「こちら葛飾区亀有公園前派出所」154巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2007年4月発売)
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こちら葛飾区亀有公園前派出所 154【電子書籍】[ 秋本治 ]
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●おとり捜査協奏曲の巻
ストーリー
両さんが警視庁の捜査八課でネット犯罪の捜査の助っ人に。ネット上でおとり捜査員として、大麻の売人と受け渡しの連絡をつける。しかし、サーバの回線に混乱が起きてしまい、両さんたちを含め、IT会社と政治家の裏金取引、大学の裏口入学、サラ金の取り立て、萌えフィギュアの人目を避けた売買の五組に、同じ受け渡し場所と日時の連絡が行ってしまう。本庁の捜査員も潜んでいる港の倉庫には、取引をしに五組が現れる。
主な登場人物
おとり捜査の取引現場に無関係の取引が4組来てしまう話。混乱が起きた原因は、サーバの配線が一時的に外れてしまったからという何だかアナログっぽい理由。取引に現れた人物のキャラ名が適当で、大麻の売人が歯支支乱離介(はっしっしらりすけ)、政治家が腹賀黒井田郎(はらがくろいだろう)、裏口入学を受け入れる大学教授が浦口通(うらぐちとおる)、サラ金の借金男は写金雪達磨ノ介(しゃっきんゆきだるまのすけ)、萌えフィギュアを買う医者が露里萌吉(ろりもえきち)。
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●よみがえれ!! 鉄魂(テツだましい)!!の巻
ストーリー
両さんが自宅に置いていたNゲージのセットが超神田寿司に届く。両さんは、蜜柑を喜ばせる目的で久々に線路を組んでいく。しかし、部屋中に線路を敷いてしまい、夏春都が旅行から戻れば怒られてしまうと考えた両さんは、線路の隠し場所も兼ねて本店と秋葉原店を地下鉄でつなぐ計画を実施。Nゲージの車両で寿司を運ぶことができることから、常連客の職場等と地下路線をつなぎ、地下鉄で寿司を届けるサービスを始める。
主な登場人物
Nゲージの地下路線を作り寿司の配達をする話。許可なく地下路線をつなぐのは当然違法だが、ひと気のない夜中に勝手に工事を実施する。
鉄オタの種類を纏に説明するため、「インドア派」「アウトドア派」、「乗り鉄」「撮り鉄」などの種類が「鉄」分濃度ごとに分類された表が掲載されている。
この回では、寿司屋や警官の制服姿ではない、纏の私服姿が数パターン見られ、珍しくスカート姿もある。
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Nゲージで愉しむ新幹線 模型でたどる新幹線の歴史と現在【電子書籍】[ イカロス出版 ]
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●東京中に都電のいた頃の巻(前編)
ストーリー
昭和40年代、勘吉たちは遠出に都電を利用していた。鉄道に詳しい珍吉の発案で、夏休みの自由研究として「都電全路線乗りつぶし」を勘吉、珍吉、豚平の三人で行う計画を立てる。三人がかりで手分けするにしても、41路線を全部制覇するにはお金がかかる。都電が乗り放題になる都民の日(10月1日)まで自由研究の締め切りを伸ばしてもらうよう、鉄道マニアの先生を説得。大阪から転校してきた同じく鉄道好きの鉄男も仲間に加え、都電乗りつぶし計画を煮詰めていく。
主な登場人物
両津勘吉、戸田豚平、千田珍吉、国井鉄男
都電の思い出の話。勝鬨橋を通過の際に、隅田川に船が通ると、電車が止められ橋が上がり窓から砂ぼこりが入ってくるといった当時の都電の様子が描かれている。
東京都が販売するカッパのバッジを付けていれば、都民の日に都の営業する上野動物園や都電が全部タダになるが、現在は販売されていない。
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東京オリンピック時代の都電と街角【電子書籍】[ 小川峯生 ]
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●東京中に都電のいた頃の巻(後編)
ストーリー
都民の日(10月1日)に自由研究のため、「都電全路線乗りつぶし」を計画していた勘吉たちに飛び込んできたのは、東京都が路面電車を全面廃止にするというニュースだった。廃止が決定になったとはいえ、すぐに廃線になるわけではないので、勘吉たちは計画を実行。カッパのバッジを胸に、四人で手分けして全路線制覇を試みる。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、戸田豚平、千田珍吉、国井鉄男
前回に続いての都電の話。この後編の前半部は昭和42年(1967年)の両さんの少年時代の思い出だが、後半部は現代の両さんが中川と麗子に思い出話を聞かせている構成になっている。
都電は現在、荒川線(東京さくらトラム)のみ残っている。
連載当時、当時から約40年が経過していることになっているが、鉄男と父は当時の6000系車両を再生している。40年ということは鉄男と両さんは50代、父はそれより上だが、とてもそんな年齢には見えない。
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●デジタルなんて大嫌い!!の巻
ストーリー
両さんの始末書が3万枚を突破。一方、部長は孫の大介の偏差値が上がらないと悩んでいた。この様子に両さんは、世間は数字に縛られ過ぎている、もっと大雑把で良いと主張。派出所内でカレンダーも時計も使わない数字のない生活を提案する。世の中から数字など抹消すべきだ、と声高に叫ぶ両さんに給料日がやってきてしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、本田速人、屯田五目須(署長)
数字のない生活をする話。出前の支払いの金額も財布から手づかみでこれくらい、と数字を使わず支払う。江戸時代のような大雑把な生活が望ましいと主張し、「外国などイエスかノーかはっきりしすぎ」「日本の様に人間らしくグレーであいまいにしないと」と語る両さんだが、別の回では日本人は外国のようにはっきり主張すべき、と言っていた気がする。
