかし、帰る途中アクシデントでほとんど逃がしてしまう。
部長にバカにされることを恐れた両さんは、苦し紛れに……
主な登場人物
カブトムシを採りに行く話。
両さんは子どもの頃、一日で120匹カブトムシを採ったことがあるらしい。
ラストで両さんは苦し紛れに、カブトムシの代わりを100匹用意する。代わりのあの虫を100匹用意できるのも充分スゴい。
残暑がきついからと両さんは、昼間の勤務をサボり、勝手に夜勤になる。勝手に勤務シフトを変える両さんもおかしいが、日勤には中川と麗子が、夜勤には両さんの他にもう一人しかいない。本来の夜勤は、一人だけの勤務の予定だったのだろうか?
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●怒りの心にカルシウム!?の巻
ストーリー
警官の前で失礼なギャグをかますテレビの企画だが、運悪く競馬でイラついている両さんの前でギャグをすることに。機嫌の悪い両さんは、テレビクルーを殴ってしまう。
たちまちマスコミ沙汰となり、部長から大説教。両さんは、テレビが取材に来る亀有の盆踊りで威勢よく太鼓を叩くことでイメージアップをはかる。
短気を起こさないよう、卵の殻や小魚を食べ、積極的にカルシウムを摂取する両さん。しかし、運悪く、質の悪い酔っ払いが絡んでくる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
カルシウム摂取で短気を治そうとする話。
テレビの企画でのギャグは、お巡りさん扮装のタヌキを連れて「タンタンタヌキのお巡りさん」と歌い、「コマネチ」「アンドリアノフ」「おしりパンパン」とギャグを連発するもの。「コマネチ」はビートたけしのギャグで体操選手のナディア・コマネチが元ネタ。「アンドリアノフ」も体操選手の名前。
暴力行為が新聞沙汰になれば、それだけで懲戒解雇も有り得るが、部長と署長から怒られただけで、特に処分のようなことはなかった。
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●両津家130年の味!?の巻
ストーリー
両さんの実家の床の下から、文久二年(1862年)に埋めた壺が出てくる。小判でも出てくるかとドキドキしながら開けると、中身は梅干しでガッカリ。
しかし、後日部長が京都で買ってきたのが、30年間寝かせた梅干しで一粒3000円もすることに驚く。130年寝かせた両津家の梅干しは専門店から一粒1万5000円の値を付けられる。
梅干しの価値を知った両さんは、そのまま専門店に渡さず、自身で高値で売るようになるが……
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津銀次、両津よね
両津家から100年以上前の梅干しが出てくる話。
梅干しは保存食なので、現実には1576年に漬けた梅干しもあるらしい。
両さんの両親は、100年前の梅干しであっても、何のためらいもなく口にしていた。
100年以上前で希少ではあるが、食通の中川によると普通の梅干しの様な味らしい。
梅干しの壺には「文久二年三月 両津ため吉」と書かれていた。ため吉は勘兵衛と夏春都の父で、両さんからは曽祖父に当たる。
ため吉は、58巻「天国からの訪問者の巻」に登場している。
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●ラジオでコンニチハ!?の巻
ストーリー
ラジオ番組「ちびっこ電話相談室」に下町の名物お巡りさんとして両さんが出演することに。
何をしゃべるか不安なため、部長、署長たちが同行し、一言一句決まったことを言わせようとするが、あまりにも不自然なしゃべりになってしまう。結果、部長たちはブース内から追放となり、両さんは好き放題しゃべる。
率直な物言いの両さんのしゃべりは好評で、今度は人生相談に出演。
次第に、自身のレギュラー番組を持つ売れっ子になっていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
ラジオ番組で人気者になる話。
両さんを起用したラジオ局は江戸前放送JOVX。現実のコールサインJOVXはSTVラジオ網走局。
事前に録音してきたアイドル10名の声を使って、スタジオにいないアイドルを共演させるなど、しゃべりだけでなく、企画・演出まで両さんが担当することになる。
142巻「人生相談まかせなさいの巻」では、新江戸前放送で人生相談を任され、ハワイから生放送をする。
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●亀有恐竜大パニック!の巻
ストーリー
小学校の教材として恐竜の骨格模型の製作を頼まれるほど、両さんは骨格については几帳面。
中川エンタープライズの主催する恐竜博から骨の型を取り、プラスチックの骨格を組み上げ、寮の庭に飾ると、たちまち評判に。
この評判から隅田公園に恐竜のオブジェを作る依頼を受ける両さん。知人の造形屋も協力し、数体のオブジェを作るが、台風55号の接近で、オブジェたちが風に飛ばされる。
主な登場人物
恐竜の実寸大のオブジェを作る話。
軽量プラスチックで作っているため、組み立てが容易だが、その軽さが裏目に出て、強風により街中に複数体の恐竜のオブジェが暴れまわることになる。
この回で出てくるティラノサウルスは、ゴジラなどのような直立姿勢。現在では、前に倒した上半身と巨大な尾でバランスを取る水平型の姿勢が有力と言われている。
さらに、この回では翼竜の名前がテラノドンと呼ばれている。これはPteranodonのPを英語圏では発音せずプテラノドンではなくテラノドンと呼ぶため。英語圏の発音を採用している。
両さんはなぜか都民税の支払いを給料天引きではなく、ゴネて個人で支払うことにしている。
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●ただ今スコープ調整中!の巻
ストーリー
派出所に突如、後流悟十三(ごるご じゅうぞう)が現れる。
後流悟はマンションを探しているとのことで、両さんのツテで物件を紹介することに。
プロスナイパーに憧れている後流悟は、銃のスコープなどの手入れが日課だが、部屋の窓からスコープを覗くと、そこには風呂屋が。
両さんも一緒になって覗き、より高倍率のスコープを求めてボルボを呼び出す。
ボルボも加えて、スコープを覗いていると、風呂屋の隣のコンビニでの強盗を発見する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、後流悟十三、屯田五目須(署長)
後流悟十三とボルボ西郷が狙撃用スコープを覗く話。
後流悟の登場は24巻「ニューフェースの任務の巻」以来、11年ぶり。
ゴルゴ13を元ネタにしたキャラの後流悟とボルボの初共演。雰囲気だけの後流悟に比べて、実際に軍人の経験のある設定のボルボの方が使い勝手が良いのか、圧倒的に出番が多い。
後流悟は麗子や中川の初登場時のことなどにも詳しく、「派出所のカルトクイズに出たら優勝しそうだ」と言われる。
199巻「葛飾Walk 金町編」では、後流悟は金町に住んでいることになっている。
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四年に一度登場のレアキャラ・日暮の登場の巻だが、この巻では、それ以上のレアキャラ・後流悟十三が二度目の登場を果たす。
ボルボはマリアに一目ぼれするが、109巻「香港 女の大バトル!!の巻(前・後編)」では、マリアの妹のマリリンの方がボルボに一目ぼれし、爆竜大佐の娘・ジョディーと対決することになる。