「こちら葛飾区亀有公園前派出所」85巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1994年2月発売)
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●ハイパー社長!の巻
ストーリー
ハイパー小学生の電極プラスの父・スパークは合理性の固まりで仕事人間。常に何でも計算していたり、新製品の開発で頭がいっぱいだった。
しかし、その影響で息子のプラスも人間的な感情よりも、情報と知識ばかりの性格になっていることを懸念した妻から、普通の父親として息子に接するよう強く言われてしまう。
休日をとり、家族で遊園地に行くスパーク。だが、当日は大事な商談を抱えており、スパークは妻に隠れて部下との通信を試みる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、電極スパーク、電極+、電極-、電極冷
電極スパーク初登場の回。
82巻「ハイパー小学生!?の巻」で両さんはプラスの父と会っているはずなのだが、今回で初対面ということになっている。
電極親子が中心の話なので、両さんたちの出番は少ない。
妻に見つからないようビデオカメラに通信機を内蔵するなど、やっていることはスパイに近い。部下の乗るヘリに光の点滅でモールス信号を送るのは部下も含めて、なかなかの手際。
このとき行った遊園地は「ファニーランド」、キャラクターは「マッキーマウス」。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 82【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●スーパーキャンピングカーの巻
ストーリー
RV車やキャンピングカーが巷ではブーム。そんな中、白鳥麗次はポルシェ純正のキャンピングカーを作らせ、麗子をオートキャンプに誘ってくる。
両さんも対抗して、中川にフェラーリベースのキャンピングカーを作らせ、二組は足柄山のオートキャンプ場へ。
キャンプ場には何もないと思って、途中で米や水、その他、食料を買い込んで向かう両さんたちだったが、近年のオートキャンプ場には電源、トイレ、給水、シャワー、各種売店などがそろっていて驚く。
しかし、自然の中でこそキャンプと、二組はさらに山奥に入っていく。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、白鳥麗次、御所河原組長
スーパーカーベースのキャンピングカーで、オートキャンプに行く話。
白鳥のキャンピングカーはポルシェベースなので、空冷12気筒ツインターボ、512馬力というキャンピングカーらしからぬ仕様だった。ただし、白鳥本人は運転が下手なので、運転手は別に連れてきていた。
御所河原組もオートキャンプ場に来ている。彼らの車は、ロールスロイスをベースにした、日本風の瓦屋根のキャンピングカーだった。
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●新説桃太郎!の巻
ストーリー
部長が孫向けに買った絵本の桃太郎。両さんは桃太郎について、桃から生まれるのは非現実的、桃太郎が中に入っているのに包丁で切るのは困難、イヌ、サル、キジでは兵力として弱すぎると指摘する。
ちょうどボルボも派出所にやってきたので、戦術的に現実的な桃太郎の設定を考える。
ボルボの監修で、両さんの考えた「新桃太郎」は絵本コンクールで入選。出版されてベストセラーとなる。
調子に乗った両さんは、クロコダイルのハードカバーの豪華な50万円の本「桃太郎の謎」を出版する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷
新しい桃太郎を考える話。
ボルボの考案した作戦では、イヌ、サル、キジを1匹ずつではなく、ドーベルマン50頭、ゴリラ30頭、鷹を500羽。手榴弾1000発で夜襲を仕掛け、宝を奪って逃げるというものだった。
桃太郎だけでなくシンデレラについても言及されている。シンデレラは美人だから成り立つ話で、男は美貌に、女は金と権力に目が眩んだ話だと両さんは力説する。
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●ストラディバリ狂騒曲!の巻
ストーリー
バイオリンの巨匠・ガンディーニが初来日。世界ツアーの途中で、日本でのコンサートは一日だけとあり、超満員となるが、ガンディーニはパリにいた頃、5歳から7年間教えていた関係で、麗子に招待チケットを送っていた。