ラストでは犯人逮捕に貢献したとして、中川と麗子に高級車か世界一周の旅が数字の金額ではない給料として与えられるが、どこからそんな予算が出ているのか謎。
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部下には数字で指示を出せ 儲ける課長の会計力【電子書籍】[ 望月実 ]
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●超セレブ警官麗子の巻
ストーリー
麗子に「人物探訪」というテレビ取材の話が来る。美人だし警察のイメージアップになると喜ぶ署長と部長だったが、両さんは逆に叩かれるのではと懸念を示す。理由は庶民離れしたセレブだからだ。両さんのプロデュースにより、セレブ感をなくした野暮ったい見た目、自転車通勤、スーパーの特売に必死になり、ボロボロの長屋に住んでいる設定の麗子が出来上がってしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、屯田五目須(署長)
麗子からセレブ感をなくすべく両さんがプロデュースする話。実際の麗子は、ポルシェカレラGTで通勤し、ガレージには100台の名車(計150億円)、港区元麻布の自宅は1500坪総額1000億円、年商5兆円で時給一億円の社長とめちゃくちゃハイソ。
オチでは、激怒とともに武装ヘリで撃ちまくり両さんを追い詰めるといういつも部長がやっているような役割を麗子がやっている。
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●部長ハリケーンの巻
ストーリー
部長の誕生日のプレゼントに悩む両さん、中川、麗子。アメリカで気象観測のスポンサーになって、低気圧に名前を付けられることから、中川の提案で「大原大次郎低気圧」の名前の権利を購入。アメリカの天気予報で自分の名前が呼ばれることに喜ぶ部長。しかし、「大原大次郎低気圧」はアメリカの方から地球を半周して、日本に近づいてくる。部長のついでに名前の権利を購入した「両津低気圧」も日本に近づき、二つの低気圧は大型台風に変化してしまう。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、寺井洋一、麻里愛、本田速人、御堂春、芦原レイ、浪花署長、彦兵衛
誕生日プレゼントに低気圧に部長の名前を付けるが、それが大型台風になって日本に上陸してしまう話。被害が拡大する前に中川コンツェルンの総力を挙げて低気圧を消滅させようとするも、まったく効果がなく、日本に多大な被害を与えてしまう。「大原大次郎低気圧」とフルネームを付けているが、「両津低気圧」はなぜかフルネームではない。
物語冒頭では、誕生日プレゼントの相談のため、両さん、中川、麗子が高層ビルの屋上にヘリで集まるが、強風によりヘリが衝突して爆発してしまう。後半の台風のフリになっているのではと思われる。
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月間100万人利用アプリ! 頭痛ーるが贈る しんどい低気圧とのつきあいかた【電子書籍】[ 頭痛ーる編集部 ]
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●球場(スタジアム)ビール戦争の巻
ストーリー
お金が欲しいボルボと左近寺は、両さんと一緒に中川のビール会社で、野球場のビール販売員のバイトを始める。体力任せに巨大なビールタンクを背負い、一塁側と三塁側の両方で盛り上がっている方を節操なく縦横無尽に移動。両さんの盛り上げトークでビールの売り上げを増やす。好調ながら、より効率良く儲けるためにタンクとビールを横領し、サッカー場で勝手に販売。それでもビールの消費量で、横領がバレることを懸念した両さんは、ビール、日本酒、ワインなどを密造し、無許可での販売を開始する。
主な登場人物
野球場でビール販売員のバイトをする話。ナカガワビールは後発メーカーという設定だが、先行している大手の名前は「ギリン」「サッポン」「ヨントリー」「ユウヒ」となっている。また、ライバル社の人気のビール売り子として、ヘビちゃんこと蛇原由衣(へびはらゆい)というキャラが登場するが、元ネタはモデルの蛯原友里。
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デジタル原色美女図鑑 球場のアイドル ビールの売り子たち【電子書籍】
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●線路は続くよ!どこまでも!?の巻
ストーリー
都電に勤める幼馴染の鉄男と、明治時代の都電の車両を再現しようと試みる両さん。そんな両さんたちの元に中川が持ってきたのは、都電荒川線と相互乗り入れする中川の会社の路面電車の話だった。荒川線の早稲田から渋谷を両さんたちの再現した電車が通り評判に。さらに両さんのごり押しで路線は亀有、六本木にも延長。両さんは中川だけでなく、関係各所に直談判し、東京メトロやJR山手線にも都電をつなげていく。
主な登場人物
都電を東京の各所に広げていく話。「東京中に都電のいた頃の巻」に登場した鉄男が再登場し、両さんの広げた路線の運転手として活躍する。最終的には、都内を飛び出し千葉の「ねずらんど」まで路線を伸ばそうとするが、らんど側の許可が下りなかった。鉄男は両さんの幼馴染らしく、一緒になって計画に協力している。
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一度は乗りたい絶景路線 カラー版 (平凡社新書) [ 野田隆 ]
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「よみがえれ!! 鉄魂!!の巻」「東京中に都電のいた頃の巻(前・後編)」「線路は続くよ!どこまでも!?の巻」と鉄道関連の話が4話も収録され、「鉄」分濃度の高い巻。
「よみがえれ!! 鉄魂!!の巻」に掲載された鉄オタの分類図は、ネット上で参照されていることもしばしば。
個人的なオススメは、大麻の取引現場が混乱する「おとり捜査協奏曲の巻」と、部長と両さんの名前の台風が大暴れし、ニュースを見ながら一同が頭を抱える「部長ハリケーンの巻」。
巻頭の3コマ漫画劇場は、麗子のエロ画を描く話。