「こちら葛飾区亀有公園前派出所」82巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1993年8月発売)
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●本日開校!忍者学校の巻
ストーリー
ボルボの祖父・小金丸が忍者学校を開校するために九州から上京。しかし、東京の地価は高く、予算が300万円しかない小金丸には、土地も物件も手が出せない。
仕方なくボルボの住まいを忍者教室にしようとするが、ボルボは断る。ボルボと小金丸は言い争うも、ボルボは折れず、物件探しはふりだしに。
そんな小金丸の前に、当て逃げした車を追跡する本田が現れる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)、ボルボ西郷、西郷小金丸
小金丸が上京する話。
九州を出たことがなかった小金丸は新幹線などを利用して上京。その際には目立たないよう虚無僧スタイルだった。
常に襲撃を警戒しているボルボと、その性格を知っている小金丸との激突は過激。訪問して用件の本題を話すまでに4ページを使って、手榴弾、巨大手裏剣が乱れ飛ぶ。いつものことながら、ボルボは近所の人たちから締め出されないのだろうか?
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●スーパーエディター両津!の巻
ストーリー
両さんは、出版社のエディター(編集者)のバイトになる。編集部は、漫画、小説、写真の編集がゴチャゴチャになっており、原稿が混在することもしばしば。
そんな過密の編集部でタバコが原因の火災が発生。大事には至らなかったものの、原稿や写真集のネガが焼けてしまう。
アイドルの写真集、漫画、対談の原稿など、焼け残ったわずかな素材で、両さんは巧みにページを埋めていく。
主な登場人物
出版社のバイトで、少ない素材で原稿を誤魔化す話。
両さんが勤めたのは御腐爛酢(おふらんす)出版。当時は、職場内禁煙のルールはあまりなかった。夜11時過ぎても平気で仕事をし続ける編集者の勤務事情も描かれている。
このバイトの応募の際、両さんは東京大学プラモデル学部在学の学生だと偽っている。
漫画のコマをコピーの連発や拡大で誤魔化したり(わずか2コマで16ページ埋めた)、アイドルの写真集では他の写真から流用したり、関係のない小説「次郎長外伝」を50ページ掲載したりと、様々なテクニックを駆使していた。
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●怒濤のムスタング刑事!の巻
ストーリー
合同捜査で派出所に新しい刑事がやって来る。来たのはムスタング刑事。戦闘機P-51ムスタングを吊り下げた自走車で活動する刑事だ。
ムスタング刑事からパートナーに指名された両さんだったが、P-51は単座のため座席がなく、機体にまたがって出動する。
後日、両さんも乗れるよう双胴のF-82ツインムスタングで現れたムスタング刑事。フォードムスタングに乗った銀行強盗を追跡する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ムスタング刑事
ムスタング刑事登場の回。
海パン刑事の親友として登場。特殊刑事課(まだ、この課の名前は出てこない)からは2人目の刑事。以降、特殊刑事課から変わり種の刑事が続々登場することになる。
飛行機と自走車はワイヤーコードで連結されており、飛行機の操縦桿を動かすと自走車も連動して動く機構になっている。
このような形になった理由として、「街中を飛び回ると迷惑をかける」とのことだったが、後に登場の87巻「月光刑事はもう結構!?の巻」の戦闘機「月光」、190巻「ハインケル刑事の巻」の爆撃機ハインケルは普通に街中を飛行している。
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●光の球場!の巻
ストーリー
昭和37年6月、荒川区南千住にプロ野球・大毎オリオンズ(毎日大映オリオンズ:千葉ロッテマリーンズの前身)の本拠地として東京スタジアムが建てられる。
勘吉少年も父と一緒に東京スタジアムに通うが、彼の目的は野球観戦だけでなく、球場アナウンスのお姉さん・やよいに会うことだった。
しかし、やよいがオリオンズの主力打者・日向と結婚し、職を辞すことが決まっていると知った勘吉はショックを受け、アナウンス室を訪れなくなってしまう。
日向選手に話しかけられた勘吉は、日向選手に反発。そのことがきっかけで日向選手は交通事故で大ケガを負うことに。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津金次郎、両津銀次、両津よね、戸田豚平、千田珍吉、栗原やよい、日向剣児
