「キャプテン翼」の世代別日本代表(全日本)メンバーは、無印の「ジュニアユース編」からだいたい同じメンツだ。
しかし、完全に同じメンバーではなく、長い連載の間に新メンバーが何人か加入している。
ところが、「ワールドユース編」の葵新伍以外は、正直あまりメンバーとして定着していない感じがする。
少年ジャンプに連載していた無印、「ワールドユース編」に比べ、以降のシリーズを追っている読者が少なくなっているのが要因のひとつであろうし、既存のキャラの方に読者が愛着を持っているというのも大きな理由のひとつだろう。
以下の記事では、彼らがイマイチ定着できないそれ以外の理由について、キャラごとに考察していこうと思う。
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●赤井止也(ワールドユース編 8巻より登場)
「ワールドユース編」から加入の赤井は、イタリアのサンプドリアに所属。
スウェーデンユース戦のステファン・レヴィンのマークで活躍。
しかし、以降はケガを理由に代表に呼ばれていない。
・番外編からの異色の登場
「キャプテン翼」の登場人物の多くは、主人公・翼のチームメイトか、試合の対戦相手としての登場がほとんどだ。
しかし、赤井はそのどちらでもなく、番外編の読切で初登場という異色の登場だった。
この番外編は、「グーリットへの挑戦 直角フェイント完成への道!の巻」という作品で、オランダ代表、セリエA所属のルート・グーリット(フリット)から葵新伍が直角フェイントのコツを教わるという内容だ。
このとき、コツを覚えた直角フェイントの試し相手として赤井が登場するのだ。
正直、この番外編だけに登場の使い捨てキャラになる可能性も充分あったのだが、翼・若林・葵に次ぐ数少ない海外組ということもあり、その後、正式に日本代表ユースに加入することになる。
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・味方キャラのマークマンは使いどころがない
さて、「ワールドユース編」ではスウェーデン戦で活躍した赤井だが、その後は代表に呼ばれていない。
作中の理由ではケガが原因となっているが、メタ的には彼のプレイスタイルが使いづらいからだろう。
赤井の特技はマンマークだ。
しかし、現実のサッカーではともかく、マンガでは扱いづらい。
なぜなら、ライバルキャラの個性を殺してしまうからだ。
敵の主要キャラ(シュナイダーなど)が、赤井の密着マークでシュート一本も撃てずに終わるなど、マンガとして面白くない。
やはりライバルキャラの魅力を100%描いた上で倒すのが、スポーツマンガとしての王道の展開だと思う。
それにライバルキャラは、翼もしくは因縁のあるキャラとマッチアップさせたい。
そこでも、赤井のマークは邪魔になる。
だから赤井は。その後呼ばれないのだと思う。
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●古川洸太郎(GOLDEN-23 1巻より登場)
●風見新之助(GOLDEN-23 1巻より登場)
古川と風見は、フットサルの代表に選ばれるも、サッカーの道を諦めきれずマドリッドオリンピックの予選に参加。
海外組(翼、日向、若林、葵、赤井)を招集しないオリンピック予選では活躍したが、海外組を含めた本戦では招集されなかった。
なお、彼らにはモデルとされる人物がいる。
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・2人セットで使いづらい
このフットサルコンビが使いづらい理由としては、立花兄弟と同じく2人セットであることだろう。
フィールドプレイヤー10人のうち、2人の枠を使うのは大きい。
しかも、翼、岬、日向、松山、葵といったほぼ固定のメンバーを押しのけるほどの実力がフットサルコンビにあるわけでもない。
古川、風見のどちらかが強力にキャラ立ちしていれば、印象に残ったかもしれない。
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・フットサルテクニックを岬と佐野が覚えてしまう
次にフットサルコンビの出番がなくなった要因は、岬と佐野がフットサルの技術を習得してしまったことである。
サッカーにはないフットサル特有の技術を持っていることが、既存メンバーにない彼ら唯一のアドバンテージだったのに、それがなくなってしまった。
