「こちら葛飾区亀有公園前派出所」97巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(1996年3月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 97【電子書籍】[ 秋本治 ] 価格:460円 |
●R・P(ロール・プレイング)パチンコ!?の巻
ストーリー
部長に怒られてパチンコ屋に出入りできなくなった両さんは、通販で3万円もするリアルパチンコゲームを購入する。
釘や玉などパチンコそのものがリアルなだけでなく、他人に良さそうな台を取られたり、トイレに行っている隙に玉の入ったドル箱を奪われたりと、店内の様子もリアルに再現されていた。
ソフトの価格が高く、説明書にも意味ありげな記載があることから、玉を現実に換金できるのではと考えた両さんは、店員や常連客のキャラなどに話しかけ情報収集する。
暗号のような情報を手に入れ、そこからはパチンコゲームからRPGのような展開になっていく。
主な登場人物
リアルなパチンコゲームの話。
換金所にたどり着くには、RPG的な謎解き要素だけでなく、レーシングゲーム、格闘ゲーム、難解なクイズをクリアする必要がある。正直、パチンコ要素よりもそれ以外の要素の方がゲームの容量が大きそう。
換金所にたどり着くと、暗証ナンバーの入った通販カタログをゲーム内で入手でき、その情報を現実のハガキでゲーム会社に送ると商品が届くシステムなので、正確には換金はできない。
価格:1980円 |
●東京カラス事情の巻
ストーリー
近年、増殖している東京のカラスたちは、地下鉄まで乗りこなすように。
両さんたち警察も排除に動くが、賢く、数も多いため大苦戦。
応援として、両さんは上野・浅草の鳩を集めカラスを捕獲しようとするが、より大きな騒動に発展するだけで失敗。
だが、鳩の協力を得て、カラスの拠点の神宮の森を訪れ、ボスのカラスと平和的な話し合いをする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷
大発生したカラスの話。
作中では、1994年から東京都がゴミ袋を黒から半透明にしたので、よりゴミに集まるようになったのではと両さんは推測していた。
カラスが、東京には1万羽以上、神宮の森には4千羽いると作中では言われていた。
鳥目のカラスは夜が弱いので、神宮の森には夜に訪れる。カラスとの通訳に鳩も連れて行っているのだが、両さんたちと同様、鳩も暗視ゴーグルをつけている。鳩用のゴーグルをボルボがどう調達したのかは不明。
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●目指せ!ロボット横綱の巻
ストーリー
ラジコンのロボットに相撲を取らせる「ロボット相撲」に両さんがエントリー。
実際の相撲取り並みに複雑な動きを再現する両さんの「鉄人28ペソ」だが、他の出場者のロボットもさるもので、ロケットパンチのような突っ張りを繰り出す者、アルミボディで軽量化し俊敏な動きをする者と強豪ぞろい。
両さんは、ロボに仕込んだナイフなどの隠し武器をこっそり使うなど、卑怯な手段で勝ち上がる。
主な登場人物
ロボットで相撲を取る大会の話。
ロボットの大きさはGIジョーと組める程度のサイズ。身長とモーターの規制はあるが、重量の規制はないというレギュレーション。コントローラーは有線なので、かなり複雑な動きも可能となっている。
この大会は、国技館で行われるかなり大がかりなもの。
ロボに仕込んだ卑怯な仕掛けが見つかった際、両さんは「誰だ 私を罠にはめた奴は」と最低な言い訳をしていた。
価格:31840円 |
●両さんの就職案内の巻
ストーリー
勤務先が潰れたという中年男性から相談を受けた両さん。両さんの知り合いの会社をいくつか回るが、どこにも採用されない。
就職情報誌やスポーツ新聞での就職情報を探し、昨今の就職事情を両さんたちは知る。
資格や特技は何もないという男性だったが、ソロバンが得意なことからソロバン講師になる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一
中年男性の就職支援をする話。
就職情報誌を見ながら、自分たちの場合をあてはめ、両さんは無限の体力の上、複数の資格を保有し、少女漫画家などもこなしていることから、「日本一つぶしがきく男」と中川に評される。
一万円札のデザインが少し変わったこと(ナンバーが黒→茶色、他)、就職情報の「新団」は「新聞拡張団」(新聞勧誘の仕事)を指していることなど、中川たちに説明しており、この回の両さんは結構博識。
麗子の前髪にちょっと分け目があり、少し印象が変わっている。
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●アフレコ見学会の巻
ストーリー
乙姫菜々の少女マンガ「メヌエット」がアニメ化すると聞き、本田は大興奮。アニメ大ファンの本田は両さんと共に、乙姫たちのアフレコ現場の見学についていく。
本田が収録スタジオに感激している一方、両さんはスタジオに来ていたおもちゃメーカーと「メヌエット」のキャラ商品化の話を勝手に進める。
両さんはスポンサーから裏金を受け取り、アニメ制作会社にムリを言って、商品PRのためにアニメの内容をどんどん変えていく。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、乙姫菜々、竜千士氷
アニメの見学に行く話。
アフレコをしていた会社は「株式会社Tバック」となっているが、元ネタは「株式会社タバック」か。
「メヌエット」は少女モノらしく恋愛マンガなのだが、スポンサーのためにお茶漬けを食べて変身し、巨大変形合体ロボと戦うという内容に、強引に変更させられる。
