「こちら葛飾区亀有公園前派出所」149巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2006年4月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 149【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●京都祇園祭旋風の巻(前編)
ストーリー
7月は京都の祇園祭の季節。纏は早矢に実家の京都に来るよう誘われる。ちょうど檸檬が兄の憂鬱の料亭に味の鑑定に行く予定があったので、両さん、檸檬と一緒に京都に向かうことにする。一方、部長も早矢に誘われ、下心満載で部長も京都へ。檸檬が京都に行くことを知った電極プラスも京都行きを決める。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、左近寺竜之介、磯鷲早矢、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都、擬宝珠蜜柑、擬宝珠憂鬱、大原良子、電極スパーク、電極+
祇園祭をテーマにした前後編の前編。といっても、前編はそれぞれの事情で祇園祭に行く一行が、京都に向けて東京を発つところまで。
プラスが檸檬の祇園祭行きの情報をつかんだのは、プラス自身の盗聴ではなく、両さんの会話を集音マイクで拾った父・スパークだった。檸檬に思いを寄せるプラスの行動ならまだ理解できるが、どうしてスパークが両さんの会話盗聴していたのだろうか? 商売の情報収集のためだったのだろうか?
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●京都祇園祭旋風の巻(後編)
ストーリー
京都に着いた纏は両さん、檸檬と別れ、早矢と合流。早矢の実家の道場で長刀勝負をする。檸檬たちは、憂鬱の店を訪れ味の鑑定。相変わらず自意識過剰な憂鬱に「集中出来ていない」とダメ出しをする。多忙なスケジュールを調整し、京都に着いたプラスは、祇園祭のたくさんの人出で迷子になるも、無事に檸檬と合流するのだった。一方、早矢との二人きりの祇園祭を妄想し、山形出張と奥さんにウソをついていた部長は、女友達と旅行に来ていた奥さんと鉢合わせしてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、磯鷲早矢、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠憂鬱、大原良子、電極+、磯鷲剣之介
祇園祭をテーマにした前後編の後編。山鉾巡行の様子は見開きページで大きく描かれている。
女性から好意を持たれているとすぐに思い違いをしてしまう兄・憂鬱に対し、妹・檸檬は「ゆううつはすぐ落ち込む割に自意識過剰じゃ 初(うぶ)じゃからのう」と幼稚園児らしからぬ論評をしている。
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●祇園祭始末記の巻
ストーリー
祇園祭の翌日、纏は磯鷲家の巨大過ぎる屋敷で目を覚ます。纏は剣之介の過剰な圧迫に恐縮しながら磯鷲家で過ごすのだった。一方の早矢は、昨日遭遇した部長の奥さんとその友人たちを連れて京都観光をしていた。両さんは纏と、檸檬はプラスと、部長は一人で、部長の奥さんは友人と、早矢は磯鷲道場の一行と、それぞれ新幹線に乗り込むと偶然にも、みんなが乗ったのは同じ新幹線だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、磯鷲早矢、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠憂鬱、擬宝珠夏春都、大原良子、電極+、電極スパーク、磯鷲剣之介
祇園祭を終えて帰りの新幹線までの話。「京都祇園祭旋風の巻」の前後編と合わせて実質三話構成になっている。帰りの新幹線のシーンの4ページは、上下5段のコマ割りになっていて、新幹線に乗った5組の動向を横方向に読み進めていくという変則的なコマ割り。
磯鷲道場の一行が新幹線の一車両丸々を貸し切っているのは分かるのだが、座席を取っ払って、畳を敷き詰め、「弱冷房車」と書かれた掛け軸を床の間に飾るという謎の改造を施している。
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●男のサンバカーニバルの巻
ストーリー
署内の道場で両さんたちが剣道の稽古をしようとすると、浅草サンバカーニバルのための練習をしている婦警たちに場所を占拠されてしまう。両さんは仕返しのため、男だけのサンバチームを結成。サンバカーニバルの審査員を地元の友人で固め、優勝を狙う。しかし、両さんの狙いに勘付いた婦警たちは、中川に相談。中川がサンバカーニバルのスポンサーになることで、審査員を総入れ替えする。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、擬宝珠纏、麻里愛、ボルボ西郷、左近寺竜之介、早乙女リカ
両さんたちが男女それぞれのチームで浅草サンバカーニバルに挑む話。相変わらず署内の男子剣道部の地位は低い。設定上、両さんたちが参加したのは2005年の第25回浅草サンバカーニバル。
両さんが仕込んだ審査員の面子は、両さん本人の他、なぎら一郎、森コブ平、泉あさを、だった。(元ネタはなぎら健壱? 林家こぶ平? 泉麻人?)