コンサートも、その後の打ち上げパーティーも盛況ながら、ガンディーニは硬い席は苦手なので、身を隠すところはないかと麗子に相談。近いとの理由で浅草の両さんの実家に抜け出し、一夜を過ごすのだった。
翌日、白鳥麗次がストラディバリのバイオリンを持って派出所に現れる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、白鳥麗次、両津銀次、両津よね、ガンディーニ
全体の2/3がバイオリニストで麗子の恩師ガンディーニの話、終盤1/3は白鳥麗次がバイオリンを持ってくる話になっている。
ガンディーニのパートでは、世界的巨匠ながら気さくで、名器ストラディバリも気楽に扱うガンディーニのキャラが描かれていて、笑えるというより良い話。
後の2億円のストラディバリを持ってきた白鳥のパートでは、コメディ感が強くなる。白鳥がストラディバリを持っていたのは、バブルが弾けて抵当として現物支給で会社が入手した品。
ガンディーニについては155巻「スーパーバイオリニスト両津!!の巻」で再登場し、両さんがガンディーニの弟子になる。
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●絵崎教授の乱心の巻
ストーリー
交通安全月間で、米マサチューセッツ工科大学の教授の開発した世界一の安全カーのデモンストレーションが行われる。ところが、やって来たのは仏ソルボンヌ大学にいたはずの絵崎教授。
日米合作の安全カーのデモンストレーションでは、教授自身が運転。助手席の安全性確認のため両さんも同乗させられる。
しかし、運転が下手ですぐにパニックになる教授の運転は大暴走する。
主な登場人物
絵崎教授の開発した安全カーの話。
教授の安全カーは、ドアの開閉、暖気運転もリモコンで可能だが、勝手に発進する欠陥品。エアバックも装備しているものの、時速300キロ以上の衝突でしか作動しない。
フロントガラスは液晶画面になっており、様々なデータを表示する仕様になっているが、電圧が下がると曇りガラスになってしまう。
教授が米国の大学に移っていたことを、教え子の中川も知らなかった。
登場時、絵崎教授はフォードT型で現れる。
この回では、エアバックの衝撃で、メガネのない絵崎教授のレアな素顔が見られる。
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●泳げ!熱帯魚くんの巻
ストーリー
派出所に部長の注文していた熱帯魚フルブルーディスカスが届く。
部長のいない間に、あまり動かないディスカスを両さんが突いていると、熱帯魚がぐったりして死んでしまう。
両さんは部長と長話をしたり、自身の持っていたオモチャの熱帯魚を身代わりにしたりして、必死に時間を稼ぐ。
熱帯魚店で同じ種類の魚を購入しようとするが、ペアで60万円もしてとても手が出せない。
苦し紛れに形の似ているイシダイを魚屋で買い、プラカラーの着色と塩ビキャストで作成したヒレでニセのディスカスを作って、すり替えようと試みる。
主な登場人物
部長の熱帯魚を誤魔化そうとする話。
マニアの友人の影響で、部長は熱帯魚を始めたことになっているが、その後、池の鯉は飼うも部長の熱帯魚の描写はない。
娘の結婚で自由にお金が使えるようになったため、部長が購入したことになっている。
高価な熱帯魚を購入したのは今回が初めてながら、グッピー、ネオンテトラ、エンゼルフィッシュを部長はすでに飼っている。
タイトルの元ネタは大ヒットした歌の「およげ!たいやきくん」。
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●ザリガニ合戦!?の巻
ストーリー
ザリガニがフランス料理の食材として使われており、1キロ700円で売買されていると知って驚く両さん。
子供の頃に散々ザリガニ捕りをしていた両さんは、ザリガニを売って儲けるため、下町のかつて田んぼだった穴場にザリガニ捕りに行くが、どこも巨大なビルに変貌していた。
場所を変え、千葉の田舎で部長たちとザリガニ捕りをし、かなりの大漁の結果。
しかし、バケツ何杯も捕ったにもかかわらず、目当ての高級料理店では店長が不在のため引き取ってもらえず、ニコニコ寮で一晩置いておくことに。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、早乙女リカ、吉原トメ(白浜カトリーヌ)(寮母)
ザリガニ捕りをする話。
懐かしいからという理由で、珍しく部長も同行する。
ある程度、捕ったところで、以前のゴキブリのときのように養殖したらと中川たちに提案されるが、ザリガニは10cmくらいの大きさにするのに3年くらいかかる、と拒否した。ザリガニを飼育したことがあるらしい。
