「こちら葛飾区亀有公園前派出所」177巻の収録全話のあらすじを紹介していく。
(2011年12月発売)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 177【電子書籍】[ 秋本治 ]
|
●溶接隊長の巻
ストーリー
様々な溶接資格を保有し、技術と知識を持っている両さんは、溶接を教えることもあった。座礁したタンカーが放置されているニュースを見た両さんは、爆竜大佐にタンカーを日本まで曳航してもらい、解体して鉄の状態にできれば中川の製鉄所で買い取ってもらう約束を取りつける。労働者を雇い巨大なタンカーの解体をしていくが、あらかた解体したところで鉄材を盗まれてしまう。
主な登場人物
巨大タンカーを解体する話。鉄材に解体すれば2億円で買い取ってもらう話をつけるが、盗まれてしまう。盗んだ悪徳企業(ビルに「悪」と書かれたあからさまな悪徳企業)に、両さん自ら「溶接仮面」として成敗しにいく展開となる。溶接の技術を教えているときの両さんは繊細で丁寧だが、教え子からは「期限切れの弁当は平気で食べるのに」と言われてしまう。
|
●カメレオンボールの巻
ストーリー
絵崎教授から透明人間になれる装置を開発したので、両さんを実験台の第一号にしてやると連絡が来る。絵崎教授の開発した装置は、有機ELディスプレイを全面に取り付けた球体をしており、球体の反対側の映像を表面に映すことで、透明に見える装置だった。カメレオンボールに入って透明人間の気分を味わう両さんは、街中を歩き回る。
主な登場人物
透明人間のようになれるカメレオンボールの話。有機ELディスプレイで反対側の映像を映すだけでなく、表面が硬質ゴムなので転がっても音がしない。ディスプレイは外装だけでなく内装にも貼ってあるので、中に入っても外の様子は見える。両さんは「正しい透明人間の気分を味わうには真っ裸でないと」とボール内で、必要もないのに全裸になる。
過去に63巻「想像力漫画の巻」で両さんは実際に透明人間になったことがある。
|
●亀有クリーン大作戦の巻
ストーリー
新葛飾署が行う街中の清掃活動に両さんは不平不満を言う。パリでは乗り物を使った清掃を行っている事例があり、中川の会社で輸入した掃除マシンを導入。両さんは中川から掃除マシンを買い取ると、自律運転できるように改造、無人で掃除できるシステムを構築する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、ボルボ西郷、左近寺竜之介、屯田五目須(署長)
街中の掃除をする掃除マシンの話。人が乗って操縦するタイプだったのが、途中からは無人走行できるように改造される。物語の冒頭、街中の清掃活動をする両さんと中川はなぜか「レレレのおじさん」スタイルの着物姿。中川の着物の帯の位置が高すぎたり低すぎたりして、両さんにツッコまれる。
さよなら合成洗剤 もうひとつのクリーン作戦【電子書籍】[ 高木常弘 ]
|
●ご金魚物語の巻
ストーリー
お祭りの金魚すくいで獲った金魚の元気がないと檸檬に相談を受けた両さん。以前に鯉を飼っていた経験から、金魚の水槽の環境を整える。アクアショップから金魚には愛好家がいて金になると聞かされた両さんは、金魚のプロデュースを始める。「スイミー」「忠犬ハチ公」「スターウォーズ」「けいおん」を合わせたようなストーリーの金魚のアニメ映画とそのキャラクタービジネスを展開する。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都、擬宝珠桔梗、擬宝珠蜜柑
金魚のプロデュースをする話。両さん自身が金魚を飼育して販売するのではなく、アニメ化や実写ドラマ化して金魚の人気を上げるようにしていく。金魚の歴史についても語られる回。
|
●パワフル立石の巻
ストーリー
チェスの勝負で両さんに負けた中川は、酒をおごることに。超高層ビルのバーのカクテルの高額さに両さんは呆気にとられる。後日、今度はチェスで中川が勝利。両さんが中川を連れて行ったのは立石の「呑んべ横丁」だった。立石の飲み屋の風習に今度は中川が驚かされる。
主な登場人物
前半は中川が両さんを飲みに連れていき、後半は両さんが中川を連れていく話。両さんと中川の勝負なのに、飲みにはどちらも麗子がついてくる。得意のチェスで敗れた中川は大いに取り乱す。ただ敗因は実力ではなく、「待った」を百回かけたり、見てないところでコマをズラしたりと、通常ではない対戦で神経をすり減らされたためだった。
