「こちら葛飾区亀有公園前派出所」94巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1995年8月発売)
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●日本酒密造計画!!の巻
ストーリー
酒屋から3か月分の請求書51万円が送られてきた両さん。酒代を浮かすため、酒を自作することを考える。
前年の米騒動の件で、外国産とのブレンド米が世間では余っていることから、それらを回収し、寮の庭や公園の閉鎖トイレで日本酒の密造を始める。
自分の飲酒用に作り出した日本酒だったが、消費量を上回る生産量になったため、通販での販売を開始。
ほどなく部長に見つかってしまうも、両さんはシラを切り通す。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、白浜カトリーヌ(寮母)
日本酒を密造する話。当然ながら犯罪である。
平成の米騒動により日本は米不足になり、外国から米を輸入した反動で、ブレンド米が当時余っていた。この米騒動については、89巻「1994年米騒動!の巻」で描かれている。
日本酒の密造について問い詰められ「(密造工場跡地にアルコール反応があったのは)『地面にビールを撒く会』の会長をしてるから」という両さんの言い訳や、「きさま! 密造酒販売をしていたな! 『ハイ』と言え!」という部長の強引な取り調べなど、この回のワードセンスはキレキレ。
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●ジョディーは人気英語講師♡の巻
ストーリー
長期休暇で一か月間日本に滞在するジョディーは日本でバイト先を探していた。大学で英文学を専攻していたこともあり、麗子の知り合いのツテで英会話教室の講師となる。
美人のジョディーの効果で生徒数も増え、英会話教室は好調。
しかし、その英会話教室のビルの2階に、サラ金強盗が人質をとって立てこもる事件が発生する。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、ジョディー・爆竜・カレン
米軍人のジョディーが英会話講師になる話。
扉絵の一部や外国人たちの英語のセリフは、英語で記載されており、その日本語訳は欄外に記されている。
日本に来る外国人の態度が大きいことについて両さんは「デーブ・スペクターみたいに喋れる様になってから日本に来い!」「ロイ・ジェームスなど(中略)江戸弁を喋るんだぞ」と力説する。その割に、両さんは世界中どこに行っても日本語で通している。
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●飛べ!跳べ!バンジー!!の巻
ストーリー
日本で8番目のバンジージャンプが東京にオープン。
ジョディーにミートパイ等のレシピを届けに来た爆竜大佐のヘリで、みんなでその遊園地に向かう。
爆竜大佐は、遊園地の射撃ゲームの指導をしたり、勇気が持てずなかなか飛べないバンジーの客をムチで追い立てるなど大暴れ。
両さんは嫌がる本田や部長にもバンジーをやらせようとする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、ボルボ西郷、ジョディー・爆竜・カレン、爆竜大佐
みんなでバンジージャンプをする話。
日本ではメジャーになってきた頃だった。
部長も含め、みんな制服姿(ボルボだけ迷彩服なので非番か?)で勤務中のはずなのだが、部長は何もとがめない。
爆竜大佐の乗ってきたヘリはミル24。ソ連のヘリのはずなので「いつからミル24は米軍ヘリになったんだ!?」とツッコまれる。
両さんは普通のバンジーなど平気だが、アクシデントのせいでロープなしで2回も落ちるはめになる。
価格:2200円 |
価格:4680円 |
●本田の新恋人!?の巻
ストーリー
警視庁第四交通機動隊に入った乙姫菜々のことを気に入った本田。両さんたちの後押しで乙姫に告白した本田は、お付き合いできることに。
見かけによらずバイクの操縦テクニックは得意だが、小柄なため乙姫はバイクの取り回しは苦手。本田はそんな乙姫にバイクの扱いを教えてあげられるので、二人は割りにお似合いだった。
しかし、そんな乙姫が二枚目の男性とフランス料理店で食事をしているところを本田が目撃。男性は定期的に乙姫のアパートに数日泊まっているのだった。
主な登場人物
乙姫菜々の初登場の回。
乙姫はクイーンスターズの一員の21歳という設定。クイーンスターズは実在する警視庁の女性白バイ隊(1991年結成)。
本田はバイクに乗っている時と、通常時で性格が異なるが、乙姫は結構すんなり受け入れてくれる。
乙姫の体重が35キロ、本田の体重が40キロで、二人合わせても両さんの体重より軽いことが明かされる。伝説の暴走族の元・総長が体重40キロしかないことが驚き。
本口リカについては、世界中を飛び回っていて、本田いわく待つのに疲れたとのこと。
警視庁女性白バイ隊 Queen Stars | 警視庁公認 交通安全情報サイト TOKYO SAFETY ACTION
価格:652円 |
●彼女は少女漫画家の巻
ストーリー
乙姫菜々は少女マンガ誌・別冊サファイアで人気の「メヌエット」を連載するマンガ家・愛野神女(あいのみこ)。
妹の影響で少女マンガ通の本田は、乙姫の仕事場を訪れ大感激する。
乙姫の担当編集者・竜千士氷(りゅうせんし ひょう)は爽やかな二枚目の外見で、公私にわたって乙姫をサポートしていた。
少女マンガ家は担当編集者と結婚するケースが多いと聞いて、気が気ではない本田。乙姫は警察の仕事を連日休むようになっていく。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、寺井洋一、乙姫菜々、竜千士氷
乙姫の少女マンガ家の仕事場の話。
前の話で存在だけ確認される編集者の竜千士氷は、この話で初登場となる。
乙姫の仕事場は、締め切り間際に友達のマンガ家に手伝いに来てもらうだけでアシスタントの常駐はない設定だったが、以降の話ではアシスタントがいる描写が多い。