下町にあった球場の話。
東京スタジアムは昭和37年(1962)~昭和47年(1972)のわずか10年間だけの球場だった。
勘吉の住む浅草からも近く、父と自転車で球場に行っていた。
現在は荒川総合スポーツセンター、南千住野球場になっており、作中のラストはスポーツセンターの前で両さんが中川たちと建物を見上げながら、かつての球場に思いをはせて終わる。
この回での勘吉は、いつもの悪ガキ感が薄め。
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●最後の熱海旅行!?の巻
ストーリー
葛飾署の秋の旅行先は熱海。中川から潜水艦を借り受け、バス代を浮かす。
豪華なホテルに泊まれると思いきや、昨年団体客が暴れて被害が出たので、プレハブのような別館に押し込められる。
待遇にボヤく両さんたちだったが、交通課の婦警たち女性陣はなぜか本館に泊まることができ、さらにストレスを募らせる。
せめて風呂だけはと、本館の露天風呂に行くと、そこには合宿に来ていた翻堕羅拳の一行の姿が。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、屯田五目須(署長)、麻里晩、麻里(今村)今日子
署の熱海旅行に行く話。
タイトルの「最後の」というのは、結局大暴れしたので、もう来れないのでは、という意味。157巻「ハッピーバースデープレゼントの巻」では、「社員旅行で熱海に行って宴会で大暴れし その旅館に二度と行けなくなるのが世間の常識だろ」と語っているものの、150巻「訳あり、金なし、旅情あり!?の巻」では熱海に署で旅行している。
男性署員は潜水艦で熱海に向かう。テーブルやカラオケセットを設置し、くつろぎながら目的地を目指すが、現実の潜水艦の内部は狭くてくつろげないのでは、と思う。
両さんたちが熱海で泊まったのは「素晴裸seaホテル(すばらシーホテル)」。団体客の本館への立ち入り禁止にしているホテルだが、オチを考えると、その方針は間違いではなかったのかもしれない。
ホンダラ親父の入浴時の後ろ姿は、一見すると色っぽい女性に見える。意外にもゴツくない。
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●おむすびころりん!の巻
ストーリー
「お米を食べよう協会」から両さんにお米が五俵も届く。お米の名前を考えるキャンペーンで両さんの案が入選し、その商品が送られてきたのだ。
大量の米を手に入れた両さんは、駄菓子屋の一部を借り、おむすびを作って売る商売を始める。
駄菓子屋の近くに工場はあるが、飲食店やコンビニは少ないため、おむすびの販売は好調。それを見て、向かいのハンバーガーショップは危機感を覚え、同じようにおむすびの販売を始める。
バーガーショップとの争いに勝った両さんは、スポンサーをつけて世界一大きいおむすびを作る一大キャンペーンを行う。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛
おむすびを作る話。
タイトルの「おむすびころりん」はラストの展開から。
1ページ目の派出所の壁には、「WANTED DEAD or ALIVE」という西部劇のような手配書が貼られている。
冒頭では、後におむすび販売の場所を借りることになる駄菓子屋で、中川、麗子と一緒にもんじゃ焼きを食べることになる。
お米のキャンペーンで入選した両さんの案は「米(こめ)っちゃうな」。
価格:3080円 |
●ザ・セイフティドライバーの巻
ストーリー
安全指導師範七段・石頭鉄頭部長はいつでも安全第一。
そんな石頭部長から、愛車のポルシェの不調を見てくれないかと中川が頼まれる。両さんと共に石頭の自宅を訪れると、家自体は普通だが、中は交通標識でいっぱい。駐車場のない家で、押し入れの中にポルシェを収納していた。
中川に不調を見てもらったポルシェでドライブに出かけた石頭は、街中で交通指導を始める。
主な登場人物
石頭鉄頭の自宅を訪れる話。
登場するときには、鎧兜姿の石頭だが、自宅にいる間は、カーディガンを羽織った普通の恰好。
石頭の6人の子供には交通用語が使われており、上から、右折、左折、直進、一方通行、駐車禁止、進行方向別通行区分と名付けられている。
街中で「過剰な標識にも問題がある」と標識が多すぎて集中力が削がれることの問題を説いている石頭だったが、自宅には多量の標識を設置。「←居間3m 台所5m→」と記載するほど。
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●ハイパー小学生!?の巻
ストーリー