立石には両さんの行きつけの店だけでなく、電極プラスら小学生の行きつけの「子ども呑んべ横丁」があった。
|
●次世代車発表の巻
ストーリー
両さんは圧縮空気で走るスクーターを開発。タービン方式でターボをつけたスクーターは、ガソリンエンジンのような重い機構を持たないため軽量で意外にも高スピード。走行テストでスピード違反をして捕まるが、そのことがかえって世間の注目を集める。関連の特許を登録し、両さんの発明した圧縮空気エンジンは、世界中の企業からオファーを受ける。
主な登場人物
両津勘吉、大原大次郎(部長)、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、凄苦残念(法条正義)、丸井ヤング館(寺井洋一)、屯田五目須(署長)、擬宝珠纏、擬宝珠檸檬、擬宝珠夏春都
圧縮空気エンジンを発明する話。最初は電気スクーターの開発をしていたが、バッテリーの高価さや使用済み電池の廃棄問題から空気エンジンの発想に至った。最終的には、警察のイメージが悪くなるとの理由で、部長、署長、中川らが両さんの計画を阻止する形になるが、大発明をした両さんが相応の報酬を受け取るのは当然だと思う。
2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路【電子書籍】[ 田中道昭 ]
|
●蜜柑とメダカの巻
ストーリー
散歩中に不忍池のメダカを気に入った蜜柑のために、メダカをすくって持ち帰った両さん。後日、観賞用のメダカが販売されていると中川に聞いた両さんは、メダカを購入して繁殖を開始。しかし、メダカは容易に増えるものの、高値のつくメダカの生産は偶然の要素が大きく、商売にすることはできなかった。
主な登場人物
両津勘吉、中川圭一、秋本カトリーヌ麗子、凄苦残念(法条正義)、屯田五目須(署長)、擬宝珠檸檬、擬宝珠蜜柑、擬宝珠夏春都
メダカの飼育をする回。こういうパターンの話だと、一度は成功するも大失敗で大損するオチとか、繁殖し過ぎでパニックを起こすオチとかが多い。だが、この回については、商売としては成功しなかったが、ちょっと良い話で終わる。
プロ直伝!メダカの飼い方 繁殖&交配ガイド【電子書籍】[ 水谷正一 ]
|
●わしらカセット世代の巻
ストーリー
本田の実家から昔のカセットテープが出てきたことから、両さんとラジカセの思い出話に。新葛飾署の新人・裸地雄 枷人(らじお かせっと、あだ名:片山)はラジカセを収集していた。ワンルームのマンションの中には、壁四面と天井にびっしりとラジカセが収納されていた。収集された中に、カセット部が三連のトリプルラジカセ、テレビ付きのラジカセ(ラテカセ)、巨大ラジカセと、珍品のラジカセもたくさんあった。
主な登場人物
ラジカセの思い出を語る回。エンピツでカセットテープを巻く、オートリバース機能が付く前は60分(60分テープだと30分)おきに裏返さないとラジオ番組が録音できない、タイマーを12時間制と24時間制とを間違えて別な番組を録音する、といったラジカセあるあるが語られる。オープンリールから始まったラジカセの歴史についても紹介される。
ラジカセのデザイン! 増補改訂版【電子書籍】[ 松崎順一 ]
|
●両津LCCの巻
ストーリー
東京-大阪の間を500円で就航するLCCの存在に驚くと、そこは祖父・勘兵衛の会社だった。500円はPRのためで赤字覚悟だと語る勘兵衛に、両さんは空港を使わなければ採算が取れるのではと提案。関西にある中川の関連会社の駐車場や用水路、ゴルフ場を勝手に着陸場所とするが、中川もさすがに怒って、両さんのLCCを立入禁止に。あの手この手で、格安路線を維持しようとする両さんだったが、通天閣署も同じ商売をしていた。
主な登場人物
両さんがLCC(格安航空会社)を経営する話。乗客には作業服を着せ、旅客機ではなく貨物機の扱いにする、客室から座席を撤去し180人乗りを400人の立ち乗りにする、着陸せず乗客にはパラシュートで降下してもらうなど、ムチャなやり方で勘兵衛さえも呆れさせる。
|
「次世代車発表の巻」は両さんの発明品が世界的な注目を浴びる話。
世界の自動車事情を変える驚異の発明品だったが、その特許をタダで公開するためになってしまった。
その発明で、ノーベル賞候補になるか、と新聞記事になっていたが、受賞に至ったかどうかまでは作中に描かれていなかった。
「カメレオンボールの巻」「亀有クリーン大作戦の巻」と発明に関連した話も多い巻だが、「ご金魚物語の巻」では金魚、「蜜柑とメダカの巻」ではメダカを飼育する小型魚類の巻でもある。