「なにィ」は、「キャプテン翼」で頻繁に使用される感嘆のセリフである。
シュートと見せかけパスを選択し、意表を突かれた際には「なにィ」。
試合に負けたら、全裸でピコ太郎のPPAPを踊ることを条件に出され「なにィ」。
対戦相手が全員、チームおそろいのハチマキを着用しているのを見て「なにィ」。
この「キャプテン翼」を代表する表現の「なにィ」だが、一時期だけなぜか漢字表記の「何ィ」に変わっていたことがあるのだ。
それも漢字の母国、中国と対戦していた間だけ、「何ィ」が使われていたのである。
その「何ィ」が使われている様子を以下に示してみる。
「何ィ」が登場するのは、1994年~1997年の間、少年ジャンプで連載されていた19歳以下の世界一を決める大会を描く「ワールドユース編」。
まず、中国ユース戦が始まる9巻について。
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9巻の序盤は、サウジアラビアユースとの戦いの試合終了間際の攻防から始まるのだが、そこで使われているのは終始「なにィ」。
その後、日向小次郎の母の入院、葵新伍の中国ユースの偵察と話は続くが、そこでも使われるのはずっと「なにィ」。
そして、中国ユースとの試合が始まり、中国ユースの”センタリング・マシーン”王忠明が絶妙な個人技で石崎了を抜いた際に、石崎が初めて「何ィ」を発する。
続いて、”怪鳥”飛翔のヘディングシュートを、負傷でパンチングしかできないハズの両手でキャッチした若林源三のプレーに飛翔が「何ィ」。
だが、これで「何ィ」に切り替わったのかと思いきや、緩急をつけたドリブルで再び石崎を抜いた王忠明のプレーに対しては、なぜか「なにィ」が使われている。
さらに再びキャッチングした若林のプレーに対しても「なにィ」。
王忠明が石崎を抜くプレー、飛翔のヘディングをキャッチングする若林のプレーで、
「何ィ」と「なにィ」が一回ずつ使用された形になる。
「何ィ」と「なにィ」が混然とした中、パスをブロックされたのに、咄嗟にオーバーヘッドで別方向のパスに切り替えた大空翼のプレーで「何ィ」が出たところで9巻は終わる。
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続いて10巻。
10巻はずっと中国ユース戦が描かれているのだが、
「何ィ」が7回、「なにィ」が3回と、圧倒的に「何ィ」の方が使用回数が多い。
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そして、中国ユース戦との決着が描かれる11巻。
中国ユースとの試合の間では、「何ィ」が3回、「なにィ」が2回、それぞれ使われるのだが、中国ユースとの試合が終わって以降は、ずっと「なにィ」しか使われていない。
なぜ中国ユースとの試合の間だけ、「何ィ」が使われていたのかは不明。
中国が相手だったからなのか、たまたまその時の担当の編集者が漢字を使う傾向にあったからなのか、その理由は分からない。
中国ユースとの試合の間も、「何ィ」に紛れるように「なにィ」も併用されているので、完全に切り替わっているわけでもない。
もし理由を知っている人がいたら教えて欲しいものである。
ちなみに最新刊でも、「なにィ」は使われているが、「何ィ」はまったく使われていない。
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ところで、「なにィ」ほどではないが、「キャプテン翼」の作中で良く出て来るセリフとして、誰かの説明ゼリフに賛同した時に使われる「たしかに」が挙げられる。
もしかしたら、誰かの発言に驚いたときには「なにィ」、賛同した時には「たしかに」と言うのが、高橋陽一先生の口癖なのかもしれない。