派出所に小学生が道を尋ねにやって来た。彼は携帯電話を持ち歩き、ハイテク装備のランドセルを使いこなすハイパー小学生・電極プラスだった。
スーパー電子工機の社長の息子であるプラスから、スーパー電子ランドセルの機能を見せられ、驚く両さん。
大人向けのアタッシェケースタイプのモニターを一か月5万円でやっていると聞いた両さんはモニターに名乗り出る。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、電極+
ハイパー小学生プラスの初登場回。
この回ではまだプラスの名前は出てこない。彼の父・スパークは名前も姿も登場しないが、プラスの電話の相手として登場する。
アタッシェのモニターになった両さんは、「社長にたのみこんで新しい機能をつけてもらった」と、部長に仕込んだ発信機を追跡する機能を披露。だが、85巻「ハイパー社長!の巻」で社長・スパークは両さんと初対面の挨拶をしていて、この回で会った設定はなくなっている。
様々な機能の他、エアバッグまで付いているランドセルは今見てもかなりの最先端。装着しながら体温や脈拍を測定し健康管理するシステムは、後のスマートウォッチにも通じる。
両さんは、ハイテクアタッシェに装備のカメラで映画「ダイハード5」を丸々盗撮していた。まさかの映画泥棒を先取り。(連載当時、ダイ・ハードは2が最新。ダイ・ハードの5作目のタイトルはダイ・ハード/ラスト・デイ(2013年)なのでダイハード5は存在しない)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 85【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●ザ・トレンドマン両津!の巻
ストーリー
中川の友人の雑誌の編集者から、地酒のベスト10を決める企画を頼まれた両さん。当初、編集部が事前に選んだ30種からベストを選ぶ企画だったが、「日本中の地酒を全部用意しなさい」と両さんが一喝したことから審査対象の地酒は500本に。しかし、両さんは一晩で飲んで500本を審査。一人で500本を審査した記事は大反響となる。
企画は好評のため、洋酒や絶叫マシンも両さんが評価。
両さんが評価したものは世間のトレンドとなる。
主な登場人物
雑誌で様々な物を評価する話。
残すともったいないからと、500本の地酒を飲み干した後に、口直しに飲みに行ってくると出かける両さんを見て「先輩の体には一体 何ガロン入るのかな」と中川は疑問を感じていた。
味オンチの設定で描かれることも少なくない両さんだが、地酒や洋酒の評価は正確と絶賛された。
絶叫マシンの評価では、なぜか本田も巻き込まれる。絶叫マシンの中でパンと牛乳を食べるのはそもそもムリだろう。
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●真冬の水商売(ウォータービジネス)!?の巻
ストーリー
明日食べる米もない金欠の両さんは、遊園地のアトラクションの製作メーカーのアルバイトを始める。
高所から水と共に滑り落ちるウォーターシュートの実験体になるバイトは、20万円のボーナスが出るが、かなり危険。ガッチリ体型の両さん以外の実験体として、ひ弱タイプの本田も強引に巻き込み、開発テストは続く。
米国に20か所の遊園地を擁する社長の目の前で、真冬のプールで売り込みテストが行われる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
ウォータースライダーのテストのバイトをする話。
タイトルが示す通り、年末の真冬の時期で、プールには氷が張っていた。この件で本田が風邪をひいたことが83巻「両津流お正月の過ごし方!?の巻」で明かされる。
バイトを探す両さんを見て「ちゃんと勤めているはずなのに… なぜいつもお金がないのかな?」と疑問を呈す中川に「使うからよ! 全部!」と一言で返す麗子が面白い。
ボーナスはすべて商店街に取られたとのことで、どうやらボーナス争奪戦は、本編に描かれてなくても行われているらしい。
冒頭、両さんがバイト雑誌を立ち読みする本屋には「カメダス」予約の受付、「Mr.クリス」1~2巻の宣伝が書かれている。
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「ハイパー小学生!?の巻」で電極プラスが初登場。
まさか、この後20年以上に渡って登場する息の長いキャラになるとは。
2024年現在の日本では、高級おにぎり専門店が割と増えているが、「おむすびころりん!の巻」では、既におにぎり専門店を両さんが始めている。
個人的オススメは、少ない原稿の素材で誌面を埋める「スーパーエディター両津!の巻」。