竜千士は乙姫の初代担当で、一度担当を離れた後に戻ってきた形。乙姫担当に復帰する前は「エロス天国」の御下列(おげれつ)エロ吉先生の担当をしており、そのときは白ブリーフを頭にかぶってロウソクを刺し、裸にロープの縛りを入れた恰好で記念写真を撮っていた。
この回から、両さんは両津パトリシア勘子のペンネームで、「ロボ刑事(デカ)番長」を少女マンガ誌に連載することになる。
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●開催決定!?未来博の巻
ストーリー
生活のため様々な資格を持っている両さんは、未来博のパビリオンの建設工事のバイトをしていた。
主催理事は、自分の立像を含めた200mのシンボルタワーを作らせ、マスコミにやたらとアピールをするような人物。
パビリオンの隣にある廃ビルを発破解体することになり、理事がマスコミを呼んで解体の様子を取材させるが、予想外にビルが頑丈で爆破に耐えてしまう。
理事は火薬量を増やすよう指示。現場責任者は危険を理由に断ろうとするが、両さんは理事の希望通りに大量の火薬で再チャレンジする。
主な登場人物
博覧会のパビリオン建設の話。
当時は、予定されていた世界都市博覧会が、青島幸男都知事による中止案で話題になっていた頃。
作中の未来博は9000億円かけて、ゴミの埋立地にビルを建てて開催予定だった。
「企業同士で券を買い取って 内輪でさわいで 税金で経費をおとす気だろ!」
「客が来ても来なくてもいいんだよ! 企業の節税のお祭りみたいなもんだから!」
「いまどき博覧会なんて行きたいか? 何時間も列をつくって まずい食事してよ!」と連載当時から四半世紀以上経過しても通じるようなセリフがある。
博覧会の地盤がとても軟弱というのが、大阪・関西万博を来年に控えた2024年ではちょっと笑えない。
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●スナック菓子通選手権!の巻
ストーリー
両さんは、地方でテスト販売されている限定品を友人に送ってもらい評論するほどのスナック菓子通。
賞金100万円のスナック菓子の知識を問うテレビのクイズ大会があることを知って両さんも出場。
ポテチの割れる音や、パッケージのバーコードのみで商品名を当てるなど難解なクイズが出されるも、出場者は次々と正解を出していく。
ビルの屋上から落としたポテチを拾って食べて、商品名を当てるなど、クイズはより過激な体力勝負になっていく。
主な登場人物
スナック菓子についてのクイズ番組の話。
「○○通選手権」と様々な企画をしていたテレビ番組「TVチャンピオン」が放送されていた頃。
両さんは味オンチと設定されている回もあるが、この回では難しい条件下での複数の缶コーヒーの銘柄を当てており、中川に「犬より嗅ぎ分け能力がありそうだ!」と評される。
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●熾烈!人気アンケートの巻
ストーリー
乙姫菜々と本田の交際は順調。両さんも引き続き「ロボ刑事番長」を少女マンガ誌に連載していた。
乙姫からコミックスの印税収入の額を聞いた両さんは、今の月4ページ掲載ではコミックス発売まで時間がかかると思い、編集部に増ページやコミックスの発売について交渉するが、あえなく断られる。
雑誌内のアンケート1位を取れれば、コミックス発売できると編集長と約束した両さんは、ネットで票集め工作をする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、乙姫菜々、竜千士氷
マンガ雑誌でのアンケートの話。
「彼女は少女漫画家の巻」での「ロボ刑事番長」とは異なり、「ロボ刑事番長」は四コマスタイルに変わっている。
ネットで組織票工作を図るのは当時としては新しい発想。しかし、マンガ研究会などを通して集めたのは550人の票で10万通のアンケートハガキには大きな影響を与えられなかった。
最終的に発売された両さんのコミックスは3000部。売れ行きにかかわらず印税は支払われるはずなので、乙姫と同じコミックス単価と印税率だとすると、390円×10%×3000部=11万7000円が手にした印税。中川の会社の労力の経費に比べると、マイナスが多すぎる。
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●ベーゴマ名人両津!!の巻
ストーリー
「子供と触れ合い」の集会で、両さんは子どもにベーゴマを指導することに。中川や麗子の前で実際にベーゴマを回して見せる。
日本で唯一ベーゴマを製造している日三鋳造所に行き、ベーゴマの製造を見学する。そこで悪ノリした両さんは、中川に頼んで純金のベーゴマを作らせる。
触れ合い集会の当日、純金のベーゴマをかけてのベーゴマ大会となるが、両さんの商品独り占めを懸念した部長が、両さんの子どもの頃のベーゴマのライバル奈義楽(なぎら)を対抗に連れてくる。
主な登場人物
ベーゴマの話。
回し方や製造方法など、かなり詳しくベーゴマについて語られる。
紐の巻き方の「チンコ巻き」「マン○巻き」については男巻き、女巻きと言い換えるように言われてしまう。
この回に登場する日三鋳造所は埼玉県に実在する。
ライバルとして現れる門前仲町の奈義楽(なぎら)は、なぎら健壱が元ネタか。
ベーゴマについて、109巻「ハイテクベーゴマ大ブーム!?の巻」ではベーゴマブームを作り、184巻「下町娘、麗子の巻」では麗子がベーゴマの特訓を受け、191巻「ベーゴマ選手 両さんの巻」ではベーゴマ世界大会が開かれる。
ベーゴマの世界/株式会社日三鋳造所 (beigoma.com)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 109【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
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この巻のオススメはやはり「日本酒密造計画!!の巻」。
そして、この巻から乙姫菜々と、その編集者・竜千士氷が登場。
アグレッシブな女性キャラが多い「こち亀」ヒロインの中では比較的控え目な乙姫だが、美人白バイ隊員、人気少女マンガ家、本田の恋人と、割と役目が多いので、出番もそれなりに多い。