1994年~1995年のアニメ「赤ずきんチャチャ」は、実際スポンサーの意向でストーリーが原作から大幅に変更になった。
この回で、両さんのマンガ「ロボ刑事番長」もアニメ化される。
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●浅草シネマパラダイスの巻
ストーリー
浅草は明治の頃から映画街。昭和30年代、勘吉たちは映画館オリオン座でよく時代劇を観ていた。
何度も通う勘吉たちは映写室で、映画監督を夢見て映写技師の雑用として働く中学生の星野光と出会う。
光から映画上映の裏側を教えてもらっていた勘吉たちだったが、映写機がコンピュータで自動化されたことにより、映写技師の資格はなくなるのだった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸田豚平、千田珍吉、星野光
映画館の思い出の話。
子供たちがラムネのビンを割ってビー玉を取り出す様子など、当時の映画館の中が描かれる。
二台の映写機で、フィルムを切り替えながら上映(フィルム1巻で13分くらいしかないため)したり、フィルムの配送、フィルムが切れたときの対応など、映写室の様子も描かれる。
当時の思い出がノスタルジックに描かれていて、笑いはほぼない。が、ラストで勝手に派出所を閉めて映画を観に行くのは、さすがに部長激怒案件。
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●年末警備大作戦!!の巻
ストーリー
部長の年末年始の特別警戒についての話を、真面目に聞いていなかった両さんは叱られるが、「金をなくせばいいんです」とムチャな屁理屈を言い出す。すべてを物々交換にする、または紙幣を無くして硬貨だけにすれば大金を奪うことなどできないと力説するが、部長には無視される。
両さんは、パチンコやゲームセンターに制服で出入りするのは、防犯効果を狙ってワザとやっているのだと主張する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人
年末警戒の対策を派出所でする話。
ほとんどが派出所内での会話で構成されている。
防犯用のカラーボールについて、部長は「開発中」として紹介する。両さんは、ボールを投げても当たらないと大笑いするが、カラーボールは足元などに投げて破裂させ、塗料を付着させるので、命中させる必要はない。
防犯のために署員みんな制服で生活をする話は、141巻「新葛飾署制服ラプソディーの巻」にある。
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●焼き物天国(パラダイス)!!の巻
ストーリー
中川のバイオ開発工場でさつまいもが豊作過ぎて困っているという話を聞いた両さんは、焼き芋の販売を始める。
最初はフェラーリF50をベースに焼き芋販売の設備を付けるが、他の露天の商売も強いのを見て、本格的な販売車でお好み焼き、焼きそば、たこ焼き、甘栗などの焼き物の総合販売を始める。
駅前の激戦区でさらに差別化を図る両さんは、ファイヤーダンスのパフォーマンスをして話題性を狙う。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、本田速人
焼き物関連の食品の移動販売をする話。
最初は中川を巻き込んで商売をしていたが、逃げられたため、結局、時給100円で本田を酷使することになる。
フェラーリでの焼き芋販売は、低速での走行が困難だったため途中で断念した。
屋台販売のライバルとなるたこ焼き屋の主人は、強面でカタギには見えない風貌だが、仕事は丁寧で接客は腰が低く、気は優しい。
このたこ焼き屋の主人は、130巻「がんばれたいやきくんの巻」で再登場する。
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●部長の住宅事情の巻
ストーリー
年が明けて数日経ったが、部長が恒例の年始に誘ってくれない。
両さんたちが、部長の家を訪れると、家のすぐそばに駅が立っており、駅前の駐輪場に部長宅は囲まれていた。
駐輪場の大量の自転車に囲まれ、どこから入ったら良いか迷う上、部屋の中でも電車が通ると騒音で会話もままならない。
両さんや中川の勧めで、静かな環境を求め、部長は土地を売って、ビルの屋上に引っ越しをする。ただし、スカイラウンジの上にあるため、ゆっくりと回転をし続けるのだった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、大原良子
部長の家の周りが開発される話。
バブルで都心の再開発が落ち込み、郊外へ開発プロジェクトが移っていったので、部長宅の周囲が開発されたという設定。
部長の家の敷地の上を歩道橋が通っているというムチャな開発になっている。
なお、次に部長宅が登場したときには、元の田舎に戻っている。
スカイラウンジの回転に文句を言う部長に「地球だって55億人乗せて回転してるんですよ!!」と説教する両さん。2022年には80億人に到達したことを考えると、30年足らずで25億人も増えたことになる。
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オススメは「R・P(ロール・プレイング)パチンコ!?の巻」。
相変わらず、「こち亀」に登場するゲームは、本編じゃない部分の自由度がはるかに高い。
2024年になって、マンガ原作ドラマの原作改変が問題になったが、30年前から「アフレコ見学会の巻」のような原作改変がネタになっていたことを見ると、テレビの世界は全然変わっていないのかもしれない。