「こちら葛飾区亀有公園前派出所」84巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1993年12月発売)
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●絵崎教授の哲学の巻
ストーリー
中川のケンブリッジ大学時代の恩師、絵崎教授は英国文化を嗜む紳士。車が唯一の道楽の教授は、英国の名車からジャグワーのマークIIを購入。
日本でも有名人の教授は、日本への帰国で記者会見を行う。会見後、記者たちの前で颯爽と購入したばかりのジャグワーに乗り、帰途につく教授だったが、実は運転が下手で、すぐパニックになるため、ジャグワーは大暴走する。
主な登場人物
絵崎教授の初登場回。
発音にこだわる教授はジャガーではなく、ジャグワーと発音している。
博識な紳士に見えて、実は知ったかぶりでポンコツというキャラは初登場時から確立していた。
教授の専門は機械工学。その割に、オートマ車のシフトチェンジもおぼつかない。
中川の大学時代から、この話までは教授は英ケンブリッジ大学だったが、ラストでは仏ソルボンヌ大学に移ることになる。
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●現代昼食事情の巻
ストーリー
食に関心のない両さんの昼食の出前は、カレー、ラーメン、ヤキソバの3パターンの繰り返し。食事の自販機があれば良いのに、と望んでいた。
ある日、カレーライスやうどんなどの料理の自販機が処分される場に出くわした両さんは、引き取って葛飾署内に自販機を設置して商売を始める。
初めは物珍しさで購入する署員もいたが、リピーターがおらず、売り上げは低迷する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
料理の自動販売機の話。
設置した自販機の種類は、のりまき、カレーライス、うどん、スパゲティ、コーヒー。
カレーのルーやスパゲティのミートソースが、自販機のノズルから出てくる様は、他のモノを連想させ、なんだかまずぞうだった。
食通の麗子や中川の援助で、商売が軌道に乗った際には、真面目な商売に感動した両さんだったが、長くは続かなかった。
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●雪合戦サバイバル!の巻
ストーリー
東京ベイエリアの人工スキー場へ、小学生の雪合戦の警備に訪れた両さんたち。
雪合戦の技術指導には、北海道から平林という教授が来ていたが、その平林教授は「雪(スノー)のジョー」の名前で両さんやボルボのチームとサバイバルゲームをした相手だった。
昼休みで、小学生たちがいない間に、交通機動隊チームと外勤警官チームで雪合戦をすることに。
交機チームには平林教授が入って、外勤チームの両さん・ボルボたちと対決する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、ボルボ西郷、平林教授(雪のジョー)
本格的な雪合戦の話。
「雪のジョー」こと平林教授は、一見、理知的な印象のキャラだが、往生際が悪く、結構イカれたキャラ。
連載時の1993年は日本雪合戦連盟が設立された年だった。
両さんたち外勤警官は現場の警備で、交機は雪のフェンスを作ったりとコートの設営で雪合戦会場に来ていた。
両さんの投げた雪玉は、大きな雪の固まりを貫通させる驚異的な威力を誇っている。
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●ファミコン攻略法教えます!の巻
ストーリー
息子夫婦たちが子どもを預けて旅行に行ってしまったので、柴又の署長宅はてんやわんや。
ファミコンの攻略法を孫から訊ねられるが、署長にはまったく分からないので、両さんを自宅に呼び出す。
署長からの直々の呼び出しと聞いて、自身の進退問題と勘違いし、恐る恐る署長宅を訪れる両さん。
しかし、その内容がファミコンの攻略だと知った途端、態度を変え、署長にたかり出す。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、屯田五目須(署長)
署長宅でファミコンの攻略法を教える話。
このとき、署長の孫たちが攻略法を訊いてきたのは、ファイナルファンタジーV(1992年発売)。作中、ファミコンと呼ばれているが、正確にはスーパーファミコン。
署長の息子の、一男夫婦、正男夫婦、章男夫婦が、それぞれ旅行の間に子どもとペットを預けていったので、孫は複数いる。孫は男の子ばかりで、少なくとも6人(7人?)は確認できる。(健介、丸夫、正、飛介、太郎、次郎)
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●絵崎教授からの手紙の巻
ストーリー
仏ソルボンヌ大学に行った絵崎教授からエアメールが届く。すっかりパリに溶け込んだと、オシャレな生活を感じさせる文面ながら、実態は、その運転技術の下手さで、パリ中のあちこちで大騒動を起こしているのだった。
日本を訪れる機会に教え子の中川に声をかけてきた教授。待ち合わせの場所に教授が乗ってきた自動車は、マニアックなパナールだった。
主な登場人物
絵崎教授の再登場の回。
パリにいる間、シトロエン2CV、プジョー505、ルノー5ターボと、フランスの名車を次々乗り換えているが、いずれも事故で大破している。
この大破した事故時を描写した文章が、オシャレな言い回しで秀逸。
教授が日本に持ってきたパナールは、エンジンはワーゲン(ドイツ)、メーターパネルはフィアット(イタリア)、ウインカーはアウディ(ドイツ)、ライトはマーシャル(イギリス)と寄せ集め。タイヤに至ってはヨコハマ、ブリヂストン、グッドイヤー、ピレリーと4本全部が違うメーカー製だった。
貨幣がユーロでなくフラン、EUではなくECと時代を感じるワードがいくつか見られる。
冒頭、後の展開につなげるためか、珍しく両さんがいつもの自転車ではなく、仏プジョーのモペット103SPMで出勤している。
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●本田くん 逆玉作戦の巻
ストーリー
白バイ隊員の仕事はバリバリやっているが、最近元気がない本田。心配して話を聞いて見ると、案の定、恋をしていた。
相手は麻布のバイクショップに勤務する女性とのことで、両さんと中川を伴って訪れると、そこは全国規模の二輪輸入業の老舗モトグチモータース。女性は社長令嬢とのことだった。
実際に女性に対面してみると、なんと特別交機隊にいた本口リカだった。