95巻での浅草サンバカーニバルでは、婦警は出場を嫌がる設定だった。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 95【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●バカンスは納涼船での巻
ストーリー
絵崎教授が新しい船を作ったとの報せから、みんなで乗りに行くことに。近くの川に行くと、教授の船は屋形船。しかし、乗り込むと屋形船とは思えないスピードアップをし、翼とプロペラが現れ、空に飛びだす。屋形船の恰好をした飛行艇だったのだ。そのままマーシャル諸島にバカンスに行く一行。だが、そこには爆竜大佐の大隊が軍事演習に来ていた。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、麻里愛、絵崎コロ助、爆竜大佐
屋形船から発想した飛行艇でバカンスに行く話。中には囲炉裏を囲む座敷や、500人の宴会ができる畳の大広間、舞妓姿のフライトアテンダントと、和洋折衷の設備だった。
飛行艇や、ヘリ(ブラックホーク)の大群が、見開きページの大迫力で描かれるが、秋本先生がこの絵を描きたかっただけの話なのでは、と邪推してしまう。
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●めざせ!!独立時計師の巻
ストーリー
機械式の腕時計の故障を難なく直してしまう器用な両さん。中川から数千万円から億単位の高級時計の世界を聞き、独立時計師を目指してスイスの時計学校に入学する。しかし、手先は器用でも、構造が緻密過ぎて複雑な計算が必要になると、そこは両さんの苦手分野。さらにオリジナルのアイデアも、同じ発想はすでに存在していて、なかなか上手くいかない。何とかオリジナル時計を開発し、強引にワールドウォッチショーに自分のスペースを作って販売を開始すると、予想外の注文が。前金で大量の注文を受けるが、一生かかっても手作りできない量だった。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都
スイスの時計学校に入学し、独立時計師を目指す話。最終的には1500本もの注文を受けることになってしまう。
話のとっかかりとして中川の腕時計が紹介されるが、7000万円のドゥ・ベトゥーン、1億9000万円のブレゲNo.5といった高級品。中川は派出所のロッカーにブレゲを無造作に置いている。
時計学校に行くため、警察官を半年間有休で休む両さんだったが、そんなに長期有休がとれるとはとても思えない。
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●浮世絵繁盛記の巻
ストーリー
派出所で浮世絵の話題になり、両さんは実家の押し入れに北斎などの浮世絵があったのではと思い出す。しかし、鑑定してもらうと残念ながらすべて贋作。同時に両さんの実家から版画の原版も出てきたので、親戚の浮世絵刷り師に刷らせてみる。ところが、江戸時代の原版で刷っても新作は高く売れない。そこで、両さんが現代風の原版を彫り、刷り師の彦左衛門が刷ると大反響を呼び、そのキャラを使ったハリウッドでのアニメ化が決まる。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、両津よね、両津彦左衛門
浮世絵の話。美術にまったく関心のない両さんだが、浮世絵については、ふりかけの袋になってたり、集めてた切手の絵柄に使用されていたりして、見覚えはあった。
両さんの親戚、両津彦左衛門は98歳になる有名な人間国宝の浮世絵刷り師なのだが、両さんに酷使されてしまう。彦左衛門は800枚刷ったところでダウンした一方、両さんは28000枚という驚異の枚数の原版を彫っていた。(アニメにするには10万枚必要だった)
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●次世代モーターカーバトル!!の巻
ストーリー
中川の会社で最高速度400km/h、八駆のモーターカーが開発され、モーターショーで発表される。だが、その会場では電極スパークの会社のモーターカーも出展されており、どちらが優れているか勝負することに。勝負は、1回の充電での最大走行距離の長さで競うルール。両さんは中川の車のドライバーとなり、節電しながら走行する。カーナビ、エアコンだけでなく、ヘッドライトやウインカーまでケチりながらの走行となる。
主な登場人物
モーターカー(電気自動車)での勝負の話。話の導入では、慶應大学を中心とした企業グループが開発し、最高速度370km/hを記録した(2004年)電気自動車「エリーカ」の話題が出されている。
両さんのナビシートには中川が同乗することになるが、節電しながらの長距離勝負なら、同乗者が少ない方が有利な気がする。
172巻「電気自動車屋の巻」でも電気自動車はネタになっている。
こちら葛飾区亀有公園前派出所 172【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●タイムカプセルに賭けろ!!の巻
ストーリー
卒業記念でタイムカプセルを埋めるのがブーム。派出所のメンバーも10年後の自分にメッセージを書いて、タイムカプセルに埋めることに。派出所の裏にタイムカプセルを埋めようとするが、地表のすぐ下は緊急用の地下シェルターになっているため埋めることができない。他の土地も道路拡張や地下鉄の予定地になっていてダメ。区の公園に埋めることになるが、後日、誤って部長の書類も一緒に埋めてしまったことが判明。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、麻里愛
タイムカプセルを埋める話。(2005年から)10年後の自分へのメッセージを両さんが考えるが、なぜか思い浮かぶのは10年後の少年ジャンプの未来像ばかり。10年後に膨大な厚さになるとか、DVDがついていたりとか、フリーペーパー化するとか想像するも、実際には現実化はしなかった。さすがの秋本先生も、将来「ジャンプ+」というスマホアプリができることは、この時点で予想できていなかった。
浅草神社に「こち亀」のタイムカプセルを実際に埋めたことについても言及されている。
村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992 [ 加藤 典洋 ]
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「京都祇園祭旋風の巻(前・後編)」「祇園祭始末記の巻」と祇園祭だけで3話掲載されている巻。
「めざせ!!独立時計師の巻」では高級腕時計、「浮世絵繁盛記の巻」では人間国宝の刷り師と浮世絵の作成と、特殊な技能で大儲けしようとする巻でもある。
さらには「次世代モーターカーバトル!!の巻」では電気自動車と、マニアックな題材が多彩。