古川もしくは風見にしかできない必殺技がなかったのが、二人の退場の理由だと思う。
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●曽我佑二(GOLDEN-23 2巻より登場)
曽我は五郷工業出身で、ヘディングしか取り柄のない選手だが、単身ブラジルに渡りバスコ・ダ・ガマとプロ契約。
賀茂のオリンピック代表への誘いを受けるも実力不足を理由に辞退。オリンピック予選には出なかった。
しかし、ギリシャ代表との壮行試合(GOLDEN-23 12巻)から何の心境の変化があったのか、しれっと参加している。
五郷工業→ブラジルの経緯、ヘディングが得意なキャラ設定など、モデルは中澤佑二(三郷工業→ブラジル)だと思われる。
・属性がことごとく既存キャラに被っている
さて、フットサルコンビや赤井と異なり、オリンピック本戦の代表に選ばれている曽我だが、今一つ活躍できていない。
その理由は、彼のキャラが既存のキャラと被っているからだと思う。
長身センターバック
→次藤と被る
ヘディングが得意
→井沢と被る
サッカーエリートではないが、ガッツが持ち味
→石崎と被る
→葵と被る
マドリッドオリンピックでは、ドイツ戦で負傷のため、準決勝、決勝で活躍することはないだろうが、以降のシリーズで活躍できるだろうか?
上記を考えると、ちょっと難しい気がする。
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●井川岳人(GOLDEN-23 4巻より登場)
井川は、年齢制限のないフル日本代表のキャプテン・井川隼人の実弟。
天才的な実力を持ちながら、アルゼンチン人の恋人を追ってアルゼンチンに渡航。
賀茂の誘いでオリンピック代表に加入する。
恋人は娘を残して他界。シングルファザー。
・オールマイティ過ぎて突出した特徴がない
井川のプレイスタイルだが、恵まれた身体能力で、曽我に負けない高さ、火野リョーマと互角のパワー、フットサルコンビに匹敵するテクニック、スピードも兼ね備え、GKまでこなせるオールラウンダー。
何でもこなせる井川だが、「キャプテン翼」の世界では、何でもできるキャラより、スカイラブハリケーンや反動蹴速迅砲といった尖った必殺技を持つキャラの方が出番がある。
GKまでこなせることから、交代枠を使い切った後のGKの負傷の場合でもGKができる希少な人材ではある。
ただし、レアケース過ぎて実現する可能性は低い。
尖った個性や必殺技がないことが、井川の存在感の薄さにつながっていると思う。
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・ドラマがもっと掘り下げられていれば…
「キャプテン翼」のキャラでは、身内が出てくるキャラは少ない。
ところが、井川には日本代表の兄、恋人の忘れ形見の娘がいる。
日本代表キャプテンとして活躍する兄へのコンプレックス、娘との父子関係、亡き恋人への想いと、「キャプテン翼」のキャラには珍しく人間ドラマを展開できる設定だ。
このドラマ部分を掘り下げれば、もっと魅力的なキャラになると思うのだが、「GOLDEN-23」「ライジングサン」と、オリンピック予選・本戦と進めていかなければならないので、じっくり掘り下げることができなかったように思う。
「ワールドユース編」の序盤で、葵新伍を主人公にしたストーリーが展開されていたように、井川を主人公にしたストーリーが描かれていれば存在感が増していたはずだ。
この井川も曽我と同様にドイツ戦で負傷のため、オリンピックでの活躍は見込めない。
しかし、今後「ワールドカップ編」など、フル代表世代と絡む機会があれば、兄の井川隼人との絡みがあるので、曽我よりも活躍の可能性を残していると思う。
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以上、五人のキャラを見てきたが、今後のシリーズで活躍する可能性があるのは、
井川 > 曽我 > 赤井 > 古川・風見
の順ではないかと予想している。
井川は兄絡みで、曽我と赤井は、ブラジルリーグやイタリアリーグの状況が描かれる際にちょっと出てくる機会があるのではと思っている。
マンガ連載が終了したものの、今後の「キャプテン翼」がどこまで続くのかは不明だが、彼らが活躍することがあるのか見ていきたい。
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