本田はリカとデートし、両親にも紹介され、リカの父にも気に入られる。
主な登場人物
本口リカ再登場の回。
以前(21巻「本口リカ登場の巻」)からは髪型が変わって見た目が違っているリカ。以前は17歳で、今は22歳になっている設定。
リカは5年前に交機を辞めており、欧州、カナダ、米国と3年かけてバイクで走っていた。
リカの相方の犬の元五郎は、10匹の子持ちに。
90巻「本田君の縁談!?の巻」では、本田とリカのその後が描かれる。
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●寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻
ストーリー
バブルが弾け、回転寿司も周囲に増えたため、大尽寿司の客数は減少していた。
そんな大尽寿司が寿司ロボット「にぎっ太くん」を導入し、ハイテク寿司と新装開店する。
シャリ玉は回転寿司でも使用されている機械を用い、職人の姿をした「にぎっ太くん」が、そのシャリ玉にネタを乗せて握るシステム。
新装開店のキャンペーンで両さんたちもハイテク寿司を訪れる。しかし、ガンコおやじの店主と結局ぶつかってしまう。
主な登場人物
寿司ロボットの話。
47巻「江戸っ子すし講座の巻」の大尽寿司の大将と再び両さんが激突する。
「にぎっ太くん」は優秀なのだが、何度も「マグロ」を連呼した両さんに連呼した数だけマグロを握ったりと融通はきかない。
「にぎっ太くん」がメインの回ではあるもの、やっぱり大尽寿司の大将と両さんとの対決が見物。
回転寿司のレーンを流れる寿司にツバをかけて回る姿は、後年の「すしテロ」と呼ばれた迷惑行為を思い起こさせる。
話の導入には、ロボット和尚について両さんが話している。
ロボット和尚 | 日蓮宗 法徳寺 (nichiren-houtokuji.com)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 47【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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●貨幣は寝て待て!?の巻
ストーリー
部長の実家から、聖徳太子の百円札、武内宿禰の壱円札などの古い紙幣が何枚か出てきた。
価値を調べるため、両さんはインチョキ堂を訪れる。百円札、壱円札はたいした価格ではなかったが、二十円札の価格はなんと2000万円。
両さんはなんとか自分のものにしようとする。
後日、浅草の実家を捜索した両さんは、寛永通宝1500枚、江戸関八州の百両金札20枚を見つける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、戸塚金次、インチョキ堂の主人
古い紙幣の話。
部長の持っていた二十円紙幣は、スサノオノミコトとヤマタノオロチが描かれた明治6年発行の旧国立銀行券。
2000万円の価値と知って「フェラーリより高い……」と両さんは驚愕していた。
百円札は2000円の価値、壱円札は600円の価値だった。
古い紙幣や貨幣についての話は、180巻「趣味のお宝探しの巻(コイン編)」、181巻「現金コレクターの巻」でも描かれている。
旧国立銀行券20円【素戔嗚尊と八頭大蛇】 - 日本紙幣サイト (nihonshihei.com)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 180【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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●ハロー・ダーリン♡の巻
ストーリー
マリアの両親、ホンダラ親父と妻の今日子は、街中でもオープンカーのコルベットでイチャつきながらドライブするほどのラブラブさ。
いつの間にか下町支部長にされていた翻堕羅拳の強化合宿に参加することになった両さん。今日子から合宿に遅れる連絡を受けた両さんは、今日子の声を電話越しにMDに録音。
MDを使って再生した今日子の声で、ホンダラ親父にムチャぶりのイタズラを仕掛ける。
主な登場人物
録音した今日子の声でホンダラ親父にイタズラする話。
谷底に落下させたり、火の中に飛び込ませたりと、ヒドい指令を受けた上、今日子に浮気を疑われるのは、ホンダラ親父が可哀そう過ぎる。
前年の1992年に発売されたばかりで、MD(ミニディスク)が最先端のメカだった。
合宿の時には、旅館の電話と公衆電話を使っていて、携帯電話は使っていない。携帯電話が普及して以降では難しい話だ。
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●遠くて近き遠距離通勤!?の巻
ストーリー
署までの2時間半の通勤が遠いからと、家の買い替えを検討している寺井。
新築一戸建てで2500万円という格安物件を情報誌で見つけたので、両さんと見に行くと、そこにいたのは、いつものインチキ不動産屋。
実寸大のプラモデルのような組み立て住宅や、左右の幅が激狭の住宅などを紹介される。
結局、手頃な物件は見つからなかったが、最終的に東北にある100坪の一戸建てを購入。家の隣の中川航空から出ているヘリで通勤することにするが、そのヘリは、大企業のトップや大使館大使、FBI局員、首相といった大物も利用するヘリだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、インチキ不動産屋、屯田五目須(署長)
寺井の家探しの話。
バブルが崩壊した後の地価の下落がようやく落ち着いてきた頃。
寺井のローン計画に、「(給料が)不況で減少する可能性もある」「終身雇用も危ない時代ですよ」とアドバイスする部長と中川。しかし、寺井は警察官で公務員なのだから、当てはまらない気がする。
両さんと寺井は、土地と建物を見に来ただけなのに、プラモの住宅を建てるはめになる。インチキ不動産屋の口車に乗せられているように思える。
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中川の恩師・絵崎教授が初登場する回。
車道楽の人物としての登場ではあったが、その後は車以外にもタイムマシンや透明人間装置などのトンデモ発明家、インテリキャラとして活躍する。
個人的オススメは、大尽寿司の大将と47巻以来の対決を果たす「寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻」。