ゴキブリやカラスと同様、「こち亀」に登場する生き物は、人間並みの知能で両さんに仕返しをする。
その辺りが、タイトルの元ネタのサルカニ合戦っぽい。しかし、そんなに賢いならスルメくらいで簡単に釣られないでほしい。
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●ようこそサソリ館へ!!の巻
ストーリー
サソリを飼っていたらアパートを追い出された忍者の小金丸。孫のボルボのところを訪れるが、ボルボもさすがに拒絶。
ちょうどサバイバルゲームの打ち合わせで両さんと中川が訪ねてきたので、一緒に乗せてもらうも、フェラーリの車内でサソリが逃げ出しパニックに。
両さんは何とか得意の口八丁で、ペットOKのアパートでの居住を決めるが、不動産屋からニコニコ寮に戻ると、置いていたサソリのカゴはからっぽに。寮内で50匹を超えるサソリを探すことになる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、西郷小金丸、吉原トメ(白浜カトリーヌ)(寮母)
忍者の小金丸のサソリの話。
ボルボの部屋の窓はカギがかかっておらず、一見不用心に見えるが、ブービートラップが仕掛けられており、不用意に窓を開けるとガトリングガンの連射を喰らうことになる。
サソリのことを訊かれ、ザリガニと誤魔化した小金丸に「食べるとうまいんだよな」と返す両さん。前話から今回の間でザリガニ料理を食べたのかもしれない。
ラストでサソリを探す両さんの姿が、ランニングシャツに短パンの小学生の昆虫採集スタイル。危険なのにわざわざ肌を露出する意味が分からない。
価格:1320円 |
●魔鈍鳴(マドンナ)に続け!の巻
ストーリー
夏になると増えてくる暴走族の取り締まりが最近の課題。取り締まりのための会議をしている派出所に、暴走族以上の爆音を響かせマリアの母・今日子が現れる。マリアを海へのツーリングに誘いに来たのだが、勤務中だったので、今日子は颯爽と消えていく。
港では暴走族のボス・ナイトライダーが暴れていた。両さんたちも現場に向かうが、ナイトライダーは意外に強敵。そんなナイトライダーの前に今日子が再び現れる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、麻里今日子、麻里晩、内戸雷太
マリアの母・今日子と暴走族の話。
ナイトライダー(本名:内戸 雷太 ないと らいた)は愛車のハーレーに魔鈍鳴(マドンナ)号と名付けている。
配下の暴走族ナイトライダーズは、中川の乗ってきたカウンタックに大はしゃぎしていて、ちょっとかわいい。
ナイトライダーは額のタトゥーのスペルを「HELLS」とすべきところを「HELS」としたり、革ジャンの「RIDER」を「LIDER」としたりとスペルミスが多い。
今日子のバイクは夫のホンダラ親父からのバースデープレゼント。しかしながら、ノーヘルで堂々と息子(?)の勤務する派出所を訪れるのは、なかなか豪胆。
価格:2373円 |
●空飛ぶ屋台!?の巻
ストーリー
千葉の高層団地、通称「千葉リーヒルズ」は人口の割りに周りに飲食店が少ないので、商売には狙い目。
高層タワーの上階の住民を狙って、屋台ラーメン屋の石渡と組んで、両さんは熱気球での商売を始める。ラーメンだけでなく、雑誌、おにぎりなども取り扱うようになり、「空飛ぶコンビニ」として繁盛する。
200万円の売り上げとともに江戸川を気球で渡る両さんたちだったが、その日は7月21日。柴又花火大会の日だった。
主な登場人物
熱気球で空飛ぶ屋台をする話。
気球には電話番号が記載されており、そこに高層タワーの住民は電話して注文するシステム。
気球は黒く塗られていて、警察の目から逃れやすいようになっている。
この回は、不況下の経費削減とエコのため、スクリーントーンをまったく使用していない。
いつもトーン使用の警官の制服も、手書きの線で色付けしている。
トーン無しなのに、ラストの見開きの花火は、まったく問題ない迫力。
異世界ラーメン屋台 エルフの食通は『ラメン』が食べたい (PASH!ブックス) [ 森月 真冬 ] 価格:1430円 |
ハイパー小学生・プラスの父、電極スパークがこの巻から登場。
スパークはトンデモ発明する社長として活躍するので、プラス抜きでの単独登場も多いキャラ。
個人的オススメは、童話にリアルさを求める「新説桃太郎!の巻」と、スクリーントーンなしで描かれる「空飛ぶ屋台!?の巻」。
熱帯魚、ザリガニ、サソリと小さい生き物メインの回が、連続で収録されている。
秋本先生の中でちょっとしたブームだったのだろうか?